
日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2025年6月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回取り上げるテーマは、「AI Overviewsと生成AIで変わる検索体験と購買行動」です。
本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらもあわせてチェックしていただければと思います。
Google検索「AI Overviews」による検索体験の変化
Google検索の「AI Overviews(AIによる要約表示)」が日本でも本格的に導入され、SEOや検索広告、ユーザーの行動に影響が出始めています。複数の調査結果から、その実態が少しずつ見えてきました。
・自然検索の流入が減少、検索広告にも影響が広がる
Web広告メディア「キーマケLab」を運営するベクトルデジタル社の調査では、SEOに携わっているマーケティング担当者の61.9%が「自然検索からの流入が減少した」と回答。さらに、72%が「検索広告にも影響が出ている」と答えており、検索結果ページの変化がSEOだけでなく、広告施策にも及んでいることがわかります。
・CTRは全体的に低下、引用されやすいページは特定の傾向
CINC社の分析では、BtoBサイトの非指名キーワードにおいて、検索順位1〜10位のうち7位を除いたすべての順位でクリック率(CTR)が低下していました。AI Overviewsの導入によって、ユーザーのクリック行動が変わりつつあるようです。
また、AI Overviewsに引用されやすいページには特徴があり、「他の人はこちらも検索(PASF)」で上位表示しているコンテンツが選ばれる傾向がみられました。
・流入減=売上減とは限らず、対応はこれから
PLAN-Bマーケティングパートナーズ社の調査では、SEO担当者の45.3%が検索流入の減少を実感している一方で、「コンバージョンに変化はない」と答えた人が39.3%と最多となっており、流入の減少がすぐに売上減少に直結しているわけではないことがわかります。
SEO戦略の見直しについては、「現在検討中」が36.7%、「変更なし」が22.0%と、対応が進んでいない企業が多いのが実情です。具体的な取り組みとしては、公式情報の強化や構造化データの活用、Q&A形式のコンテンツ導入が挙げられていますが、ノウハウと人手の不足が課題となっています。




生成AIによる購買行動の変化
生成AIの普及により、「AIに相談して買う」というスタイルが広がっています。従来は検索エンジンを起点としていた商品検索も、AIを入り口とするケースが増えてきました。複数の調査から、こうした購買行動の変化が見えてきています。
・AIが検索の新たな起点に
メディアリーチ社の調査によると、10〜30代の約3割が生成AIで商品やサービスを検索・比較した経験があり、7割以上が「AIだけで比較・検討を完結した経験がある」と答えました。また、いつも社の調査では、20代の17.3%が生成AIを活用して商品を探しており、「試したことがある」層は全体の47.1%にのぼります。
・“検索”から“相談”へ、使い方にも変化
SEEDER社によると、情報の多さや信頼性への不安から、「検索に疲れた」生活者がAIを“相談相手”として使う傾向が見られているとのこと。スペックや条件で絞り込みたいときはAIに頼り、感性や共感が求められる内容では人との対話を重視するなど、使い分ける姿も確認されています。
・信頼を得る一方で、比較行動は複層化
PLAN-Bマーケティングパートナーズ社の調査では、61.4%が生成AIに引用されたサイトを訪問。そのうち40.7%が「信頼度が上がった」と回答しています。ただし、SNSや比較サイトなどと併用するユーザーも多く、AIの回答だけで決定する人と、複数の情報源を確認する人の両方が存在しています。
・世代を超えて広がる一方、企業の導入は慎重
Adyen社の調査によると、Z世代の27%が買い物に生成AIを活用しており、X世代でも前年比で59%増と、世代を問わず利用が拡大しています。一方で、日本の小売企業で生成AIの導入を検討している割合は24%にとどまり、グローバル平均(32%)と比べても慎重な姿勢がうかがえます。




6月のおすすめ記事
お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。



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