専門商社から自治体のパートナーに!?新しい価値を提供し自治体を支える姿勢
株式会社イミュー 田中文滋さん
インタビューの概要

新卒で鉄鋼系専門商社に入社した田中文滋さんは、2022年12月から株式会社イミューに転職し、自治体のパートナーとしてふるさと納税の寄付額最大化に向けた支援をしています。「海外で働きたい」想いから門戸を叩いた商社で中国駐在を1年半経験した一方、付加価値をつけづらい業務内容に、満たされない気持ちが募っていたようです。現在、全く異なる領域の業務に挑戦し、1年が過ぎた今、田中さんの仕事への想いや今後ありたい理想の姿について伺いました。

海外で働きたい!を叶えるために選んだ新卒のキャリア

――まず、新卒で鉄鋼系の商社に入社することになった経緯を教えていただけますか?

田中さん:大学院の在学中に、メキシコへ留学し、先住民と移民の研究をしていました。現地の方と触れ合う中で、メキシコや中南米の方たちの家族愛の深さに驚かされたんです。しかし、現地には稼げる仕事が少なく、先進国への出稼ぎで家族と離れ離れになってしまうことは少なくありません。

家族を愛する彼らに現地でも稼げるビジネスがあればと考え、ビジネスを作れる人間になってお世話になったメキシコの方々に恩返しができればと思いました。もともと海外で働きたいという漠然とした気持ちに、メキシコでの経験が加わり、現地に拠点を持っている企業を志望したところ、御縁があり、鉄鋼系の商社に入社するに至ります。

海外駐在が叶うもルーティン化された業務

――入社してからはどんな業務に取り組んだのでしょうか。

田中さん:幸い、配属先は海外に行く機会のある貿易部隊の部署でした。最初の2年は中国向けに貿易実務を行い、3年目から中国の拠点に研修派遣されます。派遣先での業務はルーティンが決まっていて、毎月月初にクライアントであるメーカー各社と交渉し、工場で鉄の加工を割り振り、ロスが出ないように納期を調整しながら納品する流れです。

メーカーとの交渉による営業のみならず、工場の現場に携わる生産管理や品質管理を学べる環境でした。中国には2年いる予定でしたが、途中、コロナの影響により1年半で日本へと帰っています。

海外駐在が叶うもルーティン化された業務

海外経験を経て感じたこと

――海外で働くことできましたが、思い描いていたような経験は積めましたか?

田中さん:入社後の早いタイミングで海外での業務経験を積めたことは非常にありがたかったです。コロナで早期に帰国することになりましたが、今後も海外を拠点の一つとして働きたいと、キャリアをポジティブに考えるきっかけになりました。一方で、今の自分は大きな会社の小さな歯車の1つでしかなく、新しいビジネスを作りたい、自分の仕事により大きな付加価値をつけたいと思う気持ちを叶えられるのかと不安な気持ちもあったんです。

自分の軸に適した環境との出会い

――勤め先で上を目指す気持ちと、なりたいビジネスマンの理想の姿を歩めていないモヤモヤに揺れていたように思います。イミューへの転職はどういった理由で決意したのでしょうか?

田中さん:代表の黒田とは私が大学院生の頃に出会いました。当時、メキシコに詳しい知人から現地の情報をいろいろと聞いているうちに、メキシコ留学のために渡航費を稼ぐならと、その方が営業する飲食店を紹介してもらったんです。そのときの面接官が黒田でした。

それから黒田は飲み仲間として、そして良い先輩として、私の知的好奇心を駆り立ててくれる存在でした。イミューを立ち上げたとき(2021年4月)から事業の話は聞いていて、そのスピード感に驚きました。自治体に対してふるさと納税の寄付額を最大化するサポートをする、世間的にコンサルタントの領域で括られる業務かと思いますが、そのサポートの形には枠がなく、個人の裁量でいくらでも付加価値をつけられるのは私が求めていた仕事に近いのではないかと感じたんです。

話を聞けば聞くほど面白いと思うようになり、「うちで働かないか」と声をかけてもらったことが決め手となり、2022年12月からイミューに入社することになりました。

転職で全く異なる業務領域に挑戦することに

――転職をしてからはガラリと業務内容が変わったかと思います。どんなことから取り組み始めたのでしょうか。

田中さん:自治体のパートナーとして、まずはふるさと納税のポータルサイトにおける広告運用から始めました。私が入社したのが12月でして、最もふるさと納税の需要が高まる時期に、今まで触れたことのない広告の管理画面とにらめっこしながら、予算やクリック単価を調整するのは刺激的で瞬く間に時間が過ぎていったことは忘れられません。

その後、広告運用だけでなく、データを参照しながら課題を抽出し、その課題を解決するための施策出しから実行、分析まで行うようになりました。また、今では自治体の課題を踏まえて年間の戦略立案をしたり、その戦略に紐づく戦術を出したりと、業務の幅は広がっています。

前職では決まった業務が大半でしたが、今は自ら考えて形作る仕事の割合が非常に多くなりました。入社直後は頭の使い方が違い過ぎて苦労しましたが、徐々に慣れてきたように思います。

工場での産品製造で知る現地のリアルと関わり方

――入社から1年あまりですが、すごいスピードで業務範囲が広がっていますね。

田中さん:実はWebに関する業務だけでなく、それ以外にも全く異なる業務に取り組みました。イミューでは自治体の支援以外にも自社で北海道白糠町に工場を構えて産品の製造・加工を行っています。この工場の立ち上げが2023年9月でして、生産に際して人員が不足していたため、そのヘルプに入っていました。

――というと、どういった業務をすることになるんですか?

田中さん:工場立ち上げに伴い、最初に生産を開始したのはブリでした。工場で働く方のほとんどが現地で採用された方々です。水産加工で働いた経験がある方がいれば、ない方もいて、弊社と関わりの深いプロのシェフに教わりながら品質やオペレーションの安定化を進めていきました。このとき、前職の生産管理や品質管理など、工場での経験が少なからず活きたのではと思います。さらに、私自身、魚を切ったことがない状態から実際にブリを捌くことになったのですが、新しい技術を体得するのは好きなほうで、やり始めると楽しくなりましたね。

――ブリは小さくはない魚だと思います。工場という点は前職と若干近いところがあるかもしれませんが、前任者がいるわけではない土地での新しい挑戦は苦労があったのではないでしょうか。

田中さん:ブリはただでさえ足が速く、捌くのが難しい魚と言われています。加えて、イミューとして出す初の産品であること、2023年は暖冬で迅速に処理を行わないといけないことを理由に、ときには現場で厳しい言葉を伝えないといけないことがありました。

白糠町は人口7,200人の町のため、東京のような雇用主と雇用者が見ず知らずの関係で、ビジネスライクに繋がっているケースは多くないようで、そういう意味では当方の関わり方にやりづらさを感じさせてしまった場面もあったと思います。現地での業務を通して、コミュニケーションを交わしながら、そういった背景を知ることで現地の文化を尊重する大切さを知ることができました。

工場の立ち上げから大体2週間おきに現地で働いていましたが、会社として頑張りたいことの方向性をお話しながら、時間の経過とともに良い関係を築くことができたのではないかと思います。現在は工場の稼働が安定しているため、私が現地に入ることは少なくなりましたが、良い方々ばかりで、本当にありがたかったです。

工場での産品製造で知る現地のリアルと関わり方

――産品開発の現場で、新規工場の立ち上げから返礼品を1つずつ作り上げる経験をしているパートナー企業は非常に稀かと思います。

田中さん:PCを見ながら数字とにらめっこをしているだけでは想像できないことをこの経験を通して学べたと思います。施策の提案を行う上でも、事業者様が裏側で実際にどんな業務をしているのか想像できるようになったこと、想像以上にふるさと納税には多くの方が関わっていることは、現地に入らなければ知ることはできませんでした。

クライアントに新たな価値を提供しながら自己実現を目指す

――Webマーケティングの知識に加え、産品開発の経験など業務範囲の拡大に合わせて、田中さん自身の守備範囲も大きく広がった1年間ではないでしょうか。今後、ますます新しい挑戦を続けていくかと思いますが、最後にご自身の目指した理想の姿を教えていただけますか。

田中さん:前職と比べると今は仕事の仕方が抜本的に異なります。以前はいかにミスをしないで業務を遂行するか、減点方式だった印象があります。今は数多くある選択肢の中から、状況と効果に応じて優先順位を付けて、最適解を選んでいく必要があります。最善策を取れているかと言われると、まだまだ至らない点はありますが、これは自分の仕事に付加価値を付けたいと考えていた私にとって、まさに求めていたことだと言えるでしょう。

一つ一つの提案に納得いただいて、実行まで進んでいくこの仕事が今はとても楽しいです。提供する付加価値を積み重ねていく先に、国内に留まらず、改めて海外に挑戦するチャンスがあると思います。自分の好きなものを海外のマーケットで広げていくようなビジネスを作るため、引き続き目の前の仕事を頑張っていきたいです。

インタビューを通して:自己実現に向けて全力で挑戦を続ける

田中さんが転職を決めたのは32歳です。それから業務領域が180度異なる挑戦をするのは苦労に難かったことが想像できます。転職後、業務に打ち込みながら、足りない情報は読書やその領域のプロを頼ることで壁を乗り越え、持ち前の人当たりの良さで仲間を増やしていることが取材からわかりました。

自己実現に向けてたゆまぬ努力と挑戦を積み重ねる田中さんが、より高い価値を提供し続けることを陰ながら応援していければと思います。田中さん以外にもイミューで働く方にインタビューをしているので、ぜひ併せてご覧ください。

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