
この記事の目次
ユーザーの興味に応じて商品を自動提案する「Interests」
Amazonは2025年3月、生成AIを活用した新機能「Interests(インタレスト)」を発表しました。この機能は、ユーザーの趣味や関心に基づき、新たにAmazonに追加された商品や再入荷、特価情報などを自動で検知し、通知するパーソナライズドな商品提案機能です。対象となるのは、現在のところ米国のAmazonショッピングアプリ(iOS・Android)およびモバイルウェブサイトを利用している一部ユーザーで、今後数か月のうちに順次対象が拡大される予定です。
「Interests」は、買い手が自ら商品を検索して探すのではなく、AIがユーザーに代わって24時間体制で関連商品を探し続けてくれる点が特徴です。買い物行動の効率化や、ニーズに合致した商品の発見に貢献する機能として、今後の展開が注目されています。
希望や好みに応じて柔軟な条件入力が可能
「Interests」では、ユーザーが自由に文章を入力することで、自身の興味関心をAIに伝えることができます。入力例としては、「最新のゴルフ用品がほしい」「コーヒー好きのための抽出ツール」「アーティストグッズの新作が気になる」といった簡潔なものから、「抽象的またはモダンな黒い金属製ウォールアート。キャンバス素材ではなく、幾何学模様でミニマルなデザイン。インダストリアル調のインテリアに合うような印象的なもの」といった長文・詳細な要望にも対応可能です。
AIはこれらの自然言語のプロンプトを解析し、商品カテゴリや仕様、素材、デザインなどの属性に変換します。その結果、ユーザーが抱く曖昧なニーズや言語化しづらい希望にも対応しやすくなっています。
また、価格帯の指定(例:「1万円以下」「100ドル未満」)や雰囲気・スタイルの指定(例:「ロマンティックで繊細な雰囲気」)なども含めることができ、細やかなニーズにも対応可能です。
Amazonショッピングアプリ内「Me」タブからアクセス可能

「Interests」機能は、Amazonショッピングアプリ内の「Me」タブからアクセスできます。機能を利用するには、同タブ内に表示される「Interests」ボタンをタップし、「Get Started」からプロンプトを作成する流れとなっています。
作成されたプロンプトはアプリに自動で保存され、関連する商品がAmazonに追加・再入荷された際には、「Interests」ページやアプリのホームフィード上で通知されます。通知対象には新商品のほか、過去に品切れとなっていた商品の再入荷情報、セールや割引情報なども含まれます。
プロンプトは複数登録できるため、たとえば「登山用品」「インテリア雑貨」「子ども向け知育玩具」など、ジャンルごとに使い分けることが可能です。また、作成後も「鉛筆マーク」から内容の編集が可能で、関心の変化に合わせて柔軟に更新できます。
生成AIによる商品推薦
「Interests」の裏側では、Amazonが開発・活用する大規模言語モデル(LLM)が稼働しています。LLMは、ユーザーが入力した自然言語のプロンプトを解析し、そこから商品検索に適したキーワードや属性へと変換します。
たとえば「高品質な旅行用スキンケア製品」といった曖昧な表現も、LLMは「旅行」「スキンケア」「プレミアムブランド」といった要素を認識し、具体的なブランドやカテゴリに紐づけて商品を抽出します。これにより、単なるキーワード検索ではカバーしきれない文脈やニュアンスにも対応できるのが特徴です。
この仕組みにより、ユーザーが細かく条件を指定しなくても、自身の興味関心に即した商品が提案されやすくなっています。
買い物ガイドやレビュー要約など他のAI機能と併用可能
Amazonでは、生成AIを活用したさまざまな機能が既に導入されています。たとえば、チャット形式での買い物ガイド「Rufus」や、商品カテゴリごとに購入時のポイントを整理した「AIショッピングガイド」、ユーザーレビューの内容を自動で要約する「レビュー要約機能」などがあります。
「Interests」は、こうしたAI機能群の一部として位置づけられており、買い物の“調査・比較・発見”といった各フェーズをよりスムーズに行えるよう設計されているのです。今後、これらの機能が組み合わされて活用されることで、ユーザーにとって一貫した購買体験の提供が可能になるでしょう。
まとめ
Amazonが新たに導入した「Interests」機能は、生成AIを活用し、ユーザー一人ひとりの関心やライフスタイルに寄り添った商品提案を行う仕組みです。ユーザー自身が能動的に検索を行わなくても、関心のあるジャンルや商品に関する最新情報を自動で受け取れる点が大きな特徴です。
また、大規模言語モデルの活用により、自然言語で入力された要望を的確に解釈し、適切な商品推薦へとつなげる技術的基盤が整えられています。さらに、他のAI機能と組み合わせて利用することで、商品選定から比較・購入までの流れを効率化できる可能性もあります。
本機能は現在、米国における一部ユーザーに限定提供されていますが、Amazonは今後、段階的に対象を拡大していくとしています。AIによるパーソナライズドなショッピング体験が進化を続けるなか、「Interests」はその一例として注目されるでしょう。
あわせて読みたい