「GoogleのCookie廃止撤回」と「CrowdStrikeのブルースクリーン障害」EC関連ニュースまとめ【2024年7月】

日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2024年7月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回は、「GoogleのCookie廃止撤回」と「CrowdStrikeのブルースクリーン障害」をテーマに見ていきます。

本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらも合わせてチェックしていただければと思います。

GoogleのCookie廃止撤回

2024年7月22日に、Googleのプライバシー サンドボックス担当副社長であるアンソニー・チャベスさんが、「3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)の廃止をしない」と発表しました。

▼参照
ウェブ向けプライバシーサンドボックスの新しいアプローチ
日本語:https://blog.google/intl/ja-jp/products/android-chrome-play/privacysandbox/
英語:https://privacysandbox.com/news/privacy-sandbox-update/

3rd Party Cookie は、ユーザーのオンライン行動を追跡するために広く使用されてきましたが、ユーザーのプライバシーが侵害されるリスクが高まるため、多くのプラットフォームやブラウザが廃止を検討してきました。Google社もChromeブラウザにおける3rd Party Cookieを廃止することを宣言されており、多くの企業がCookieレス時代に向けて動いていたかと思います。

3rd Party Cookie廃止によるEC事業者への影響としては、

  • リターゲティング広告やアフィリエイト広告の効果が下がる
  • 広告の効果測定の精度が下がる

などが挙げられます。

Google社でも、広告収入に依存するビジネスモデルを支えながらも、インターネット上のプライバシー保護を強化できるようにプライバシー サンドボックスを開発してきました。

開発にあたって、パブリッシャーや広告主、オンライン広告に携わる企業・団体などのフィードバックを受けながら取り組んできたのですが、結局、3rd Party Cookieの廃止はしないという判断に。

とはいえ、Google社はプライバシー保護の代替手段を持つことが引き続き重要だと考えており、今後もプライバシー サンドボックス API の提供と投資をしていくようです。プライバシー サンドボックス APIの導入が増えるにつれて、プライバシー保護を強化しつつも、広告効果などを高めることができるとGoogle社は言います。

現時点ではプライバシー保護の強化にあたって、Chrome に新しい機能を導入することで、ユーザーがウェブの閲覧に関する情報を管理、およびその設定をいつでも変更できるようにするとのことです。また、追加のプライバシー管理機能も提供する予定で、たとえば、Chrome のシークレットモードに IP 保護機能を導入する計画を告知されていました。

森野さん
iPhoneからのアクセスの多くを占めているSafariでは、すでに3rd Party Cookieが規制されている状況です。そのため、このタイミングでChromeのCookie廃止について気にされている事業者さんはあまりいないように思えます。
竹内
今後、Googleが3rd Party Cookieを廃止するかどうかはわからないですが、廃止に備えて、できることってあるのでしょうか?
森野さん
自社で顧客データをしっかりと集めて、整備し活用することですね。たとえば、Google広告であれば拡張コンバージョンが利用できます。1st Party Dataがないと選択肢が狭まるので、厳しくなるでしょう。

CrowdStrikeのブルースクリーン障害

2024年7月19日、セキュリティソフトウェア会社のCrowdStrike(クラウドストライク)がリリースしたソフトウェアの更新により、Windows 10およびWindows 11を実行しているコンピュータがクラッシュする障害が発生しました。Windowsシステムがブルースクリーンになり、再起動とクラッシュを繰り返す事態となったのです。

CrowdStrikeのCEOであるジョージ・カーツさんは、この問題がサイバー攻撃ではなく、ソフトウェアの欠陥によるものであることを発表しました。

▼参照
本日の障害に関する声明
英語:https://www.crowdstrike.com/blog/to-our-customers-and-partners/
日本語:https://www.crowdstrike.jp/statement-on-falcon-content-update-for-windows-hosts/

この障害により、多くの企業や政府機関が影響を受けましたが、日本の小売業界も例外ではありませんでした。セブン-イレブンやユニバ―サル・スタジオ・ジャパンなどが影響を受けており、さまざまなメディアが取り上げています。国内・国外問わず、多くの小売事業者がPOSシステムのクラッシュやオンライン注文システムの停止に見舞われたのです。

▼参照
セブン‐イレブン 一部商品購入できず パソコントラブル影響
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240719/1000106596.html
USJ、ソフトウェア障害を受け来場予定者に呼びかけ 20・21日のチケット購入・レストラン・ショップなど注意
https://www.oricon.co.jp/news/2336960/full

この障害による世界的な経済的被害は、少なくとも100億ドルと推定されています。問題発生から数時間以内に修正版がリリースされましたが、影響を受けたコンピュータは手動で修正する必要があり、多くのサービスで障害が続きました。

CrowdStrike社は、影響を受けた企業やパートナーに対して引き続きサポートを提供し、同様の問題が再発しないように対策を強化するとのことです。また、Microsoft社やGoogle社などの主要なクラウドサービスプロバイダーとも協力して、迅速な対応を進めていくと発表されています。

▼参照
CrowdStrike の障害の影響を受けたお客様への支援について
日本語:https://news.microsoft.com/ja-jp/2024/07/22/240722-helping-our-customers-through-the-crowdstrike-outage/
英語:https://blogs.microsoft.com/blog/2024/07/20/helping-our-customers-through-the-crowdstrike-outage/

森野さん
システムのトラブルをはじめ、何かあったときのために、アナログの手段は持っていたほうがいいかもしれませんね。特にカートシステムや一元管理システムなどは代替手段がないので、人力で対応するしかないかと。
舟本
不具合やバグを想定したうえで、ツールやシステムを導入するというのはあまり現実的ではないように思います。
森野さん
そうですね。ただ、どんなツールやシステムを導入するにしても、何かあったときのために自社のデータのバックアップはしっかりと取っておくべきでしょう。

7月のおすすめ記事

お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。小売事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。

ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。

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森野さん
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竹内
システムに業務を合わせることができない理由など、DXを実現することがなぜ難しいかが事例を踏まえて、わかりやすく書かれています。「どこまでをシステム化するか」「どの部分をアナログで対応するか」といった判断基準や意思決定は、DXを推進しようと思っている方の参考になるでしょう。
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舟本
広告のクリエイティブ作成や広告運用にあたってPDCAを回す際に、北の達人コーポレーションさんがどのように生成AIを活用しているかをお話しされています。また、画像生成AIツールを提供しているFotographer AIさんからは、生成AIの最新技術についてご紹介いただいています。

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