
2022年は34の事業者様に取材を行いました。取材にご協力いただいた皆様にはお礼申し上げます。本日が2022年最後の更新日ということで、取材をさせていただいた事業者様の記事を僭越ながらまとめさせていただきます。
まとめるテーマの兼ね合いですべての記事をご紹介することはできませんが、年末年始にお時間の許す限りご覧いただけますと幸いです。
この記事の目次
ブランドの立ち上げはマーケットイン?プロダクトアウト?
新しくブランドを作るにあたって、一定の市場が存在する商品を販売するマーケットインの考え方か、新たに市場を作っていくプロダクトアウトの考え方に分かれます。
都内に自社工場を2拠点構える武内製薬はマーケットインの考え方で商品開発をしているといいます。マーケットインではあるものの、市場が飽和しているレッドオーシャンに飛び込むのではなく、海外で盛り上がっているキーワードを探してニッチなポイントを見つけて商品開発をすることが特徴です。
一方、ブリージングデバイスを販売するBREATHERはブリージングマーケットを新たに作り、拡大するためにさまざまな取り組みを行っています。社会の課題に焦点を当てながら、今はまだ顕在化していない市場に対してプロダクトアウトで商品開発をしました。
マーケットインとプロダクトアウト、それぞれの考え方は対極にありますが、両社の商品販売に対する手法は対極とはいえず、2つに記事を読むことで物販を行う上で共通する考え方が見えてくるかもしれません。
「誰かのため」を見つけて商品開発を
ゼロからブランドを作ることだけでなく、商品開発は既存の商品、既存の顧客から着想を得て行うことも多いです。ゴルフコンペの景品を主に取り扱っているエンタメゴルフでは、利用用途に合わせた商品開発を行うことで、商品に付加価値をつけて販売できています。現在販売している商品の利益を向上させるには?という視点で読んでいただくと興味深いかもしれません。
EC人材の不足にどう対応するか
コロナ以前から不足しているといわれていたEC人材は、コロナ禍においてECに参入する企業が激増したことで、より一層不足しているといわれています。新しい人材を採用することが理想ではありますが、売り手市場のEC人材を採用することはそう簡単な話ではありません。良いパートナーと手を組み、プロの手を借りることや、社内の体制を強化することで筋肉質な組織を作ることが求められるのではないでしょうか。
満足できるパートナー選定の方法とは
老舗グラスブランド「ツヴィーゼル」は2021年にECサイトをリニューアルしました。リニューアルにともない、新しいパートナーとサイトを運営することになります。リニューアルを問題なく終えて、毎月新しい機能をリリースするなど順調な理由として、事前の準備がいかに重要であるかがわかりました。
「ツヴィーゼル」の場合は、事前に課題を明確に抽出し、決定前に複数社と密に対話を進めています。また、過去の実績を参考にすることで、パートナーの担当者が信頼できるかどうかを明確にしていることが選定に必要な視点といえるでしょう。
フルーツギフト専門店「蝶結び」の杉下さんはTwitterでの情報収集やECに強い制作会社と何社も打ち合わせを重ねています。また、ライターはクラウドソーシングを活用し、応募のあった方から実績を見て選定し、商品撮影を担当するカメラマンは対面で複数人と会った上で選定しました。
パートナーの探し方に正解はないかと思いますが、案件を依頼してからトラブルのリスクを減らすには依頼主がイメージを明確にし、そのイメージに近い実績を持つ担当者に出会うことが重要だと事業者様のお話を伺うと共通して出てきます。
良い組織を作るために必要な考え方
日々の業務の中でパートナーに依頼できないこともあるでしょう。規模が大きくなることで、日々の運用やCS対応、物流業務などそれぞれの業務量が増加し、少人数では意思決定をしきれないことがあると思います。組織を筋肉質にするために働きやすい環境づくりをすることはEC市場の発展には必要なことだといえるのです。もともとデジタルの制作業務を外注していた土屋鞄がその業務をどのようにして内製化したかこちらの記事をご覧ください。
また、小売や卸を生業にしている企業が新たにECに参入すると、担当者の声が社内において優先度が低くなってしまうことがあります。各企業のECに従事している方々が社内でどのような振る舞いをしているのか、エースの北山さんやミレーの奥村さんのお話は参考になるでしょう。
対面接客により商品の魅力を最大限伝えるポップアップストアの活用
日本国内においてはコロナによる行動規制がほとんどない状態になり、新たな顧客接点を築くためにリアルの場に商品を展開したいと考える事業者様は一定数いらっしゃると思います。オンラインだけでは伝えきれない商品の魅力を一人ひとり対面で商品を見ながら伝えられることが対面接客の魅力です。
いきなり店舗を構えるハードルは高いため、まずはポップアップストアからと考える事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。コマースピックでは2022年にポップアップストアに関する取材を2回行いました。1つは、今市場を拡大している食品ECとしての日本酒。もう1つがオンラインのみで注文するには多少なりとも不安を抱える可能性があるセミオーダーのパンプスです。どちらの記事も違った視点からポップアップストアを定期的に開催しているため、2つの記事をご覧いただき、自社にあった運用を考えてみるとよいかと思います。
越境ECに挑戦する事業者!新たな市場を求めて海外展開
一時は150円を超えたドル円ですが、12月29日現在134円まで落ち着いています。それでも1年前と比較し、20円近く円安が進んでいることから、この半年間で越境ECに力を入れようと考えた事業者様の声を多く伺います。
海外に挑戦するにあたって、ケープを越境ECで販売している中村さんは「市場調査と準備が8割だ」と話します。その土地の文化や環境、商習慣から自社の商品が現地でどういった活用のされ方になるのかなど、日本国内で生活していると当たり前のことを現地に合わせて言語化することが重要ではないでしょうか。
防音の専門店であるピアリングの室水さんが初めてシンガポールで店頭販売をした際は、現地の方が生活する中でどういった課題を持っているのかヒアリングしたそうです。ひょんなことからシンガポールで販売するきっかけを得た室水さんは短い準備期間で現地を知るための工夫を行っています。詳細は記事をご覧ください。
最後に
「ブランド立ち上げ」「パートナー選定」「組織論」「ポップアップストア」「越境EC」の5つのテーマに分けて記事を紹介させていただきました。こちらで紹介させていただいた記事以外にも活きたノウハウが詰まった記事が多数ありますので、「こんなことを知りたい」という要望がございましたらお気軽にコマースピックのLINEアカウントからご連絡ください。また、ぜひウチに取材を!と思ったいただける事業者様がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。
それでは、1年間コマースピックをご覧いただきありがとうございました。2023年も引き続きよろしくお願いいたします。
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