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加熱するECモールの物流・配送サービス
楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなど、多くの事業者を抱えているECモールではマーケットプレイス内に顧客を集客し、購買の手助けをするだけではなく、物流や配送におけるサービスを各社展開しています。(楽天市場は日本郵便とYahoo!ショッピングはヤマト運輸と共同でサービスを提供。)
ECモールを利用する顧客はA店で商品を購入したとしても、そのECモールで購入したという意識が強いです。そのため、商品購入後の配送品質を安定的かつ高水準に保つことで、ECモール自体のブランド価値を落とすことなく、顧客と長期的な関係を継続できるようになります。
一方で、ECモールで販売を行う小売事業者は、売上が伸びていくにつれて社内で梱包や出荷作業など物流周りの業務負荷が増えていき、他の業務に支障が出てしまうことがあると聞きます。せっかく売上が伸びたとしても満足に顧客対応ができない状態で、悪いレビューが付いてしまうのは事業者にとってもモールにとっても良いことではありません。
そこで、各ECモールから提供されているフルフィルメントサービスを活用することで、日々の業務を効率化し、顧客満足度の高い運営を行えるようになると思います。本記事では、各社が提供しているサービスを比較し、解説していきます。
RSL・ヤマト運輸フルフィルメントサービス・FBAの料金比較と特徴
3社のサービスについて、1商品あたりの配送料とピッキング料金を合わせた金額と商品サイズごとに1商品あたりで発生する保管料における料金の比較表を作成しました。
料金比較表のダウンロードは下記のボタンから専用フォームに移動し、必要事項を記入すると行えます。
配送料とピッキング料金の比較

まず、配送料とピッキング料金を合わせた金額について、配送サイズごとに見ていきます。
ポスト投函サイズ

ポスト投函サイズはいわゆるメール便のサイズです。価格はヤマト運輸のフルフィルメントサービスのネコポスが最も安く、Yahoo!ショッピングによる注文の場合で230円、それ以外からの注文でもRSLと同額の253円と良心的な価格設定になっています。
FBAの標準1では高さが3.3cm以下までとなっているため、ポスト投函サイズとしては最も厚みのある商品を送ることができます。しかし、Amazonの注文以外で発送をする場合、他サービスの60サイズ水準の価格となってしまうため、多店舗展開やメール便サイズの商品が多い場合はこの点に注意して検討する必要があるでしょう。
宅配便サイズ

60サイズと80サイズの宅配便サイズを多く利用する事業者様の場合は、自社の商品がどの店舗でどれくらいの販売数か確認すると良いでしょう。RSL以外の2サービスは提携しているモール以外からの注文で配送料金が高くなってしまうため、多店舗展開している場合は店舗ごとの販売数の構成比を見て配送料金を計算することをおすすめします。
100サイズ以降は多店舗展開していればRSL、Yahoo!ショッピングのみを利用していればヤマトフルフィルメントが安いでしょう。また、140サイズ以上になるとFBAが他の2サービス水準の価格になります。180サイズ以上はFBA以外では対応していないため、大型の商品を取り扱う場合はFBAを選択するしかないかと思います。
商品の保管料金の比較

配送料金に目が行きがちですが、保管料もフルフィルメントサービスを選択する上で見過ごせないポイントです。料金形態が各社異なっており、RSL、FBAはcm3(立方センチメートル)あたりで保管料の単価が決まっていますが、ヤマト運輸のフルフィルメントサービスでは配送サイズで保管料が決まっています。そのため、今回の比較表では、RSLとFBAは配送サイズに応じた目安の寸法を比較表に記載していますので、相対的な金額の違いの目安としてご利用ください。また、掲載している価格はわかりやすい金額になるよう、1商品を30日保管した場合の価格となっています。
保管料については、アパレル・ファッション系の商品を扱っている事業様はFBAが安いです。FBAでは商品ジャンルや1~9月と繁忙期になる10~12月で保管料が異なるため注意して下さい。
ただし、配送料金を加えて判断すると、価格の面ではRSLかヤマト運輸のフルフィルメントサービスかの2択になるでしょう。80サイズ以下であればRSL、100サイズ以上であればヤマトフルフィルメントが安い印象です。
各フルフィルメントサービスの特徴について
価格については比較表を用いて判断できる点を比較したものの、それぞれのサービスで価格の比較だけでは見えてこない特徴があるため、それぞれの特徴を解説します。
楽天スーパーロジスティクス(RSL)の特徴
導入にあたって、受注管理システム(OMS)の設定が必要です。楽天市場としてBOSSというサービスを推奨していますが、ネクストエンジンやクロスモールなどのサービスとも互換性があります。自社ECサイトや他のECモールに多店舗展開している場合は、今使っているプラットフォームと受注管理システムに互換性があるか確認が必要です。
ヤマト運輸のフルフィルメントサービスの特徴
ヤマト運輸のフルフィルメントサービスを利用すると「優良配送」の商品としてYahoo!ショッピング内で表示されます。「優良配送」の対象商品となることで、顧客に対して安心かつスピーディに商品を届けられることを示せるため、アクセスや売上が伸びるというデータが出ています。
フルフィルメント by Amazon(FBA)の特徴
FBAを利用している商品はprimeマークを表示させられます。primeマークがついているかいないかで、Amazon内における売上への影響が大きく変わってきます。primeマークについては、事業者様からの商品発送であってもマケプレプライムを活用し、特定の条件を満たすことで付与することが可能です。しかし、2021年7月にマケプレプライムの条件改定があり、条件を満たすことが難しくなったため、Amazonの売上シェアが大きく、マケプレプライムの条件を満たすことが難しい場合はFBAの活用が必須かと思われます。
価格だけでみると、FBAは他の2つよりも高いですが、Amazonをメインで販売するなら、primeマークによる売上も加味したうえで判断しましょう。
最後に:商品が届いたときの顧客の感動を大事に
各ECモールの指針から判断するに、注文から商品到着までのスピードを重視している様子が伺えます。今回ご紹介したフルフィルメントサービスを利用することでスピーディな配送を可能にし、ストレスのないスピードで顧客の手元まで商品を届けることが可能になります。
しかし、その一方で梱包資材や同梱物など、商品が手元に届いてから開封し、商品そのものを利用するまでの顧客体験に価値を置いている事業者様であれば、こういったサービスの利用は向いていないかもしれません。自社の顧客に与えられる感動の形は事業者様によって様々かと思います。物流を外部に委託する場合はフルフィルメントサービス以外にも、3PLなどの物流代行会社や決まった料金体系で対応をしてもらえるクラウド物流サービスなどもあるので、自社の向き不向きに合わせて最適なサービスをご検討ください。
料金比較表のダウンロードは下記のボタンから専用フォームに移動し、必要事項を記入すると行えます。
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