
近年、自身の個性や価値観を重視する消費者が増え、画一的ではない、多様なニーズに応える化粧品への関心が高まっています。しかし、専門的な知識や製造設備がない場合、どのように事業をスタートすれば良いのでしょうか?本記事では、OEMを活用した商品開発から、ターゲット設定、ベネフィット設計まで、成功への基本プロセスを徹底解説します。
松崎 淳
Double Clutch 代表
2014年に医薬部外品、化粧品OEMを展開する株式会社天真堂にジョイン。スタートアップや異業種から参入する企業に対し、商品企画、事業立ち上げを包括的にサポート。2019年10月に代表取締役社長に就任した。その後、化粧品D2Cメーカーの取締役を歴任し、現在は事業戦略、商品企画を支援するコンサルタントとして活動している。
この記事の目次
OEM会社の選定:理想の製品実現への第一歩
自社のコンセプトや目標に合わせて、最適なOEM会社を選ぶことが重要です。
- ロット数:小ロットから大ロットまで対応可能か
- 対応可能品目:スキンケア、ヘアケア、メイクアップなど、得意分野は何か
- 各社の強み:原料開発力、処方開発力など、独自の強みは何か
「どんな依頼をしたいのか」を具体的にすることで、スムーズなOEM会社選定につながります。
スケジュール把握:計画的な商品開発のために
商品開発には相応の時間を要します。以下の点を考慮して、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
- 試作開発:3週間/回(難易度や繁忙期により変動)
- 試作回数:3~4回程度
- 資材選定:容器、箱、包装材などの選定
- 各種試験:容器試験、安定性試験など
- デザイン制作:薬機法に則ったデザイン制作
- 製造~納品:容器の製造リードタイム+1か月程度
OEM依頼から納品まで、短くて半年、平均8か月、長いと1年ほどかかることを念頭に置き、事業計画を立てることが重要です。
ベネフィット:機能と情緒の両面で共感を生む
つづいて、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィットについて解説します。かつては、プロモーションの力だけで販売を促進することもできましたが、価値観の細分化や、広告表現における法令遵守の厳格化により、ベネフィットの設計は、「誰の何の悩みを解決するか」を起点にして、以下のような関係性で設計されます。

機能的ベネフィット:顧客に提供する価値を明確に
機能的ベネフィットとは、商品が持つ機能によって顧客に提供する便益のこと。薬機法を遵守し、差別化を図ることが成功の鍵です。
- ターゲット設定:「誰の」「何の悩みを解決するのか」を深く掘り下げる
- 5W1Hの活用:6つを掛け合わせて、新たな発想を生み出す
- パッケージ:ターゲットに合わせて機能的な側面も考慮する
情緒的ベネフィット:感情に訴えかける魅力をプラス
情緒的ベネフィットとは、「感情」「気持ち」を通じて得られる便益のこと。顧客の心を掴み、継続的な利用を促すために重要です。
- 上流から設計する:会社(事業)の目的→ブランドの目的→製品の目的→ベネフィット、という順で設計する
- タイミングで考える:購入前、購入後(届いたとき、初めて使ったとき、継続使用時)の感情を設計する
- 処方から考える:成分、使用感などで感情を動かす
ターゲット設定:これからの時代に求められる戦略
従来の「年齢」「性別」「家族構成」「世帯年収」に加え、価値観やライフスタイルを重視したターゲット設定が重要です。
- 狭く深く:広く浅くではなく、狭く深い、コアな悩みやニーズを重視する
- 仮説検証:仮説で終えず、アンケートやインタビューを通じて理解を深める
- 波紋を広げる:狭く深いから、ライトな層に波紋のようプランを立てておく

コアなユーザーに納得してもらえる商品か(商品力)、ライトユーザーに広がっていく商品か(事業の拡大性)、それらについて、企画およびプロモーションチームと、開発段階からディスカッションして合意しておくことで、販売後にスムーズなマーケティング活動を行うことができます。
それぞれの項目については、過去の記事で詳細をまとめていますので、ぜひそちらもご覧ください。
参考記事:
いかがだったでしょうか。
今回は、化粧品ビジネスを始めるにあたっての基本プロセスを、まとめ版として解説させていただきました。
企業様、ご担当者様にとって、少しでもお役に立てば幸いです。
問い合わせ先:Facebook
https://www.facebook.com/jun.matsuzaki.9
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