OMOストアとは?オンラインとリアルを結ぶ新しいショップの形

OMOストアとは?

OMO(=Online Merges with Offline)ストアとは、実店舗とECサイトの双方の機能を兼ね備えたお店のことをいい、商品を手にとって体感してもらうことを目的としています。

OMOストアはそれぞれ店舗によって特徴があります。QRコードを使用し商品が作られた背景や生産者の声に触れ、商品のストーリーを感じられるストアや、店頭だけでなくオンラインによるスタッフの接客など、実店舗とオンラインで提供するサービスを組み合わせた販売スタイルを取っているのが一般的です。

店舗によっては、ショールーミングに特化し、商品をその場で販売せず、購入はECサイトのみというところもあります。

OMOストアが注目されている理由とは?

OMOストアが注目されるようになった背景の一つとして、新型コロナウイルス感染症の流行による巣ごもりをきっかけに、オンラインショッピングのニーズが高まったことが挙げられます。オンラインがモノを売る場として成長する中、「体験」を提供する場として実店舗の役割が変化してきました。

オンライン発のブランドがお客様と実際の場で繋がりを持つために、従来はポップアップストアのような形で、ショッピングセンターや百貨店を短期的に間借りしていました。OMOストアの台頭により、ブランドは以前よりもリアルの売り場を持ちやすくなった側面は事業者が注目している要因の一つとして考えられます。

OMOストアを実施するにあたっての課題とは?

OMOストアを実施するにあたっては、実店舗・ECサイト・物流などそれぞれが、これまでとその役割や運営方法を改め、OMOストアに適した形に合わせる必要があります。

まずOMOストアでは、実店舗・ECサイト・SNSなどさまざまな販売チャネルを活用し、消費者との接点を作り、分析していかなければなりません。また実店舗は商品を販売する場から体験を提供する場として変化しているため、良質な顧客体験が得られるような工夫が必要になります。すでに形あるものをOMOストアに適応させるよう複数部門との調整や交渉は骨が折れることでしょう。

キュレーション型のOMOストア(下記にて詳細を解説)に出店する事業者としては、出店先のOMOストアの仕様に合わせて、ブランドイメージをどうすれば適切に伝えられるのか工夫する必要があります。お客様が商品を直に手に取ってもらえる環境を作るきっかけとして、ポップアップストアよりも自社の手がかからない分、ブランドイメージを全面に出した演出が難しくなります。

お客様と商品とのリアルな接点をもたせる場合、OMOストア以外の選択肢を持ちながら自社に合った活用をすると良いでしょう。

代表的なOMOストアの事例

ここからは具体的なOMOストアの事例をご紹介します。大きくキュレーション型と自社ブランド型の2つに分けられます。

キュレーション型

キュレーション型のOMOストアとは、百貨店などが持つOMOストアにさまざまな他社ブランドが出店する方式のことをいいます。商品を販売する場としてだけでなく、ユーザーの反応を集め、マーケティングの場として活用できるようになっているOMOストアもあります。

CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)

CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)

CHOOSEBASE SHIBUYAは、そごう・西武が手掛けるメディア型OMO店舗。20代〜30代をメインターゲットとしており、ファッションからコスメ、雑貨、食品などのD2Cブランドが中心に出店しています。

購入したい商品のQRコードを読み込むことで、ECサイトのショッピングカートに追加できる他、商品の情報もスマホ上で見ることができます。

明日見世(アスミセ)

明日見世(asumise)

明日見世は、大丸松坂屋百貨店が手掛けるショールーミングスペース。D2Cブランドを中心に展示しており、ファッションからコスメ、生活雑貨まで、3ヶ月ごとに展示ブランドが入れ替わります。

アンバサダーが接客にあたり、ブランドストーリーを顧客に伝え、顧客から得た意見をブランド側にフィードバックする仕組みを取っています。

b8ta(ベータ)

b8ta(ベータ)

b8taは、b8ta Japanが手掛ける体験型ストア。2015年にアメリカで始まり、日本進出は2020年8月です。

オリジナルアプリを使い、QRコードを読み込むと商品情報を閲覧できる上、アンケートに答えることでスタンプが貯まる仕組みになっています。またこのアンケート結果はブランド側にフィードバックされます。

自社ブランド型

自社ブランド型OMOストアとは、複数のブランドを展開する企業が、自社ブランドを集約して展示する方式のことをいいます。既存の会員基盤を活用したり、ブランドを横断したスタイリングを提案したりと自社の付加価値を高める取り組みが実施されています。

ONWARD CROSSET STORE(オンワード・クローゼットストア)

ONWARD CROSSET STORE(オンワード・クローゼットストア)

ONWARD CROSSET STOREは、オンワード樫山が手掛けるサービス併設型OMOストア。店舗在庫だけでなく、オンライン上のブランドを超えた取り寄せ、試着、購入ができます。

また、アバターを活用した試着サービスやデジタルを活用したパーソナルスタイリングを提供しています。

ドットエスティストア

ドットエスティストア

ドットエスティストアは、アダストリアが展開する25以上のブランドが揃うOMO店舗。会員数1,200万人以上を有するオンラインストア「ドットエスティ(.st)」のコンテンツを店舗設計に取り入れているのが特徴です。

店内にはブランドミックスのスタッフのコーディネートを紹介するデジタルサイネージや、パーソナルスタイリングができるミラー型のサイネージなどが設置されており、オンラインと連携したサービスが提供されています。

まとめ

OMOストアは店舗での体験と、オンラインの利便性を兼ね備えたショップです。これまでの実店舗、ECサイトそれぞれのあり方とは異なるため、実施にはさまざまな調整や交渉が必要になりますが、多様化するユーザーの購買行動を捉え、ブランドの価値を高める販売方法として今後も注目されることでしょう。

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