百貨店の販売からECへと販路を変更!フルーツギフト専門店「蝶結び」の軌跡と今後の展望
インタビューの概要

ギフトは、一回の販売で贈り手と受け手の2人と接点を持つことになります。そのため、贈り手はもちろん、受け手にも満足してもらうことが大事です。実店舗であれば受け手の好みについて贈り手と店頭で相談ができますが、オンラインではそうはいきません。今回はフルーツギフト専門店「蝶結び」を運営する株式会社レトロスペクトの代表取締役である杉下峻吾さんに、サービス立ち上げの背景から、実店舗の経験を通してECでギフトを販売する上で工夫されている点など、お話を伺いました。

フルーツギフト専門店「蝶結び」立ち上げの背景

――フルーツのギフトを専門に、ECで販売するに至った背景を教えていただけますか?

杉下さん:元々百貨店の地下に売り場を構えてフルーツを販売していました。親戚が代表を務める会社だったこともあり、事業継承を具体的に検討した時期もありました。しかし、コロナの影響もあり、代表は自分の代でお店を閉めることを決断されたのです。

当時私は役員で、社員4人とシフト制のアルバイト3~4名で回していました。お店を閉めることになってからは、社員やアルバイトは百貨店での販売に慣れていることもあり、他のテナントさんからお声がけいただいて、次の仕事が決まっていきました。

役員として面接の段取りを整える中で、自分もお声がけいただくこともありましたが、このときこれを機に独立しようと考えるようになりました。ただ、新型コロナウイルスの真っ只中で、店舗を持つにはリスキーな状況です。そこで、店舗を構えずにネットに特化して販売してみようと思い、少しずつ準備をしていきます。

私が現場を仕切っていたため、つながっている農家さんには直接挨拶しにいきました。代表とつながりの深い仕入先もあったため、「仕入先を継がせて欲しい」と伝えたところ「やるなら責任を持ってやるんだぞ」と、他の仕入先や市場の仲卸業者などに口を利いてくれて取引ができるようになりました。代表には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

パートナーを活かしたサイト立ち上げ

――元々百貨店で売り場を持ってフルーツを販売していたんですね。仕入先とつながったことで商品は用意できるかと思いますが、ネットで販売するための売り場作りはどのようにして進めていったのでしょうか?

杉下さん:Twitterで情報収集をしたり、ECに強い制作会社さんと何社もお話をしたりする中で、私の希望に合った条件でギフトのサイト制作を行ったことのある会社さんと出会いました。サイトのテーマや見せ方を相談した上で、ページを作るところは制作会社さんにお任せしてECサイトを制作してもらいました。

テキストと写真は私が用意する必要があるため、パートナーを探すために動きました。

パートナーと衝突の中で決まったテキストのコンセプト

杉下さん:まず、テキストを用意する動きについてです。サイト内に掲載するライティングや記事は、クラウドソーシングで「ネットに特化したフルーツギフトのサイトを作る」とライター募集をしました。想像以上に募集をいただき、過去の実績などから2名の方を選び、その2人とサイト立ち上げからコンセプトを決めるまで一緒に考えていきました。

ターゲット選定やコンセプト、キーワード選定など3人で相談しながら、意見の相違が出ることもありましたが、最終的には私がどちらかの意見を採用して方向性を決めていきました。意見の相違はみんなのバックグラウンドが違うため出てしまうこともありましたが、真剣だったからこその衝突だったと思います。

お客様を知り、テイストが変わった写真

杉下さん:ライティングと違い、写真は商品写真を撮る必要があるので、拠点である京都で実際に何人かとお会いしました。スタジオにお伺いしたり、個人のカメラマンにお会いしたり、お話する中で私がやりたいことを一番理解してくれそうな人と出会い、今もお手伝いしていただいています。

写真のテイストは、ECモールの検索画面で目立つような原色が目立つ雰囲気ではなく、柔らかく温かみのある雰囲気を出したいと思っていました。また、蝶結びのロゴの赤も原色ではなく、柔らかい赤にしています。

杉下さん:最初はドライな印象の写真を掲載していました。商品が売れていきお客様の層がだんだんわかってきたことで、カメラマンと相談を重ねて、明るくしずる感のある写真に変えていったんです。

当初は出産祝いとして利用いただくことを想定していたので、お客様の層は20~30代くらいの方が多いと思っていました。しかし、実際にご注文をいただくようになり、法人関係や祖父母やお孫さんへ送るなど、様々なケースで活用いただけていることがわかったのです。そこで徐々に出産祝いをはじめとした幸せな一日に華を添えるフルーツギフト専門店へと進化していきました。

顧客にとっての価値を考え、ヒット商品へ

――地道に情報を収集しながら外部のパートナーと連携して、サイトを立ち上げられたのですね。サイト立ち上げから今に至るまで、販売の状況はいかがですか?

杉下さん:2020年9月のサイト立ち上げから最初の数カ月は苦しい時期が続きました。受注が増えたタイミングは2021年のホワイトデーくらいからです。バレンタインに各産地のいちごを少しずつ入れた食べくらべセットを販売したところ、今ではダントツの主力商品になっています。

食べくらべを始める前は、例えばいちごであれば、福岡のあまおうや香川の女峰のように産地と品種名を訴求して販売をしていました。それでは産直で購入いただくほうが新鮮で、ラッピングくらいしか差別化できる点はありません。百貨店であれば、百貨店の包装紙にくるまれるだけでお客様が価値を感じられるものの、オンラインではラッピングだけに価値を持たせることは難しかったのだと思います。

まずはバレンタイン限定のつもりで食べくらべをやってみたところ、思っていたよりも注文があったのでホワイトデーでもやってみました。すると更に反響があり、今年(2022年)のホワイトデーも継続的に多くの注文をいただいています。

ホワイトデーに関しては「ギフトにどうですか?」といったライトな訴求のクリエイティブで広告を回しています。(ホワイトデーなので)男性が買う日だからこそ、男性向けの視点で訴求を考えました。

いちごの食べくらべを訴求した広告クリエイティブ

「蝶結び」の肝になるお客様対応

――色々な産地のいちごを食べられるギフトはもらった方も楽しみながら食べられそうですね。立ち上げから約1年と半年が経ち、今では月間三桁万円以上の売上になっているとのことですが、どのような体制で運営しているのでしょうか?

杉下さん:ライターやカメラマンなど先程お話したパートナーの方々とは今も継続してお取引しています。また、広告関係やSNSの運用も対応しているのは外部のパートナーです。商品の仕入れや梱包、発送処理、お客様からの問い合わせ対応などバックヤードの業務は私一人で回しています。

注文が入ったら市場に仕入れに行ったり、生産者さんに連絡をして納品してもらったりします。必ず自分の目で商品の状態を見てから、ラッピングをして発送する流れです。ギフトとしてお買い求めいただいているので、商品をしっかり見て、発送して大丈夫な状態だと納得した上で蝶結びのシール張って発送するんです。例えば、特にいちごのように傷みやすいフルーツはスピード勝負です。入荷したいちごをその日の内に出荷しています。

チャット対応の負担と効果的な活用方法

――外部のパートナーとご自身で取り組むことをしっかりと棲み分けして効率的に運営しているように思います。チャットでカスタマイズできるフルーツセットを取り扱っていますが、通常業務の中でお客様対応をチャットでするのは負担にはならないのでしょうか?

杉下さん:仮にお客様対応をメールでする場合、10回キャッチボールをするとしたら工数はチャットのほうが圧倒的に少ないです。「お客様対応をチャットに集中するのは大変じゃない?」と聞かれることがありますが、実際に対応してみると思っているほど大変ではないです。

内容物の相談ができる商品を取り扱っている

杉下さん:出荷作業はその日中で良いですが、チャットに来るお問い合わせは売上に近い場所なので優先度が高いです。対応時間は特に決めずに、スマホに通知が来るため返せるときにすぐに返すようにしています。

色々なお問い合わせをいただく中で、お客様から質問の多い内容を記事コンテンツにして、不安を取り除けるように詳細な情報を発信することにしました。私の知識レベルでは駄目だと思い、管理栄養士の資格を持つライターに業務を依頼しています。このとき、何でもかんでもフルーツが良いと書くのではなく、一般論として中立的な目線で書いてもらうよう依頼しました。今ではチャット対応の中で、記事コンテンツをお送りしてお客様に理解をより深めていただくことにも繋げられています。

お問い合わせの中には記事コンテンツだけでは解決できないことももちろんあります。予算・好き嫌い・アレルギー・フルーツの配分など、ギフトにはお客様のそれぞれの想いが込められているのです。チャット対応を通して、その想いを形にできるのが「蝶結び」の売りだと思います。

また、フルーツは生鮮品なので、写真を撮ってライティングをして、商品ページを作ってアップするという手順を踏むと良い商品が市場にあってもご提供できないんです。ですので、チャットの対応はそういう商品をやり取りの中で紹介できる魅力もあると思います。

「蝶結び」が見据える今後の動き

――チャット対応によって販売の裾野が広がり、お客様に提供できる価値が増えているように感じました。「蝶結び」として今後力を入れていきたいことをお伺いできますか。

杉下さん:機能としてソーシャルギフトを近々入れたいと思っています。様々な形で人と人とがつながるようになり、住所や電話番号を知らないけれど仲が良い人はいるはずです。例えば、Twitterだけでつながっている人にギフトを贈る際、住所を聞くのも心地が悪いかと思います。DMでURLを送ることでその日に送れるプレゼントになりますし、贈り物の現物が手元に届いたときに二度喜んでもらえる仕掛けを作ることが可能です。

ソーシャルギフトの機能は今後ギフトを行う上で必須になっていくでしょう。「相手の住所をわざわざ聞いている時代があったの?」なんて言われる時代が来ると思います。

もう少し先を見据えて力を入れていきたいことは、フルーツ専門店として商品の取り扱いの幅を広げていきたいと考えています。良いフルーツを扱っている農家がまだまだあるはずです。「蝶結び」を介して大切に育てられたフルーツを、贈り手の気持ちに乗せて大切な人に届いて欲しいと思います。蝶結び・農家・贈り手・受け手の4者が上手く繋がれる環境を作っていきたいです。

これからECを始める方へのメッセージ

――ありがとうございます。最後にこれからECを始める方に向けてメッセージをいただけますか。

杉下さん:ECサイトは作って終わりではなく、作ったからが始まりです。その覚悟を持って売上が立たない期間を耐えられるかどうかが本当に肝になってくると思います。気持ちの面もそうですが、現実的に現金を多めに残すことも継続する上で大切です。

私のような規模で小さく事業を始める場合は、EC事業の特徴を活かして、数百万円かけてサイトを作るのではなくある程度余裕を持って立ち上げたほうが良いと思います。その分、広告やSNS運用などにお金を回すなど使い所をよく考えなければいけません。

私はなんとか売上が立つまでの初期段階を抜けられましたが、売上が立たずに半年は寝られない時期が続いたこともありました。続ける中で「今のやり方で本当に大丈夫か?」と不安になることもありましたが、多くの方に協力していただき、強い信念を持って続けることができたからこそ、今があると思います。

インタビューを通して:チャット接客で安心と購入へのひと押しを

ギフトを購入する際、相談して購入できるというのはとても心強いです。大切な人へのプレゼントだからこそ、良いモノを贈りたい、喜んでもらいたいと思います。私も出産祝いのプレゼントで「蝶結び」のフルーツを購入させていただきました。どんなフルーツが良いか、また気をつけるべき点は何かなど、杉下さんにチャットで相談させていただいたので、安心してプレゼントを購入することができました。顧客の満足度を高めていくチャット接客はギフトだけに限らず、ECでは有効な施策ではないでしょうか。

また、杉下さんは記事コンテンツを活用しながら、私の相談にお答えしてくれました。SEOなどの集客だけでなく、接客の際にも記事コンテンツは役立つのです。ギフトの選択肢として、「蝶結び」を利用される際はぜひチャットで杉下さんと相談してみてください。

▼フルーツギフト専門店「蝶結び」
https://www.retrospect.co.jp/

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