Instagram×ポップアップストアのシナジーで最高売上に!「神戸洋靴店」の販売戦略とは
インタビューの概要

パンプス専門店の「神戸洋靴店」は、お客様に合ったパンプスをセミオーダーで提供しています。セミオーダーという商品の特長から、お客様と対面で接客することを大切にしている「神戸洋靴店」はポップアップストアを効果的に活用することで、着実に売上を伸ばしてきました。始めた頃は課題が多かったというボップアップストアをどのようにして軌道に乗せたのか、代表取締役の笹倉結加さんに伺いました。

常設店舗からポップアップストアへ

――靴の販売は実店舗から始めたとのことですが、ポップアップストアを活用することになったきっかけについて教えていただけますか?

笹倉さん:最初は神戸の高架下に店舗を構えていました。営業を続ける中で、固定の場所で販売をしていてはお客様から神戸洋靴店を知ってもらうことに限界があると感じていたのです。ちょうどそのタイミングで、市内の客層が違うエリアでお店を間借りする機会を頂き、予想以上の売上につながります。加えて以前から、県外のお客様や知人からも自分たちの住んでいる場所にも来て欲しいという要望を頂くことが多く、ポップアップストアを始めてみようと思いました。

始めてみると新しいお客様と出会うことができ、数を重ねるにつれて神戸洋靴店を知ってもらえるようになった実感できています。

代表取締役の笹倉結加さん
代表取締役の笹倉結加さん

経験から見えたポップアップストアの課題

――ポップアップストアを始めてからは順調に成果が出たのでしょうか?

笹倉さん:何度かやってみると2つの明確な課題が見えてきました。まず、集客面での課題です。百貨店や商業施設のスペースをお借りして実施することが多く、施設の集客力に依存しているため、天気や施設のイベント有無など、タイミングが悪くなると客足が少なくなってしまいます。ポップアップストアがオープンしてからでは自分たちでできることが少なく、外部環境に頼らずに自社で宣伝力を高める必要性を感じました。

もう1点が接客やコミュニケーション面での課題です。セミオーダーの靴屋さん自体があまり多いものではないため、ポップアップストアで初めて存在を知るお客様が多くいらっしゃいます。すると、商品の紹介ではなく、まずセミオーダーについての説明から始める必要があるため、一人あたりに接客の時間がとても長くかかっていました。また、お伝えしてもセミオーダーでできる範囲の認識に齟齬が出ることなど、販売員の接客レベルの向上や来店するお客様に事前に神戸洋靴店を知っていただく必要があると感じたのです。

課題解決の糸口はInstagram

――集客面と接客面、どちらも非常に重要な課題かと思います。解決するためにどのようなことを取り組んだのでしょうか?

笹倉さん:解決の糸口はInstagramの活用でした。Instagramはポップアップストアを始めた頃にアカウントを開設しました。アカウントを作って間もない頃は、インフルエンサーにギフティングで宣伝をしてもらったり、商品写真を投稿したりと、今思うと一方通行な投稿や施策が多かったと思います。実際やっていて効果を感じられることは少なかったです。

商品の掲載やリポストが多い初期の投稿
商品の掲載やリポストが多い初期の投稿

――一方通行だったInstagramの活用をどのように変えて、課題解決につなげられたのでしょうか。

笹倉さん:まず、Instagramに投稿する内容を一方通行な内容からコミュニケーションを取りやすいものへと変更しました。具体的には、商品の写真中心だった投稿を靴の知識や足のトラブルの原因などセミオーダーであれば解決できる、お客様にとって役立つ内容へと変更します。こういった投稿を増やすことで、徐々にコメントやDMで反応を頂くようになりました。

コミュニケーションを取りやすい通常投稿に加えて、参加型のストーリーを発信
コミュニケーションを取りやすい通常投稿に加えて、参加型のストーリーを発信

笹倉さん:コミュニケーションを意識した投稿を増やすことに並行して、Instagram広告を回しながら認知を獲得し、通常の投稿を増やすことでエンゲージメントの量も割合も高まっていきました。広告運用は開始当初ターゲットを幅広く設定していましたが、具体的なお客様をイメージしながら年齢・地域・興味関心など設定を細かくすることで費用対効果が高まったと感じています。

来店するお客様像を具体的に描く集客

――Instagramの通常投稿と広告の運用を並行して行うことで、潜在的なニーズを持つお客様から認知を得られるようになってきたのですね。Instagramからポップアップストアの集客にはどのようにつなげていくのでしょうか?

笹倉さん:まず、ポップアップストアの開催日の1ヶ月ほど前からInstagramで告知を始めます。告知は通常の投稿と同時に広告を回すことが大切です。都心か地方か、開催場所によってお客様の来店範囲が変わるため、広告の配信エリアは会場まで電車で来られる範囲や車で来られる範囲を具体的にイメージしながら設定します。

集客の広告効果を高めるために、開催後にお買い求めいただいたお客様がどこから会場までお越しいただいたのか集計することが重要です。集計したデータを広告の配信エリアに重ねることで、回を追うごとに広告効果を高めることができています。

転換点となるポップアップストアの「予約制」

――広告で認知を獲得してからポップアップストアに来店いただくほど関心を持っていただけるのは、コミュニケーションを意識したInstagramの投稿が積み重ねられることで形作られたように思いました。ポップアップストアの開催告知以外に、集客面の課題をクリアした工夫はありますか。

笹倉さん:集客と接客、両方の課題を解決できる工夫として、ポップアップストアを予約制に変更しました。変更のきっかけは課題解決のためというよりはコロナ禍の影響で、お客様不安を減らせればという想いからです。

予約制に切り替えたことが幸いし、良い結果を生むことになりました。まず、予約状況から集客規模を予測できるようになるため、施設頼みだった集客を自社でコントロールできるようになったのです。また、催事を重ねることで予約数に対して売上の予測が立つようになります。広告を回す際に費用対効果を考えながら集客できることは大きな利点といえるでしょう。

予約制にしたことは接客面についても効果がありました。ご予約いただくときに悩みをアンケートに記入いただいています。そのため、お客様は「神戸洋靴店」がどのようなサービスかをご理解の上、来店いただけるようになりました。販売員はお客様がどのような悩みをお持ちか事前に把握できるため、接客の質が向上したのです。

加えて、予約をすることでお客様の購買意欲が上がったように思えます。人流の多い商業施設でふらっと足を止める方とは購買意欲が違い、ご予約した方の場合は8割がお買い求めいただけています。

靴を試着してから買っていただくECサイトの設計

――予約制に切り替えたことが大きな転換点になりましたね。Instagramとポップアップストアの組み合わせで良い循環を作れていることがわかりましたが、その中でECサイトはどういった役割を担っているのでしょうか。

ECサイトを開くと商品より先にオーダーの仕方などのコンテンツを掲載
ECサイトを開くと商品より先にオーダーの仕方などのコンテンツを掲載

笹倉さん:ECサイトは最初にアクセスいただいたタイミングでは、すぐに購入していただく設計になっていません。お客様の行動としては、まず、Instagramの投稿で神戸洋靴店を知っていただき、ECサイトに訪れて、商品やサイト内のコンテンツをしっかりご覧いただきます。ECサイト内にポップアップストアの予約フォームを搭載しているので、新規のお客様はお買い物よりも先に催事に来ていただく設計になっています。そのため、神戸洋靴店のECサイトで初めてお買い物をする方は、8割が一度はポップアップストアに来たことがある方なのです。

神戸洋靴店のECサイトは、一度も靴を履かずに買っていただくサイトではありません。店頭でお試しいただいて、ご納得したお客様がお買い求めいただくサイトになっています。

お客様と密なつながりを持ち続ける

――まずInstagramで認知を獲得し、ECサイトでポップアップストアの予約を受け付け。その後店頭での接客や採寸を通してECサイトで販売するまでの流れはお客様のニーズを満たすためにリアルとウェブを上手く融合した設計だと感じられました。販売後もお客様とのコミュニケーションは続くのでしょうか?

笹倉さん:お客様にはLINE公式アカウントへの友だち登録をお願いしています。割引の特典をつけていることもあり、友だち登録はほぼ100%のお客様が購入のタイミングでしていただけます。

セミオーダーではありますが、馴染むまで履き心地が安定しないこともあります。そういったご案内を商品には入れていますが、LINEやDMで個別にお問い合わせを頂くこともあるので、1対1の接客はオンラインでもとても大切にしています。

――神戸洋靴店では商品の認知から購入以降まで、お客様が安心できるような購買体験を細部までこだわって提供していることがわかりました。最後に、神戸洋靴店からお伝えしたいことや今後の展望について教えていただけますか。

笹倉さん:自分に合ったパンプスを履きたいという想いのある方、少しでも購入しようかと悩まれた方はお気軽にDMやLINEしていただきたいです。

リアルの接点として今はポップアップストアが中心ですが、並行してセレクトショップの店内で採寸をする機会も増えています。セレクトショップはお客様と接点を増やすサービスとして、神戸洋靴店としては広告宣伝費をかけずに集客できる場として、ショップインショップの形態を増やしていきたいです。オーダーでスーツを提供している企業様など、親和性が高い業態の企業様とのお取り組みできたら良いなぁ、と思っています。

インタビューを通して:固定の枠にとらわれないお客様視点のカスタマージャーニー

自分に合ったサイズを見つけることが難しいパンプスをセミオーダーで販売することを、笹倉さんはオンラインで完結することはできないかと挑戦したこともあったようです。しかし、お客様の声に耳を傾けながら、周囲の人間を巻き込むことで今のカスタマージャーニーが完成しています。

また、他の靴屋と差別化を図るために店頭でのコミュニケーションには特に力を入れているそうです。販売員の接客品質を高めるため、研修や購入後のアンケート調査など、お客様の満足度を高める取り組みを徹底しています。

コロナ禍に試行錯誤した結果、ポップアップストアの運用体制は強固になったようです。徐々に人流が回復してきた2022年、神戸洋靴店は過去最高売上・利益を達成する見込みで動いています。

ポップアップストアの運用について参考にしたい、自分に合ったパンプスを購入したいと思った方はぜひ神戸洋靴店をご覧ください。

▼「神戸洋靴店」ECサイト
https://kobe-yt.com/

▼「神戸洋靴店」Instagramアカウント
https://www.instagram.com/kobeyt_official/

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