化粧品ビジネスを始めたい!これからの時代のターゲット設定とは!?

前回は「情緒的ベネフィット」と「設計方法」について解説しました。今回は、ブランド、商品を作る際の起点となるターゲット設定(ペルソナ設定)について解説させていただきます。

前回記事:化粧品ビジネスを始めたい!情緒的ベネフィットとその設計方法とは!?

この記事の執筆者

松崎 淳
Double Clutch 代表

2014年に医薬部外品、化粧品OEMを展開する株式会社天真堂にジョイン。スタートアップや異業種から参入する企業に対し、商品企画、事業立ち上げを包括的にサポート。2019年10月に代表取締役社長に就任した。その後、化粧品D2Cメーカーの取締役を歴任し、現在は事業戦略、商品企画を支援するコンサルタントとして活動している。

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従来の方法の限界

「年齢」「性別」「家族構成」「世帯年収」「好きなTV」「好きな雑誌」…こうした項目を仮説に基づいて埋めていき、出来上がったものを「購入ターゲット」とする。従来はこのような手段が主流であり、現在も用いられています。

何もないところからのたたき台とするには良いのですが、それをそのままペルソナとして用いるには限界があります。

・そもそも、そのような方は存在するのか
 →リアリティにおける疑問

・いたとして、その方は本当に商品を購入していただけるのか
 →ターゲットとニーズの重なりに対する疑問

「家族を持ったら車を買う」「賞与が出たら大型TVを買う」かつてはこのような画一化された価値観をもとにターゲット設定をすることが可能でした。しかし、現代においてはいかがでしょうか。

アイドルや俳優、アニメなどの推し活を思い浮かべてみると、「画一的」ということ自体が成り立たないことが容易に想像できます。推し活においては、年収に比例することなく、どれだけ推したいかという熱量において投資額が決まってきます。もちろん年収が多いに越したことはありませんが、年収1,000万の方より、500万の方のほうがよりお金を使っていることも当たり前に起こっているのです。

化粧品や健康食品においても、「美容」や「健康」に対する価値観によって、月の投資額は変わってきます。若くして美容医療にお金を掛ける方が増えているのも、収入があるから使うのではなく、それに対する価値観によって意思決定がなされているのです。

広く浅くではなく、狭く深く

消費者の心の深いところに触れるには、「狭く深く」を前提にターゲット設定することをおすすめいたします。「狭い」ことは、ときに「マーケットが小さい」と誤認されがちですが、決してそうではありません。狭く深いところから、波紋のように広がっていくことで、ライトなユーザーにも訴求することができ、結果として大きなマーケットを獲得することができるのです。

例えば、有名野球選手モデルのバットやグローブ、有名サッカー選手のスパイクなどもそれにあたります。もともとは「プロ選手の個人用」に作られたものですが、多くのユーザーがそれを購入します。単にその選手を好きということもあるかもしれませんが、「プロが使用するクオリティのものを使いたい」という信頼のもとに、アマチュアや子どもたちが購入しているのです。

図にあるように、仮説でターゲットを設定したら、コンセプト、プロダクトに対するアンケートや実際のインタビューを通じて、それが本当に求められているかを確認しましょう。その過程の中で、よりマーケットに刺さる商品と、精緻なターゲット設定がなされていきます。

例:
サウナ好きの方の入浴剤
週5日サウナに通い、長期休暇にはフィンランドまで本場のサウナを楽しみに行く方

こうしたコアなターゲットに刺さる商品を開発できたとして、先ほどのプロスポーツ選手の例のように「そんな人たちが認めた入浴剤なら、自分も使ってみたい!」とライトユーザーから評価され、マーケットが広がっていくイメージです。

これはあくまでも思い付きの事例ですが、価値観が多様化し、何を欲するのかということがパターン化しづらくなった現代だからこそ、「ニーズ」のど真ん中を起点にすることで、自分ごと化を促すことができるのです。

いかがだったでしょうか。

今回は、ターゲット設定について解説させていただきました。

これから化粧品ビジネスを始めたいという企業様、ご担当者様にとって、少しでもお役に立てば幸いです。

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