
SEOを中心としたデジタルマーケティング支援を展開する株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ(東京都品川区、代表取締役:鳥居本 真徳)は、生成AIを検索ツールとして利用した経験のあるユーザー394名を対象に『生成AI検索における「引用元」に対する行動・意識調査』を実施したことが発表されました。
この記事の目次
調査の背景
近年、ChatGPTやGeminiなどの生成AIツールが日常生活やビジネスにおける検索手段として広く活用されるようになり、ユーザーの検索行動にも変化が現れてきています。
こうした流れに伴い、企業のマーケティング戦略にも変革が起きています。従来型のSEO対策に加え、生成AIの検索結果内で自社サイトやサービスが引用・紹介されることが、Web上での認知拡大や顧客獲得、信頼構築の新たな手段として注目を集めるようになっています。
今回の調査は、このような状況を踏まえ、生成AI検索ユーザーが引用元に対してどのような意識を持ち、どのような行動(クリックや購買など)を取っているのかを明らかにすることを目的として実施されました。企業のマーケティング担当者やSEO担当者に向けて、生成AI検索によるユーザー行動の変化への対応策という視点から、調査結果とその分析がまとめられています。
調査概要
生成AI検索における「引用元」に対する行動・意識調査
調査期間:2025年5月23日~5月29日
調査対象:生成AI検索ツールを使って検索をしたことがあるユーザー
有効回答数:394名
調査方法:「Freeasy」によるインターネットアンケート調査
※グラフの数字は小数点第1位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
調査対象者について
今回の調査では、最初に無作為に抽出された1,000名に「あなたは生成AIツールを使って調べものをしますか?」という質問が行われました。全体でみると、「使ったことがない」「知らない」と回答した人が約6割を占め、「使ったことがある」ユーザーはまだ半数に満たない状況であることが明らかになりました。
以降の質問は、生成AI検索ツール(※)を「使ったことがある」と回答した人を対象に実施されています。
※ この調査における「生成AI検索ツール」とは、ChatGPTやPerplexityのように、検索ワードに対してAIが回答や要約を提示するサービスを指します。
調査結果
日常的な検索はまだ検索エンジンが主流、生成AIの信頼は限定的
生成AI検索ツールを「使ったことがある」と回答した人に「Q1. 従来の検索エンジン(Google、Yahoo!など)と生成AI検索ツールでは、どちらの方がよく使いますか。」という質問をしたところ、「従来の検索エンジンの方が多い」と回答した人が52.8%と半数を超える結果となりました。「どちらも同じくらい使う」は30.2%、「生成AI検索ツールの方が多い」は17.0%にとどまっています。
この結果から、生成AI検索は情報収集手段のひとつとして活用されているものの、特定の目的やシーンに限定して使われている可能性が高く、日常的な検索行動の主流はまだ従来の検索エンジンであることがうかがえます。

「Q2. 生成AI検索と従来の検索エンジン、どちらの情報をより信頼していますか?」という質問に対しては、「検索する内容によってどちらが信頼できるか変わる」と答えた人が50.0%と最も多い結果となりました。「検索エンジンの検索結果の方が信頼できる」は20.3%、一方で「生成AI検索の方が信頼できる」は7.1%にとどまっています。
この結果から、ユーザーはどちらか一方を全面的に信頼しているわけではなく、検索内容に応じて柔軟に使い分けていることがわかります。
また、現時点ではどちらかというと従来の検索エンジンに信頼が寄せられていますが、技術の急速な進化に伴い、今後は生成AIの信頼性向上が予想されます。

約6割がAI検索結果で引用されたサイトを訪問
「Q3. 生成AI検索で調べものをした際、引用元のサイト(参考リンクなど)を確認しますか?」という質問では、「ときどきクリックして引用元サイトを開いて読む」が40.6%と最多となり、次いで「クリックして引用元サイトを開いて読むことが多い」が20.8%でした。この両者を合わせると、全体の約6割のユーザーが引用元サイトをクリックして参照する行動をとっていることが明らかになりました。

続いて、前問で「クリックして確認する」と答えた方に「Q4. 引用元を確認する主な理由は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、最も多かった理由は「出典元の信頼性を判断するため」で58.7%に達しました。そのほかは「元の文脈を自分で確認したい」(43.8%)、「詳しく知りたい・AIの回答が不十分だから」(37.6%)、「内容の正確さを裏取りしたい」(32.2%)と続き、AIの回答を鵜呑みにせず、自分自身で出典や文脈を確認しようとするユーザーが多いことが浮き彫りになりました。

約4割が「生成AI経由で引用元への信頼が高まった」と回答
「Q5. 生成AI検索において提示された「引用元サイト」への信頼度は、従来の検索エンジン(Googleなど)で見た場合と比べて変化がありましたか?」という問いに対しては、「信頼度は変わらない」とした人が56.2%と過半数を占めましたが、「やや信頼するようになった」(33.8%)、「より信頼するようになった」(6.9%)を合わせると約4割が信頼度の向上を感じていることが明らかになりました。
この結果から、生成AIに引用されることによってサイトの信頼性が高まるケースも一定数存在することがわかります。

出典なしの場合は約5割が検索エンジンで裏取り
「Q6. 生成AI検索(ChatGPTやPerplexityなど)を使って調べものをする際に、出典が明示されていない場合、どのように対応しますか?」という質問では、「従来の検索エンジンで補完・裏取りを行う」と答えた人が49.5%と最も多く、「気にはなるが、特に裏取りはしない」(33.5%)、「出典がない時点でAIの回答は信用しない」(10.9%)と続きました。
この結果から、AIの回答に出典があるかどうかは、ユーザーの行動に影響を及ぼす重要な要素であることがわかります。

約半数が生成AIをきっかけに新たなサイトにアクセス経験あり。購買・問い合わせなどのアクションも
「Q7. 生成AI検索の引用をきっかけに、それまで見たことのなかったサイトやメディアを訪問した経験はありますか?」という質問では、「ある」と答えた人が51.0%に達し、「ない」(49.0%)をわずかに上回る結果となりました。
この調査結果から、生成AI検索がユーザーにとって新たな情報との接点となっており、Webサイトへの流入経路として一定の役割を果たしていることが見て取れます。

「Q8. 生成AI検索で表示された引用をきっかけに訪問したサイトやメディアにて、次のような行動をとったことがありますか?」という質問では、「特に何もしていない」が32.8%と最も多い回答でしたが、「商品やサービスを購入した」が24.9%、「メールマガジンや資料をダウンロード・登録した」が22.4%、「問い合わせをした」が21.4%と、何らかの具体的アクションにつながった事例が一定数確認できました。
この結果から、生成AI検索における引用表示は、単なる情報提供にとどまらず、購買や問い合わせといったビジネス成果につながる重要なきっかけになっていることが明らかになりました。今後、生成AIを活用する検索ユーザーの増加が見込まれる中、こうした引用表示は企業にとってますます重要な役割を果たしていくことが期待されます。

総括
この調査で特に注目すべき点は、AIの回答を鵜呑みにせずに自身で出典や文脈を確認するために、約6割のユーザーが生成AI検索で表示された引用元サイトを実際にクリックして確認しているという事実です。
さらに、引用をきっかけに新たなサイトへの訪問や購買・問い合わせなどのアクションにつながっているケースも一定数存在しており、生成AI検索が"消費者との新たな接点"として機能していることが明らかになりました。
本調査からは、今後のマーケティング戦略において「いかにAIに適切に引用されるか」が重要な課題となりつつあることも示唆されていますが、注意すべき点として、すべての企業にとってLLMO(Large Language Model Optimization)などの最適化施策が直接的な成果につながるとは限らないという点が挙げられます。施策ありきではなく、まずは現状を可視化し、自社に合った戦略を見極めることが何より重要です。
そのためには、まず自社コンテンツが生成AIにどのように引用されているのか、そこからどのようなユーザー行動が生まれているのかを把握することが出発点となります。自社の立ち位置とユーザー動向を正しく捉えたうえで柔軟に対応していくことが、AI時代のマーケティング成功の鍵を握ると言えるでしょう。
<監修者>

株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ
デジタルソリューション事業部 部長
出田 晴之
PLAN-Bに2018年新卒で入社。2023年にSEOコンサルティング事業部部長に就任し、2024年からはデジタルソリューション事業部部長に就任。大手下着メーカー、大手買取会社など、50社以上のSEOコンサルティングやメディア立ち上げを経験。事業戦略などの上位レイヤーからのSEO戦略設計を得意としています。
出典元: 株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ プレスリリース