「再配達率の半減に向けたポイント還元施策」と「Amazon・楽天が処方薬の販売に参入」EC関連ニュースまとめ【2024年8月】

日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2024年8月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回取り上げるテーマは、「再配達率の半減に向けたポイント還元施策」と「Amazon・楽天が処方薬の販売に参入」の2つです。

本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらも合わせてチェックしていただければと思います。

再配達率の半減を目指す「ポイント還元実証事業」が10月より開始

2024年7月25日に、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」の第5回目が開催されました。その中で、「物流の2024年問題」に対応するため、「物流革新に向けた政策パッケージ」の1つの施策として、再配達率の半減を目指した「ポイント還元実証事業」を2024年10月から実施することが発表されています。

▼参照:「物流革新に向けた政策パッケージ」の進捗状況と今後の対応
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/dai5/siryou.pdf

受け取り方法や配送日時を指定する際に、ポイント還元を行うことで、物流負荷の低い選択を消費者に促す仕組みの社会実装を目指すとのこと。再配達率を12%から6%まで減らすことを目標に掲げています。

このポイント還元実証事業には、主要なeコマース事業者および物流事業者が参加します。各社、再配達を減らすための具体的な施策を展開する予定です。なお、国として1配送当たり最大5円を支援するとのこと。

eコマース事業者の施策としては、下記のような取り組みが挙げられています。

  • Amazon
    非対面など多様な受け取り方法を活用し、一度で受け取れた場合にポイントを還元。
  • 楽天
    日付指定による一回の受け取りでポイント還元。
  • LINEヤフー
    お届けまで余裕のある日付を選んだ場合にポイント還元。

日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便などの主要物流事業者も、柔軟な受取方法の提供を通じて再配達の削減を目指します。直近では、日本郵便、ヤマト運輸に続いて、佐川急便も置き配の選択が可能になることを発表されました。

森野さん
「物流革新に向けた政策パッケージ」にはさまざまな施策がありますが、「ポイント還元実証事業」に関しては、あまり本質的な解決策ではないように感じます。
舟本
最大5円の支援があるとのことですが、この支援金の集計や支払い、運用の整備、委託費などを考えると、見合った効果が得られるかどうかは疑問です。
森野さん
受け取れる環境や仕組み作りに力を入れたほうが良いとは思いますね。
竹内
とある食材宅配サービスを利用しているのですが、特殊な箱に保冷剤を入れており、置き配が可能なんです。これは非常に良い取り組みではないでしょうか。

Amazon・楽天が処方薬のオンライン販売に参入

Amazonは、薬局によるオンライン服薬指導から処方薬の配送まで利用できるサービス「Amazonファーマシー」を、2024年7月23日から日本でも提供を開始しました。「Amazonファーマシー」は、Amazonショッピングアプリ上から利用することができます。

「Amazonファーマシー」は、メドレーが提供するクラウド診療支援システムおよび患者向け総合医療アプリ「CLINICS(クリニクス)」と連携しており、オンライン診療のニーズにも応えています。

一方、楽天も処方薬を薬局で受け取ることができるアプリ「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ(2024年4月18日に提供開始)」にて、処方薬の自宅配送に対応することを2024年8月8日に発表しました。現在、初回利用者を対象に「楽天ポイント」を進呈するキャンペーンを実施しています。

「Amazonファーマシー」は2024年7月23日時点で2,500店舗の薬局と提携、「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」は2024年7月末時点で約5,000店舗の薬局と提携しています。

処方薬のオンライン販売は、薬局業界に与える影響は大きいと考える方が多く、イヤクルの意識調査によると、薬剤師の7割以上が業界に何らかの影響を与えると回答しています。

森野さん
花粉症など、毎年同じ症状が出る病気のために、わざわざ病院に行って診察を受け、薬を処方してもらうのは手間ですよね。オンラインで完結できるのは非常に有難いです。
舟本
また子供を病院に連れて行くと、別の病気をもらってしまうリスクもあるので、オンラインでの診察や処方は安心ですね。
森野さん
薬をすぐに受け取る必要がない場合は、ネットで後から購入できるのも助かるのではないでしょうか。
竹内
子供が流行りの病気にかかった際、近所の薬局でその処方薬の在庫がすべてなくなり、探し回った経験があります。ネットで購入できれば、そういった苦労も減りますね。

8月のおすすめ記事

お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。小売事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。

ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。

森野さんのお気に入り記事
森野さん
リアルの接点を作り、SNSで継続的に発信することで、海外市場が身近に感じられるようになったという話が印象的でした。今は世界と簡単につながれる時代だからこそ、少しの工夫で越境ECが可能になるんでしょうね。
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竹内
もともと滞留在庫をECで販売することから始まり、現在では地域限定のECサイトや全国展開のサブスクリプション型ECの運営に至った大川家具の取り組みを紹介しています。トップダウンでの指示を、自社の強みや現場の状況に応じて形に落とし込んでいく事例として、参考になるでしょう。
舟本のお気に入り記事
舟本
今、偽ECサイトが非常に増えており、特に最安値の商品を探していると、そういったサイトにたどり着くことが多いと思います。しかし、クレームは模倣された正規ブランド側に寄せられがちです。こうしたリスクを考えると、コストをかけてでも対策を講じる必要があるのかもしれませんね。

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