
日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2024年6月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回は、「江崎グリコとキリンホールディングスによるD2C企業の完全子会社化」をテーマに見ていきます。
本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらも合わせてチェックしていただければと思います。
江崎グリコによるGreenspoonの完全子会社化
江崎グリコ社は、冷凍ヘルシーミールの定期宅配サービス「GREEN SPOON」の企画・製造・販売を行うGreenspoon社の全株式を2024年6月3日付で取得し、完全子会社化しました。健康・⾷品事業の中でも、日常的に喫⾷する主菜・副菜の分野を強化し、生活者の健康的な毎日への関与度をより高めることが目的だそうです。
GREEN SPOONは4年間で累計会員数15万人を突破しており、売上も順調に成長を続けていました。今回のグループ入りの意思決定にあたって、「GREEN SPOONを世の中に残る普遍的なブランドにする確率を1%でも上げられるか」を最も重視されたとGreenspoon社の代表取締役CEOの田邊友則さんは言います。
これまで江崎グリコ社から出資、融資合わせて多大な支援を受けてきたとのことです。今後は、江崎グリコ社のメーカー経験、サプライチェーンノウハウ、経営リソースを活用し、さらなるブランド成長を目指していくと田邊さんは話されていました。
GREEN SPOONの未来への意向表明にあたって、田邊さんがnoteを書かれておりますので、こちらも合わせてご覧いただければと思います。
▼GREEN SPOONはグリコグループにジョインしました(田邊 友則 I GREEN SPOON)
https://note.com/tomonoritanabe/n/n9c3c36c391a0




キリンホールディングスによるファンケルの完全子会社化
2024年6月14日に、キリンホールディングス社がファンケル社の完全子会社化を目的とした公開買い付けを開始することを発表しました。
もともとキリンホールディングス社はファンケル社とは2019年に資本業務提携をしており、付加価値創出の取り組みを実施してきました。
今回、完全子会社により実現したいこととして、以下の3つを挙げられています。
1.国内における強固なBtoC事業基盤の獲得
- ファンケル社が持つ国内の強固なDtoC顧客基盤(リアル店舗およびECチャネル)を活用し、グループの国内収益基盤を確立。
- ファンケルのCRMの強みを活かして国内のDtoC事業を強化。
2.各社の強みの相互補完
- 健康食品事業と化粧品事業の獲得により、健康課題に対してサプリメントや飲料などの内側からのアプローチに加えて、外側(スキンケア)からもアプローチが可能となる。
- グループの知見によるファンケル社の海外成長の加速。
3.機能の共通化・効率化
- 本社機能やサプライチェーンマネジメントなどの共通化・効率化。
ファンケル社の完全子会社化により、国内における収益基盤の確立およびヘルスサイエンス事業全体における各付加価値創出の取り組みがスピード感を持って進められるようになると発表されています。
キリンホールディングス社のヘルスサイエンス事業は今後、R&Dの強みを活用し、ブランドビジネスであるBtoC事業に機能性素材の開発・展開を加えた独自のビジネスモデル構築を実現することで、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーとなるのを目指しているとのことです。
▼参照:株式会社ファンケルの公開買付け開始に関する説明会資料(スクリプト付き)
https://pdf.irpocket.com/C2503/BbNL/QMds/GFLO.pdf
一方、ファンケル社は創業から一貫して世の中の「不」の解消を追求してきました。売上の7割を占める直販チャネル(通信販売、直営店舗販売)で培ったお客様とのつながりや顧客理解力、お客様の声を研究開発に生かし商品化する技術を強みとしています。
今回、キリンホールディングス社にグループ入りすることで、強みの源泉である創業理念は変えることなく、ブランドの「ファンケルらしさ」を一層高め、自社の企業価値の最大化を目指していくとのことです。




6月のおすすめ記事
お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。小売事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。
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