苦情・クレームと顧客トラブルは別物!優良顧客・悪質顧客(モンスター顧客)の見分け方と対応方法

クレーム対応はなぜ嫌なものなのか?

Eコマースを立ち上げた後、商品が売れ始めるとすぐに発生するリスクが、顧客対応の問題です。いわゆる苦情・クレームが届くようになります。対応に慣れた方であればよいのですが、ほとんどの方が、苦情・クレームを【悪】と思ってしまうのではないでしょうか?

セミナーなどで、「苦情・クレームは好きですか?」と問いかけると、決まって「いやだ」「嫌いだ」「怖い」と違和感なく回答を頂きます。でも、待ってください。ご自身が、困った・不満がある場合にお店に連絡して、「いやだ」「嫌いだ」「怖い」といった態度で対応されたら、腹が立ちませんか? 本当は、苦情・クレームが嫌いなのではなく、「怒られる」、「謝っても許してもらえない」、「難題を吹っかけてくる」などに対して、「いやだ」「嫌いだ」「怖い」という単なる感情の現れではないでしょうか?

ほとんどのお客様は、本当に困っているから連絡してきます。連絡してまで、その不満を話そうとするのですから、負の感情を持っている方が多いのではないでしょうか? ただ、その中に悪意(意図的に負の感情、いわゆるモンスター的な行為)を持って連絡してくるお客様が存在します。気を付けるのはこの悪質顧客です。これらは行動と感情を分けて考えれば、「優良顧客と悪質顧客」に分けることができます。

優良顧客には謝罪、悪質顧客には毅然とできれば、お客様との友好な関係を維持することができます。これらが明確にわかっていれば、担当するスタッフは安心してクレーム対応することも可能になります。

今回は、クレーム対応について問題・課題を感じている方に向けて、考え方から対処方法までを、記載したいと思います。

苦情・クレームを0には間違い

「苦情・クレームを0件に!!」というKPIを掲げられる経営者がおられますが、そもそもこのKPIは間違いだと思います。「苦情」は、不平不満を感じたお客様が、是正して欲しいと要求する行為であり、「クレーム」は、何らかの被害が生じた場合に、補償を要求する行為です。苦情・クレームには、隠れた要望が含まれることもあります。

人の感性は人それぞれ違うことなどからも、苦情・クレームを0件にすることが良いこととは思いません。もし、すぐに苦情・クレームを0件にしたいなら、方法は2つあります。

①ノークレーム(クレームは受け付けません)と言って販売する。
②商売をやめる。

むしろ、自社の悪いところを指摘していただけると思うと、ありがたい行為です。そこから学ぶものも多く、また新しいアイデアも生まれます。

ではなぜ、皆さんが口を揃えて、「いやだ」「嫌いだ」「怖い」と言って嫌うのでしょうか? 恐らく、怒鳴られたり、嫌みを言われたり、正当論を突き付けられたり、謝ったら負けた気になるとか、謝ったら何か条件を出される、謝っても許してもらえないなど、負の感情が沸き上がってくることに対するご自身の感情ではないでしょうか? ただこれらは、本来の苦情・クレームとは関係のない話です。恐らくですが、必要なのは、苦情・クレーム0件ではなく、顧客トラブル0件です。

顧客トラブルの発生原因

顧客トラブルを0件にしようとする場合、初めに顧客トラブルとは何かを定義する必要があります。私の考えでは、顧客対応には2つの方法が存在します。「神対応」と「毅然とした対応」の2つの顧客対応になります。

「神対応」は、顧客との距離感を近づけ、関係構築に必要な対応であり、「毅然とした対応」は、顧客との距離感を遠ざけ、関係を希薄にするために必要な対応になります。「神対応」は「優良顧客」に、「毅然とした対応」は「悪質顧客」に対して、使用されるべき対応になります。「悪質顧客」に「毅然」とした結果、怒鳴られたり、罵詈雑言を浴びせられたりするのは、顧客トラブルとはいいません。正しい行動の結果でしかないのです。

顧客トラブルの発生原因は、「優良顧客」に「毅然とした対応」、「悪質顧客」に「神対応」した結果、「優良顧客」から支持されなくなったり、逆に「悪質顧客」から支持(狙われる)されたりすることで、内外に悪影響を起こす事態と解釈しています。要するに、「優良顧客」と「悪質顧客」を見誤り、間違った対応を取った結果発生した事態が「顧客トラブル」といわれる正体ではないでしょうか?

優良顧客と悪質顧客はお店ごとに違う

そこで最も必要なのは、「優良顧客」と「悪質顧客」の行動の定義を決めることです。「優良顧客」は自社が求めるお客様の行動、「悪質顧客」は利用してほしくないお客様の行動と解釈しても良いと思います。

ただし単に怒鳴ることだけで、「悪質顧客」の行動の定義にされないようにしてください。これは、何故怒鳴っているのか知る必要があります。もしこれを読んでくださる方が、クレーム対応に問題・課題があり、困っていることがある場合、その本質を理解し改善できるとは思えません。2つのお客様の行動の定義を行うときは、注意してください。

また、お客様の行動の定義は、その企業の経営者の考え(理念・ビジョン・ブランドポリシー)やスタッフの対応力・経験値、商品の原価率・収益などによっても異なるものだと考えられます。その上で、苦情・クレームを受け取る側の意識の統一も必要です。同じ定義でも、経営者とスタッフが違う解釈をしていたら、正しいクレーム対応はできません。これらは、社内で行う勉強会や社内研修で、教育・訓練の一環として認識を合わせる必要があります。

予防のための準備

「優良顧客」と「悪質顧客」の定義が決まれば、それを明示し、スタッフにもお客様にも、告知する必要があります。理念・ビジョン・ブランドポリシーは、優良顧客と価値観の共有を行うものだと思います。

ただし、価値観は考え方であって、人の頭の中は見ることができません。そのため、これを行動に落とした時に、どのような行為が良く、どのような行為が禁止なのか、考える必要があります。いわゆる自社を利用するときのルールを定義することになります。また、ストレートに言うのではなく、ECサイト上で言えば、「利用規約など」を利用し、販売の条件に記載したり、「悪質顧客」の定義を禁止行為欄に記載したりすることが必要です。

このとき、お客様の立場から見て、不公平や不満が生じないか、しっかりと考えてください。表記の間違いが、顧客トラブルを起こす源泉になる場合があると考えられます。

初動対応は与信管理である

クレーム対応には、初動対応というのがあります。今まで相談を受けてきた中で、顧客トラブルに発展するものの多くは、初動対応の間違いに原因があると感じています。これは、単にスタッフが悪いのではなく、初動対応で悪意のある顧客が、あえて対応の間違いを起こさせる原因を作らせるというのもあります。初動で間違えた対応を行った場合、長引くだけでなく、様々な損失を伴いかねません。初動対応は、とても重要な対応です。

私が最も重要だと考える点は、初動対応は与信管理という点です。クレーム対応での与信管理とは、このお客様は、「優良顧客」なのか「悪質顧客」なのか、判断することです。与信管理には、様々なエビデンスが必要になりますが、初動対応時は最もエビデンスを取得するのに適しています。

例えば、初動対応時は、まだその内容が事実かどうかわからない状態です。この時のヒアリングは、疑いではなく、無知な状態に情報を入れてもらうことになります。そのため、後から聞くと失礼に当たることでも、まだ知らない状態では聞くことができます。

良く研修などでは、「ヒアリング・聞く」ではなく、「わからないから教えてください」と言う聞き方をしてくださいと話します。「通常ではこんなことは起こらないのですが、なぜなのですか?」と聞くのではなく、「通常ではこんなことは起こらないのですが、何故こんなことになったのか、わからないので教えてください」と言うだけで、話易くなります。まさにクレーム対応時の「魔法の言葉」と呼んでいます。

例えば、教えて欲しいと懇願しているのに、「自分で考えろ」や、話を曖昧にするお客様は、何か後ろめたい気持ちや、隠していることがある可能性があります。この場合は、初動をやめずに、詳細を教えてもらってください。

本来、クレームに値する不平・不満・被害などが発生している場合、詳細を聞く行為は、信頼を獲得するために必要です。相手を気遣い、相手の立場になったら、しっかり聞いてもらえるのはうれしいはずです。しかし、聞かれてはまずい方は、「お前では話にならない」「上をだせ」「前の担当はそうではなかった」など、話の論点をずらすことが多いのです。

「魔法の言葉」を使って初動対応を行うことで、「優良顧客」なのか「悪質顧客」なのか、自然に理解できます。しっかりと聞かなければ、曖昧になることもありますが、丁寧に初動対応を繰り返すことで、いずれ判明することになります。

誹謗中傷のコメントがあっても、拡散されなければお店は潰れない

悪質顧客の中に、謝罪しても許してもらえず、挙句の果てには「消費者センターに言うぞ」、「マスコミに言うぞ」と威嚇的に使う方がおられます。これらの中で、最近特に多いのが、「WEBやSNSに書くぞ」と脅される方が多くなってきました。世にいう、「ネット炎上させるぞ」ということを言いたいのだと思います。

では、WEBやSNSに書かれたクチコミの中に誹謗中傷があれば、そのお店が潰れるかというと、そうではありません。誹謗中傷を書かれたとしても、それに対して誠実に対応している限り、ネット炎上にはなりません。ネット炎上しなければ、基本的に被害はないものと考えます。ネット炎上とは、ある特定の対象者や記事に対して、批判的なコメントが集中して書き込まれ、収まりがつかない状態になることです。

国際大学山口准教授は、「ネット炎上の研究」の中で、炎上の分類と、炎上の流れを、報告されています。ネット炎上で被害が出るほど批判的なコメントが集中するまでには、段階があり、例えば、人気まとめサイトやニュースサイトに掲載され、大手マスコミが話題にするなどがなければ、収まりがつかない状態にはなりません。

ネット炎上で拡散されるためには、挑発・反論・主張をとおしたり、コメント削除したりするなど、それなりに対応を経ていく過程があります。真摯に対応している限り、世の中の人は理解してもらえると考えられます。

もし、同様の発言をされるお客様がおられたら、「残念ですが、お客様がそうされるとおっしゃられることについて、どうこう言える立場ではございません」とやんわり拒絶することが適切です。

まとめ

最後に、書籍「優良顧客」と「悪質顧客」を100%見抜く方法で詳しく解説しています。

困ったときは、第三者に相談することも必要です。弊社では、月1万円からのクレーム相談「クレームドクター」を行っています。クレームドクターは、損保ジャパンのクレーム対応費用保険を、自動付保しています。実際に弁護士の先生に、問題解決してもらうための費用を補填するサービスになります。安心して業務を運営するためには、リスク対策が必要になります! ぜひ、ご活用ください。

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