
本連載では、Makuake=クラウドファンディング=資金調達ではない、新商品やサービスを戦略的に市場に投入するという視点で、4回に渡り効果的なMakuake活用について深掘りしていきます。それぞれテストマーケティング、商品企画、ファンづくり、販促ツールという4つのテーマを通じて、具体的な戦略と、実際の成功事例を紹介します。最終回となる4回目は「Makuakeの実績を通じた販路開拓」をテーマにお話させていただきます。

連載の第4回となる本記事では、Makuakeでの成果をどのように一般販売時のマーケティング戦略に活かし、製品の認知度を高め、販売促進につなげるかについて解説していきます。
山角 亮介
株式会社マクアケ
セールス局 マーケティングG マネージャー
新卒で株式会社サイバーエージェントに入社し、 主にデジタル販促分野において、広告事業開発・営業に従事。
2021年4月株式会社マクアケに入社し、イベントを中心としたマーケティング/PRを担当。 マクアケ初のユーザー向けリアルイベント「Makuakeミライマルシェ」、年に1度のMakuake実行者向け表彰式「Makuake Award」の責任者を担当。 2022年4月社員総会 最優秀新人賞を受賞。2023年10月より新規獲得のBtoBマーケティングに従事。
Makuake:https://lp-mk-2.makuake.com/
企業HP:https://www.makuake.co.jp/
X(旧Twitter):https://twitter.com/zumi_tozzo
この記事の目次
Makuakeを活用するメリットとして挙げられる「PR・認知獲得」「実績づくり」
Makuakeは「購入型」のクラウドファンディングの仕組みを活用したECプラットフォームです。国内未発売の新商品・(飲食店など)サービスのプロジェクトが毎月500件以上公開されています。Makuakeでプロジェクトを実施した経験のある事業者を対象に行った過去の調査では、約7割の事業者がMakuake実施後に一般販売を行っており、Makuakeの実施が一般販売に活きたと回答しています。

また、Makuake実施後に感じたビジネスメリットとして、「テストマーケティング」に続いて「PR・認知獲得」が50%、「実績づくり」が45%と、Makuake上での販売に留まらないビジネスメリットを実感している実行者が多数存在しています。

では、Makuakeを活用することによるビジネスメリットで挙げられている「PR・認知獲得」「実績づくり」がどのような動きに繋がっているのでしょうか。
Makuakeでの成功が1次流通市場での可能性を拡大する
第1回でもお話しさせていただいた通り、Makuakeは自身の市場を、1次流通市場の前に新商品・サービスのお披露目を消費者に直接行う「0次流通市場」と規定しています。

冒頭でもお伝えした通り、Makuakeはあくまで新商品がデビューする場であり、Makuakeでのプロジェクトのみで終了することはほとんどありません。Makuakeで実現した「PR・認知獲得」「実績づくり」が1次流通市場での展開に大きな影響を与えています。
① Makuakeを通じて話題化したことにより、新たな販路開拓に繋がる
Makuakeで実施される注目のプロジェクトは、初日から応援購入金額・サポーター数ともに大きく伸びるため目立ちやすく、メディアなどの取材が入り、PRの機会創出に繋がることが多いことが特徴の1つとして挙げられます。ニュースになることで、Makuakeプロジェクトの応援購入が加速するだけでなく、その話題を目にした量販店や雑貨店から、一般販売を見据えた問い合わせが届くことがあると多くの実行者からお声を頂いています。
② Makuakeでの実績が、強力な販促ツールになる
Makuakeのプロジェクトは「応援購入総額」「サポーター数」が可視化されます。誰の目にも見える形で可視化されることには、大きく2つのメリットが存在しています。
1つ目は量販店などとの交渉において強力な材料になることです。どの程度この商品が「購入」という形で支持されているか証明できることで、商品を仕入れたときの販売イメージを持ってもらいやすくなります。また、Makuake独自で提供している「Makuake Analytics」で確認できる購入者(以下、サポーター)の属性情報を組み合わせることで、より精度の高いデータを提供することが可能です。
2つ目は、一般販売時のプロモーションメッセージになることです。「Makuakeで〇〇万円応援購入されました!」など、数字による実績を打ち出せることで、消費者の購買動機を醸成することが可能になるのです。
③ バイヤーなど商品を仕入れる事業者がMakuakeを「見本市」としてチェックしている
現在Makuakeでは、毎月500件以上のプロジェクトが公開されていますが、その全てが国内未発売の新商品です。この特徴もあり、新商品情報を求めるバイヤーをはじめとした方々が自社で取り扱えるものがないか展示会に行くような感覚でサイトに訪れています。そのため、通常の販路開拓では出会うことができない量販店や雑貨店から声がかかることもしばしば起こっています。
Makuakeで販促開拓を実践している実行者2選
ここまで、Makuakeの実績を通じた販路開拓について解説してきました。本章では具体的なMakuakeでの事例をご紹介します。
① 株式会社CIO
株式会社CIOは『多機能×最新テクノロジーでわくわくする未来をつくる』をコンセプトに、充電器・モバイルバッテリーなどのスマートフォン関連製品を中心に商品展開をしている企業です。これまで30回以上Makuakeを活用し、累計5億円以上の応援購入金額を集めています。

Makuakeを活用した新商品のテストマーケティングに留まらず、プロジェクトでの応援購入総額・サポーター数・実施時に集まる「応援コメント」などの実績を、自社ECやECモール、家電量販店での店頭展開で訴求することで、一般販売時のユーザーに対するプロモーションを効果的に行っています。

このようにMakuakeを新商品デビューの場として活用することで、口コミなど実績が重要視される一般販売の強力な販促ツールとなるのです。
CIOに関しては、上記以外にもMakuake以降の一般販売市場で大きく成長されており、いまや大手家電量販店でも多くの商品が並ぶほどになっています。現在進行形でも複数プロジェクトを実施中です。
株式会社CIOのプロジェクト一覧
https://www.makuake.com/member/index/448840
② brightway(株式会社インターナショナルシューズ)
株式会社インターナショナルシューズは、創業70年を迎えた婦人靴メーカーで、パンプスやロングブーツなどの婦人靴をOEM供給しています。一方で、これまで培ってきた製靴技術を応用したユニセックススニーカーブランド「brightway」を立ち上げ、Makuakeでデビュー。これまで4度の実施でプロジェクトごとに応援購入金額が伸び続け、総額2,500万円を超える応援購入金額を集めています。

株式会社インターナショナルシューズはこれまで自社ブランドを展開したことがなかったため、知名度・販路が全くない状態でのスタートとなりましたが、Makuakeで応援購入金額が集まったことで注目度が上がり、メディア掲載やピッチコンテストへの出場など露出が増えました。
またMakuakeでの実績が評価され、コレクションブランドやメンズブランド、ユニセックス企画の新たなOEMの受注が増え、現在ではスニーカー関連の製造シェアが70%を超える新たな事業の柱になるまでに至っています。ほかにも、新規のOEMで新しい製造方法や技術が蓄積され、そのノウハウを自社ブランドに生かして新商品をMakuakeでローンチする好循環も生まれており、直近でも新たなプロジェクトをスタートされています。
brightwayの新プロジェクト
https://www.makuake.com/project/brightway05/
このようにMakuakeでの実績作りが、ブランド拡大に繋がることが多数あります。
最後に
今回は「販路開拓・販促」の観点からMakuakeを紐解きました。世の中になかった新商品・サービスを広める際、何の実績もない中だと受け入れられづらいものが、Makuakeで実績ができることにより、1次流通市場での拡大に繋がる強力な販促の武器になります。Makuake活用を実施時だけではなく、実施後の展開も意識したプロジェクト設計が重要です。
これまで4回に渡って、新商品販売を加速させるMakuake活用について解説してきました。今後もMakuakeは新商品・サービスが生まれる0次流通市場に向き合っていきます。皆様の新商品・サービスデビューの機会でご一緒できることを楽しみにしております。
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