
SEOコンサルティング会社、株式会社メディアリーチ(本社:大阪府大阪市、代表取締役:松村俊樹)が、全国1,008名を対象に「生成AIによる商品・サービス・企業の探索・比較行動」に関する調査を実施したことが発表されました。この調査では、若年層を中心に生成AIを活用した新しい消費行動が広がっていることが明らかになっています。
この記事の目次
- 1 調査概要
- 2 調査サマリー
- 3 Q1.生成AIを週1回以上利用している割合
- 4 Q2.生成AI利用者が選ぶ主要サービス
- 5 Q3.生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較の経験有無
- 6 Q4.生成AIで検索・比較した商品・サービス・企業のジャンル
- 7 Q5.生成AIで商品・サービス・企業を検索・比較する際によく入力する質問内容
- 8 Q6.生成AIが提案した商品・サービス・企業に対する信頼度
- 9 Q7.生成AIで気になった商品・サービス・企業に対して取る行動
- 10 Q8.生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験
- 11 Q9.生成AIを活用した検索行動が主流になるか
- 12 本調査の総括
- 13 株式会社メディアリーチについて
調査概要
調査名称:生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較行動調査 2025年版
調査主体:株式会社メディアリーチ(SEOコンサルティング会社)
調査方法:インターネットリサーチ(Freesy)
調査対象:全国の10代~60代以上の男女
有効回答数:1,008名(各年代・性別均等割付:各年代・性別ごとに84名ずつ、合計1,008名)
調査期間:2025年5月28日
主な調査項目:
・生成AIの利用状況
・生成AIを用いた商品・サービス・企業の検索・比較経験
・比較検討で重視する情報や行動
・生成AIが提案する情報の信頼度
・今後の生成AI活用意向 など
調査サマリー
同調査では、若年層(10〜30代)の約3割が「生成AIを活用して商品・サービス・企業を検索・比較している」という新しい消費行動の広がりが明らかになったとのことです。
従来のGoogleやYahoo、Bing等のWeb検索やSNSに加え、生成AIが「おすすめ」「評判」「比較」「ランキング」など多様な質問への窓口として日常化しつつあり、公式サイトやSNS、口コミサイトなど複数チャネルと組み合わせて比較・検討する"多層的な探索行動"が若年層を中心に拡大しています。
また、「生成AIで商品・サービス・企業を検索したことがある」と回答した人(全体の約2割)でみると、その約半数が「生成AIだけの情報で比較・検討を完結させた経験がある」と回答しているそうです。一方で、実際には公式サイトやSNS、YouTube、レビューサイトなど他チャネルでの追加調査を行うケースも多く、AIのみで意思決定を完結するユーザーは一部にとどまることがわかりました。
今回の調査は、消費者の意思決定プロセスが"AI起点"へと大きくシフトしつつある実態と、ブランドや企業が今後のマーケティング戦略・情報設計を見直す必要性を示唆するものとなっています。
なお、2025年に入り、業界全体では「生成AI検索最適化」の観点からGEO(Generative Engine Optimization)やLLMO(Large Language Model Optimization)といったキーワードも注目されているとのことです。
Q1.生成AIを週1回以上利用している割合

(分母:各年代×性別ごとにn=84、男女合計n=168/全体n=1008)
【データ】
- 全体の36.2%(365/1008)が「週1回以上、何らかの生成AIサービスを利用している」と回答しています。
- 男女別では、男性43.8%(221/504)、女性28.6%(144/504)で、男性の利用率が女性より高くなっています。
- 10代・20代の若年層では5割前後が利用し、年代が上がるにつれ利用率は低下しています。
【考察・示唆】
- 若年層(10〜20代)は5割以上が生成AIを週1回以上利用しており、特に10代女性では6割に達し、デジタルネイティブ世代の高い関心が際立っています。
- 40代以降は男女差が拡大し、女性の利用率は急落。50代女性は1割、60代以上女性は1割未満にとどまっています。
- 全体では3人に1人以上が日常的に生成AIを利用していますが、「まだ多数派ではない」という現状も浮き彫りとなっています。
- 今後、若年層から中高年層への利用拡大や、用途の多様化が進む可能性が高いことがわかります。
- ※同調査では、週1回以上生成AI利用をしている方を「生成AIを利用している」と定義しています。
Q2.生成AI利用者が選ぶ主要サービス

(分母:生成AIを週1回以上利用している人 n=365、複数回答可)
【データ】
- 最も多く利用されているのはChatGPT(OpenAI)で、選択率68.1%となっています。
- Gemini(Google)(42.2%)、Copilot(Bing含む)(21.4%)が続いています。
- その他のサービスは1割未満が多いですが、NotebookLMは選択率11.0%と相対的に高くなっています。
- 男女差が顕著なサービスも見られます(例:NotebookLMは女性で14.6%、男性で3.8%)。
【考察・示唆】
- ChatGPTが圧倒的なトップシェアであり、生成AI市場での"定番化"が進んでいることがわかります。
- Google・Microsoft系サービスも一定の利用者層を持ち、多様化が進む中で、用途や好みによる使い分けが見られます。
- NotebookLMなど一部サービスは女性の利用率が男性を上回るなど、属性ごとの嗜好性の違いが表れています。
- 今後は複数サービスの併用や、特定用途に特化した新興サービスの利用拡大も想定されます。
Q3.生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較の経験有無

(分母:全体 n=1008、単一回答)
【データ】
- 全体の21.3%(215/1008)が、「生成AIで商品・サービス・企業を検索・比較した経験がある」と回答しています。
- 10代~30代の若年層では男女ともに約3割が該当し、40代以降は急減。特に女性では1割未満となる年代が多くなっています。
【考察・示唆】
- 若年層(10~30代)は男女ともに3割前後が生成AIを商品・サービス・企業の検索・比較に活用していることが明らかになりました。
- 40代以降は特に女性で経験率が大きく下がり、情報収集・比較の主な手段としては依然従来の検索や口コミサイト、公式サイト等が中心となっている可能性が高いことがわかります。
- 全体としては2割強にとどまっていますが、Z世代・ミレニアル世代の活用が進んでいることから、今後若い世代を中心に"AI検索・比較"の普及がさらに進むことが期待されます。
- 一方で、世代・性別ごとの利用格差も浮き彫りとなっており、AI活用の裾野拡大にはリテラシー向上やサービス側の使いやすさ改善が鍵となることが示唆されています。
Q4.生成AIで検索・比較した商品・サービス・企業のジャンル

(分母:Q2で"はい"と答えた人 n=215、複数回答可)
【データ】
- 最も多いのは「Webサービス・アプリ」(選択率33.0%)となっています。
- 「日用品・生活雑貨」(32.1%)、「飲食」(30.2%)、「家電・ガジェット」(27.9%)、「美容・健康」(25.6%)と続いています。
- 「法人向け商品」や「業務用SaaS」などBtoBジャンルにも一定の利用が見られます。
【考察・示唆】
- 男性は「家電・ガジェット」や「Webサービス・アプリ」といったデジタル分野、業務用SaaS・法人向け商品などBtoB領域でも高い選択率を示しています。
- 女性は「美容・健康」や「日用品・生活雑貨」「飲食」など生活に密着した商品・サービスで生成AIを積極活用する傾向が顕著です。
- 「旅行・宿泊」「金融・不動産」などは男女差が小さく、世代や状況を問わず幅広い活用が進んでいることが分かります。
- 性別ごとに生成AIの活用ジャンルが異なる実態が明らかになり、マーケティングや情報設計においてもユーザー属性ごとの戦略が重要になることが示唆されています。
Q5.生成AIで商品・サービス・企業を検索・比較する際によく入力する質問内容

(分母:Q2で「はい」と答えた男性=129名、女性=86名/複数回答可)
【データ】
- 男女とも「条件や希望を指定して質問」が最も多くなっています。
- 女性は「おすすめ」「評判や口コミ」「ランキング」など複数の情報探索を組み合わせる傾向がやや強いことがわかります。
- 男性は「AとBの違いを比較して」「ブランド名を直接入力」など比較や指名検索も一定数みられます。
【考察・示唆】
- パーソナライズ志向の「条件や希望を指定してAIに質問」する行動が主流で、AIならではの柔軟な検索スタイルが定着してきています。
- 女性は「おすすめ」「口コミ」「ランキング」など多角的に情報を集めて比較する傾向がやや強いことがわかります。
- 男性は「AとBの違いを比較」や「ブランド名を直接入力」といった具体的な比較や指名検索も一定割合を占めています。
- 消費者は1つの検索方法にとらわれず、生成AIの特性を活かして複数の切り口から情報収集・比較を行う姿勢が目立っています。
Q6.生成AIが提案した商品・サービス・企業に対する信頼度

(分母:Q2で「はい」と答えた男性=129名、女性=86名、単一回答)
【データ】
- 「非常に信頼できた」「やや信頼できた」と肯定的評価は男性69.8%、女性65.1%となっています。
- 「どちらともいえない」は男性21.7%、女性20.9%です。
- 否定的評価(「あまり信頼できなかった」「まったく信頼できなかった」)は男性10.1%、女性13.9%となっています。
【考察・示唆】
- 男女ともに6割以上が「生成AIの提案は信頼できる」と感じていますが、女性のほうが「どちらともいえない」「信頼できなかった」とする割合がやや高くなっています。
- 男性は「非常に信頼できた」が2割を超え、積極的な信頼姿勢がやや強いことがわかります。
- 一方、女性は「やや信頼できた」層が半数と"様子見・慎重派"の傾向も見られます。
- 信頼性については今後もユーザー属性ごとのニーズを踏まえ、情報の根拠や透明性を強化していく必要があることが示唆されています。
Q7.生成AIで気になった商品・サービス・企業に対して取る行動

(分母:Q2で「はい」と答えた男性=129名、女性=86名、合計n=215、単一回答)
【データ】
- 男性の上位は「公式サイトを閲覧」(48.1%)、「レビュー・比較サイトを閲覧」(38.8%)、「SNSで評判や口コミを調査」(31.8%)となっています。
- 女性の上位は「レビュー・比較サイトを閲覧」(52.3%)、「SNSで評判や口コミを調査」(39.5%)、「公式サイトを閲覧」(43.0%)です。
- 女性は「レビュー・比較サイトの閲覧」や「SNSでの調査」の比率が男性より高いことがわかります。
【考察・示唆】
- 男性は「公式サイト」重視、女性は「レビュー・比較サイト」「SNS」重視で、情報源の使い分けに男女差がみられます。
- 女性は「レビュー・比較サイト」「SNS」「保存」など"第三者評価や多角的な情報収集"を重視する傾向が顕著です。
- 男女ともに約4人に1人が生成AI経由で「実際に購入・利用」まで行動を移しており、AI提案の消費行動への影響力が大きいことがわかります。
- 動画レビューや追加の生成AI調査も3割前後で利用されており、テキスト・動画・AIの組み合わせによる多層的な意思決定が定着しつつあることが示唆されています。
Q8.生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験

(分母:Q2で「はい」と答えた男性=129名、女性=86名、単一回答)
【データ】
- 生成AIで商品・サービス・企業を検索したことがある人(全体の約2割)のうち、約7割が、生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験があると回答しています。
- 「よくある」「ときどきある」の合計は男性が42.6%、女性が45.3%で、男女差は小さいことがわかります。
- 「一度もない」は男性7.8%、女性16.3%と、女性の方がやや慎重な傾向が見られます。
【考察・示唆】
- 男女とも「生成AIのみの情報で比較・検討を完結した経験あり」が7割を超え、AI主導の消費行動が新たな選択肢として広がっていることがわかります。
- 「よくある」「ときどきある」の合計は男性42.6%、女性45.3%で、積極活用層は性別で大きな差はみられません。
- 一方、「一度もない」とする割合は女性で16.3%と男性(7.8%)の2倍。女性は最終判断に追加情報を求める"慎重派"の傾向がやや強いことが示されています。
- 今後は、AI情報だけで完結する層と、他情報源との併用を重視する慎重層が共存する多様な意思決定パターンが進みそうです。
- サービス提供側には、属性ごとの信頼性や納得感向上を意識したAI活用支援・情報設計が求められることが示唆されています。
Q9.生成AIを活用した検索行動が主流になるか

(分母:全体 n=1008/男性504名、女性504名、単一回答)
【データ】
- 「そう思う」「ややそう思う」と回答した肯定派は男性40.5%、女性31.2%となっています。
- 「どちらともいえない」が男女とも約4割と最多で、今後の推移を見守る様子見層が多いことがわかります。
- 否定派(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)は男性23.6%、女性27.8%です。
【考察・示唆】
- 男性の方が肯定派(「そう思う」「ややそう思う」)の比率が高く、AI活用への期待感がやや強いことが示されています。
- 女性は「どちらともいえない」が41.1%と最多で、AI検索主流化については様子見・保留の姿勢が強いことがわかります。
- 否定的な回答(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)は女性27.8%、男性23.6%で、女性の慎重姿勢がやや際立っています。
- 今後、AI検索の信頼性や利便性向上が進むことで肯定派が増加する可能性がありますが、現時点では広い世代・層で様子見の空気感が強いことが示唆されています。
- 市場拡大の鍵は"様子見層"の不安払拭や体験向上、生活動線への自然な統合にありそうです。
本調査の総括
今回の調査結果から、生成AIはすでに若年層を中心に消費者の情報探索・比較・意思決定のプロセスに深く入り込んでいることが明らかになりました。
特に10〜30代では、日用品や家電、Webサービスなど身近なジャンルにおいて、AIを用いた「比較・検討」が一般化しつつあります。AIならではのパーソナライズ検索や多角的な質問の活用が定着し、ユーザーの"納得できる選択"を後押しする存在となっています。
一方で、40代以降や女性では慎重な情報収集や他チャネルとの併用も根強く、「AIだけ」に頼らず複数の情報源を吟味する消費スタイルが維持されています。また、AIの提案への信頼度は高い水準にあるものの、最終判断においては"根拠の明示"や"他ユーザーの評価・レビュー"も重要視されていることがうかがえます。
今後の動向としては、
- 若年層を起点に「AIで調べてAIで選ぶ」という購買行動が拡大し、企業のマーケティングや情報提供のあり方もAI対応を前提としたものへと変化する可能性が高い
- 一方で「AI主導消費」と「人・コミュニティを通じた消費」が併存し、世代・属性ごとに意思決定プロセスがさらに多様化することが予想される
- AI活用が一般化することで、「AIでの検索体験の質」や「アルゴリズムの透明性・説明性」、そして「信頼できるブランドとしてAIに推奨されること」が今後の競争力の鍵となる
こうした背景から、今後は
- 企業やブランドは公式サイトの情報設計やレビュー・SNSの強化とともに、生成AIへの最適化やAIに好意的に言及される仕組みづくりが不可欠
- 生活者のAIリテラシー教育や、消費者自身がAIと他情報源を組み合わせて"納得できる選択"を行うための支援も重要になる
と考えられます。
生成AIが生活者の意思決定に果たす役割は今後さらに大きくなることが予想され、企業・社会・ユーザーそれぞれが"AI時代の情報流通と選択"の最適化を模索していく局面に入ったと言えるでしょう。
株式会社メディアリーチについて
株式会社メディアリーチは、大阪・東京・海外に拠点を持つSEOおよびLLMO(生成AI検索最適化)支援の専門企業です。
国内外の大手企業を中心に、検索行動の変化を捉えたマーケティング戦略の立案・実行を支援。生成AIと検索エンジンの融合領域における調査・研究にも注力し、最先端のUX設計とデータ活用により企業のデジタル戦略を支援しています。
- 会社名:株式会社メディアリーチ
- 本社所在地:大阪府大阪市北区芝田2-8-11 共栄ビル3F
- 代表者:松村 俊樹
- 事業内容:SEOコンサルティング、LLMO支援
出典元:株式会社メディアリーチ プレスリリース
調査本ページURL:https://mediareach.co.jp/blog/ai-brand-comparison-2025