【徹底解説】LINE運用の適切なKPIとは?目的と運用フェーズごとにご紹介

日々のLINE運用でこんなお悩みはありませんか?

  • 「LINE運用で、何を改善すべきか判断基準がわからない」
  • 「結局、どの数値を見て運用を評価すればいいか、いつも迷ってしまう」
  • 「上長やチームにLINEの運用成果をどうやって報告したらいいのか」

LINE運用において「どういった目標・KPIを設定すべきか」で迷うEC事業者さまは少なくありません。
結論、LINE運用のKPIは運用目的と活用フェーズによって変えていくべきです。新規獲得か既存顧客との関係維持かにより、設計すべき指標は異なります。

今回のコラムでは新規顧客向け、既存顧客向けかの対象ごとに分けて、初級・上級と運用フェーズごとに設定しておきたい目的別・レベル別に設定すべきKPIを具体的な数値目安とともに解説します。

この記事の執筆者

福田 達也
株式会社Mico
カスタマーエグゼクティブ統括本部
カスタマーエグゼクティブ1部 マネージャー

LINEマーケティングプラットフォーム「Mico Engage AI(ミコ エンゲージ エーアイ)」で複数社のLINE公式アカウントの運用支援を担当。EC業界のお客様を中心にLINEマーケティングの戦略、施策策定、実装、振り返りと対策を行い、売上・利益創出に努めている。個人では住宅系SEOメディア・SNS運用・Instagramのコンサルティングも行い、ブランドと顧客のコミュニケーション最適化に取り組む。

Mico Engage AI:https://mico-inc.com/engage/

【新規獲得】見込み顧客との接点拡大を目指す

新規顧客獲得を目的としたLINE運用では、自社ブランドに関心の高い見込み顧客とオンライン接点でつながり、購買につなげていくことが重要です。

ここでは運用レベル別に設定すべきKPIを解説します。

初級:LINE友だち数

新規獲得フェーズの初級段階では、複雑な指標を設定する前に、「LINE友だち数」という顧客接点を増やしていくための、シンプルでわかりやすいKPIに集中することをおすすめします。

おすすめKPI:新規友だち月間100名を獲得する

LINE運用をゼロから始めるというEC事業者さまには、「毎月友だち100名を獲得する」という目標を最初のKPIとしておすすめしています。

購買に近い人を毎月100人獲得できていることになるので、1年後には1,200名の見込み顧客をプールできている状態となります。仮にLINE友だちの購買率が5%であれば、年間60件の購買発生が期待できるからです。

友だち獲得チャネルのうち最も効果的なのは、自社ECサイトからのポップアップ流入です。サイト訪問者に対してポップアップ画面を表示し、LINE公式アカウントへの友だち追加を促します。

友だち追加率は、平均2.5%が相場となります。ECサイトに表示されたポップアップのクリック率は平均5%、友だち追加率は平均5%が相場となります。

想定シミュレーション:
自社ECサイトの月間PVが10万PV・ポップアップ表示率:50%(5万imp)と仮定した場合、

-ポップアップクリック率:平均5%(2,500クリック)
-友だち登録率:平均5%
-月間新規友だち数:125人

改善のポイント
ポップアップのクリック率が平均5%以下の場合は、改善の余地があります。
以下の項目を見直してみましょう。

  • ポップアップのクリエイティブの改善
  • ポップアップに記載した訴求コピーの改善
  • 友だち登録のメリットの明確化

中上級:LINE経由のコンバージョン数、顧客獲得単価

友だち獲得の仕組みが整ったら、次は質を重視したKPIに移行しましょう。具体的には、LINE経由の購買といったコンバージョン数やコンバージョン率またはCPA(顧客獲得単価)です。

おすすめKPI:1か月以内に登録した新規友だちの購買率5%を目指す

1か月以内に登録した新規友だちの購買率5%を基準にコンバージョン数やコンバージョン率の目標を設計するとよいでしょう。LINE登録者を対象に初回購買限定クーポンを発行する場合は、10%程度を見込むのがおすすめです。

想定シミュレーション:
月間新規友だち数が1,000人のLINE公式アカウントの場合、

-新規友だちの購買率:5%
-月間購買数:50件

改善のポイント
LINEの新規友だちを購買に導くには、興味が高まっている友だち追加直後のタイミングで購買意欲を高めていくことが大切です。

新規友だち数に対してコンバージョン率が明らかに低い場合には、友だち登録後の配信フローを顧客インサイトに沿ったものに変更する、またはキャンペーンによって自社商品の購買ターゲットとは異なる層のユーザーを闇雲に獲得していないか流入元を見直してみましょう。

  • 友だち追加直後の配信フローの見直し
  • 友だち追加後のシナリオ配信フローの改善
  • 友だち流入元の見直し

【既存顧客のリピート】顧客との継続的な関係構築

既存顧客との関係維持・リピートを目的としてLINE運用したいという場合には、既存顧客とLINE上の接点を構築した後、エンゲージメントの質を重視したKPI設定が重要です。

初級:まずは『LINE友だち数』

既存顧客向けのCRMを目的としたLINE活用においても、まずは顧客接点数の拡大からスタートします。ただし、新規獲得とは接点拡大のためのアプローチが異なります。

おすすめKPI:年間購買客数のうち30%の友だち数を目指す

実際にはサービスと訴求、インセンティブ有無で大きく変わりますので、自社で運用PDCAを回しながら適切な指標を探っていきましょう。

既存顧客からのLINE友だち獲得施策

  • ECサイトの購入完了画面でLINE友だち追加を訴求
  • 商品お届け時の同梱チラシにLINE公式アカウントのQRコードを掲載
  • メルマガ会員へLINE友だち追加の案内
  • 店頭で店舗スタッフから直接ご案内

中上級:次に『アクティブユーザー数、配信反応率』

既存顧客との関係性においては、CV数を最重要KPIにすべきではありません(商材の性質による)。それよりも、顧客とつながり続けられているか、普段の配信への反応がアクティブかどうかが重要です。

おすすめKPI:LINE友だちのうち、割のユーザーに月に1回以上、配信反応してもらう

想定シミュレーション:
LINE友だち数3,000人の既存顧客を対象に育成したCRM専用アカウントの場合を想定してみましょう。
定期的な情報発信を行いながら顧客との関係維持を図るケースです。

  • 月1回以上反応するアクティブユーザー:900人(アクティブ率30%)
  • 配信反応率(URLクリック)率:25%(225人が反応)
  • 月間配信数:4回

※既存顧客の月間購買率、月間購買数は自社商材のリピート間隔や時期的な需要に左右されます。中長期のモニタリング指標として参考程度に捉えておくとよいでしょう。

改善のポイント
購買履歴やブランドとの接触歴がある既存顧客に対しては、より個別性の高いアプローチが求められます。アクティブユーザー率が目標を下回る場合は、以下の内容を見直しましょう。

  • クイズ、コラムといったコンテンツ配信の設計
  • 商品レビューや使用感シェアを促すUGC施策
  • 季節やライフスタイルに合わせたパーソナライズ配信

キャンペーンやセール配信はEC売上に直結しますが、それだけしか配信しないLINE公式アカウントは顧客の熱は徐々に冷めていってしまいます。アクティブユーザー率・配信反応率を重視しながら、顧客にとって面白い・役に立つコンテンツを定期的に届ける運用をしながら、ここぞというタイミングでお得な情報を届けていくのがよいでしょう。

正しいKPI設定とPDCA改善で成果を出す

LINE運用は即効性のある魔法のツールではありませんが、正しいKPI設定と継続的な改善により、確実に顧客関係を深め売上向上に貢献できるチャネルです。重要なのは現在の運用フェーズを把握し、最適なKPIに集中することです。まずは基礎的な指標から始めて段階的に高度化し、数字の向こうにいるお客様への価値提供を忘れずに運用しましょう。

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