2024年BtoC-EC市場は26.1兆円に拡大も成長率は9.2%から5.1%に鈍化!EC関連ニュースまとめ【2025年8月】

日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2025年8月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回は、経済産業省の「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」の結果について見ていきます。

本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらもあわせてチェックしていただければと思います。

BtoC-EC市場は26.1兆円に拡大も成長鈍化

2025円8月26日に、経済産業省は「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」の結果を公表しました。

BtoC-ECの市場規模は26.1兆円で、2023年の24.8兆円から5.1%増加しました。市場は引き続き成長を維持する一方、前年(+9.2%)に比べると成長は鈍化しています。EC化率は9.8%(前年比+0.4ポイント)に上昇し、商取引のデジタル化は引き続き進展しています。

物販系:拡大基調ながら伸びは縮小

物販系は15兆2,194億円(+3.7%)。食品(3.1兆円)、衣料(2.8兆円)、生活家電(2.7兆円)、生活雑貨・家具(2.6兆円)が主要カテゴリーです。書籍・映像・音楽ソフトの市場は縮小傾向にあるものの、EC化率は56.5%と依然として高水準となっています。

サービス系:旅行・飲食・金融がけん引

サービス系は8兆2,256億円(+9.4%)です。旅行(3兆5,249億円、+10.3%)、飲食(9,692億円、+18.7%)、金融(9,890億円、+16.6%)が市場をけん引。一方でフードデリバリーは5,442億円(▲7.3%)と減少に転じました。

デジタル系:横ばい傾向

デジタル系は2兆6,776億円(+1.0%)。有料音楽配信(+5.8%)や動画配信(+3.3%)は堅調に伸びています。オンラインゲーム(1兆2,553億円、▲0.6%)は2023年に続き、縮小し、分野全体の伸びを抑えました。

森野さん
本屋は在庫検索してから行けばすぐ買えるんですよね。実際に手に取って違うと思えば買わずに済むし、立ち読みで判断できるのもリアルならでは。だからECが広がっても、本屋に行く理由ってまだあると思います。
舟本
そうですよね。サービス分野を見ると旅行や飲食が伸びています。特に飲食店は事前決済が広がっていて、無断キャンセル対策にもなっているんです。反対にフードデリバリーは減少していて、成長の勢いが落ち着いてきた感じがありますね。
森野さん
たしかに。デジタル分野でもオンラインゲームは縮小が続いていて、サービス終了の話題も増えてますよね。ただ思ったより下げ幅は小さいなと。コロナの反動を受けながらも、市場はなんとか踏みとどまってる印象があります。
竹内
なるほど。今の話を聞いていると、数字の上下より「顧客とどう接点を持つか」が大事になってきている気がします。リアルは偶然の出会い、オンラインは即時性。どちらも強みがあるから、どう組み合わせるかが次のポイントじゃないですかね。

その他の市場動向

BtoB-EC:市場規模は514兆円で二桁成長を維持

BtoB-EC(企業間取引)の市場規模は514.4兆円となり、2023年の465.2兆円から10.6%増加しました。前年(+10.7%)と同水準の伸びを維持し、昨年に続き二桁成長。EC化率は40.0%から43.1%に上昇しており、国内取引の電子化がさらに加速しています。

CtoC-EC:成長率は鈍化

フリマアプリなどを中心とするCtoC-EC市場は2兆5,269億円で、2023年の2兆4,817億円から1.8%増加しました。前年の+5.0%に比べると成長率は大きく鈍化しており、市場の成熟化がうかがえます。

越境EC:米中市場が主役

日米中の3か国における越境EC市場規模は2024年も拡大しました。

  • 日本:4,208億円(2023年)→4,410億円(2024年、+4.8%)
  • 米国:2兆5,300億円(2023年)→2兆7,144億円(2024年、+7.3%)
  • 中国:5兆3,911億円(2023年)→5兆7,769億円(2024年、+7.2%)

中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆4,301億円(+7.7%)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆9,610億円(+7.7%)となっています。

森野さん
BtoBはやっぱり伸びますよね。非効率なやり方を減らしたいという企業ニーズに加え、DXの補助金なども追い風になっています。ただ「いわゆるEC」というより、業務プロセスのデジタル化が進んでいる印象が強いです。
舟本
確かにそうですね。取引の現場にいると直接の実感は少ないですが、製造業など大規模な取引がデジタル化されているのかもしれません。数字以上に、業界全体の仕組みが静かに変わってきている気がします。
森野さん
僕らの体感でも、BtoBはECというより取引環境そのものの効率化です。知らないうちに仕組みが整っていて、結果的に取引がしやすくなっている。そうした積み重ねが今後の成長につながるんじゃないでしょうか。
竹内
BtoBは消費者には見えにくいですが、裏側では確実に進んでいます。人手不足や効率化の流れを考えると、この分野は今後も拡大していくはずです。

8月のおすすめ記事

お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。小売事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。

ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。

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森野さん
ヒートマップはユーザーの行動を数字で示してくれるので、改善に直結します。スクロールされない部分や離脱ポイントが見えると意思決定が変わりますよね。こだわりすぎて手をつけない人も多いですが、やれば効果は出る。ブランドを重視する場合は別として、まず公開してからデータを見て直すほうが答えは早いと感じます。
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竹内
職人が自らDXに取り組んでいる点が非常に印象的でした。能登の鍛冶職人でありながら、CRMやLINE施策まで実践していて、むしろ一般の事業者より詳しいのではと感じるほどです。伝統工芸とITの掛け合わせによって市場を広げ、未来を切り開こうとする姿勢は、多くの企業にとっても参考になる事例だと思います。
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舟本
クラシコム社の青木さんの記事は3本構成になっていて、どれも示唆に富んでいます。大企業だからできる話ではなく、規模に関わらず多くの事業者が共感できる内容でした。競争は避けたいが必要なら戦う、その間に自分たちに合う手を探すという考え方は特に印象的で、自社の戦略を考えるうえでも参考になると思います。

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