年次比較版 2023・2024 オンラインショッピングにおけるレビューに関する調査結果レポート
この記事の執筆者

株式会社TOKYO GATE

株式会社TOKYOGATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

成功事例に基づいた確実性の高いコンサルティングが特徴で、提案した施策を速やかに実行できる体制を整えています。EC・D2Cに関してお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

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はじめに

オンラインショッピングにおいて、レビューが購買行動に与える影響力は依然として絶大ですが、消費者の行動や価値観は常に変化しています。昨年効果的だったレビュー戦略が、今年も同じように通用するとは限りません。

ECの成功には、変化し続ける消費者のレビュー動向を継続的に把握することが不可欠です。特に、最新データに基づき、前年からの変化や男女差といった具体的な動きを迅速にキャッチアップし、施策へ反映させることが重要ですが、その実践には課題も伴います。

本レポートでは、2023年度と2024年度の「オンラインショップにおけるレビューに関する調査」の結果を比較分析します。

ECサイト運営者やマーケティング担当者の皆様が、この最新の消費者動向の変化を踏まえ、より効果的なレビュー戦略を立案・実行するための一助となることを目指しています。

本調査の結果が、貴社のEC事業のさらなる発展に貢献できれば幸いです。

調査方法

株式会社TOKYO GATEでは、オンラインショップで購入経験のある18-70歳の男女を対象に、オンラインショップにおけるレビューに関するアンケートを2度実施しました。

■2023年度
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2023年7月27日から2023年8月6日
調査対象:18〜70歳以上の男女
サンプル数:682名

2024年度
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2025年1月22日から2025年2月16日
調査対象;18〜70歳以上の男女
サンプル数:640名 

サマリー

  1. オンラインでの商品購入時、レビューを確認する女性ユーザーの割合は2023年度より1ポイント低下し、約97%を占めています。
  1. オンラインでの商品購入時、レビューを必ず、またはよく確認する男性ユーザーの割合は2023年度より約5ポイント低下し、約74%を占めています。
  1. レビューで重視する要素としては、「投稿数の多さ」が引き続きトップですが、2023年度に比べ「レビューの画像や動画」の重要度が約4ポイント上昇しています。
  1. レビューで参考になると感じる要素では、2024年度は商品に対するネガティブ情報とポジティブ情報、双方への関心が高まる傾向が見られました。
  1. 重視するレビューについて、女性は「否定的なレビュー」、男性は「肯定的なレビュー」をより重視する傾向が強まっています。
  1. レビュー投稿理由として「特典や割引の提供」は、2024年度においても最多の投稿理由となりました。
  1. レビュー投稿理由として「誰かの役に立ちたい」という利他的な動機は、2023年度に比べ女性において約10ポイントの上昇が見られます。
  1. レビュー投稿意欲に影響する特典では、2023年度に比べ「非売品のおまけ」「サービスの提供」への関心の高まりが見られます。

各設問の回答と考察

  1. レビューを確認する割合

オンラインショップで商品を購入する際に、レビューを確認するユーザーの割合は、2023年度に比べ、女性で1ポイント減少、男性で0.5ポイント上昇する結果となりました。全体としては0.6ポイントの減少となりましたが、これは情報収集手段の多様化や、ユーザーがレビュー以外の情報をより積極的に活用している可能性が考えられます。

女性ユーザーが多いECサイトでは、多くのレビューを羅列するよりも、特に参考になる意見を厳選して提示するほうが、より効果的な可能性があります。一方、男性ユーザーが多いECサイトでは、レビューの重要性を踏まえ、ページ上部などアクセスしやすい位置への表示が考えられます。関心が高まっている画像や詳細なコメントを含むレビューを充実させることも有効でしょう。

  1. レビューを確認する頻度

レビューを確認する頻度について、2023年度と2024年度のデータを比較した結果、女性では「必ず確認する」割合が約53%から3ポイント上昇し、男性では頻繁にレビューを確認するユーザーの減少傾向が見られます。これらのデータから、全体としてレビューを積極的に確認する層は微減傾向にあるものの、一部の女性においては、必ず確認する姿勢が強まっていると考えられます。一方で男性は、レビューへの依存度が全体的に低下している可能性が示唆されます。

女性ユーザーに対しては、求める情報へ迅速にアクセスできるよう、レビュー機能を整備しましょう。年代や購入サイズで絞り込む機能や、新着順・参考になった順で並び替える機能を充実させ、情報へのアクセス性を高めることが有効です。一方、男性ユーザーに対しては、比較検討の材料としてレビュー以外の情報も充実させることが重要です。加えて、レビューの情報を効率的に把握できるよう、AIによる要点のサマリー表示などを提供するのも有効でしょう。

  1. レビューを読んで購入を決定した経験

レビューを読んで購入を決定した経験について、2023年度に比べ「何度もある」と回答した女性ユーザーは2ポイント上昇、男性は9ポイント下落する結果となりました。この結果から、女性においては、レビューがより決定的な役割を果たしているのに対し、一部の男性ユーザーは、レビューを参考にしつつも他の情報源も重視する傾向が強まっていると考えられます。

女性ユーザーに対しては、購入の参考にできる情報をわかりやすく提示することが重要です。例えば、写真や動画付きの詳細なレビューや、年代・体型などで探せる絞り込み機能があると良いでしょう。一方、男性ユーザーに対しては、レビューを商品の仕様や説明動画など他の情報と並べて表示し、比較しやすくするのが効果的です。特に、機能性やコストパフォーマンスに言及したレビューや、肯定的な購入理由がわかるレビューを目立たせるのも良いでしょう。これにより、幅広く情報収集を行いたい男性ユーザーのニーズに応えられます。

  1. レビューで重要視している要素

レビューで重要視する要素について、2023年度と2024年度のデータを比較した結果、星の数を選択したユーザーは約1ポイント、画像や動画を選択したユーザーは約4ポイント上昇が見られました。この結果から、写真や動画といった視覚的な情報の重要性が増していると言えます。

商品ページでは、写真や動画付きのレビューを目立つ位置に配置しましょう。これにより、テキストだけでは伝わらない商品のリアルな質感やサイズ感、使用イメージがユーザーに伝わります。レビューを収集する際には、写真や動画の投稿を積極的に促しましょう。投稿フォームに「写真/動画を追加」ボタンを目立たせます。さらに、「ぜひ着用写真を投稿してください」「使用中の動画もお待ちしています」といった具体的なテキストで呼びかけると効果的です。

  1. レビューで重要視している要素(男女別)

レビューで重要視する要素について、2023年度と2024年度の男女別データを比較しました。女性はレビュー数の多さ、レビューの新しさの重要度が2023年度に比べ2~3ポイント上昇しています。男性は2023年度に比べ、星の数、コメントの長さ、レビューの画像や動画について、4~5ポイントの上昇が見られました。この結果から、女性はレビューの量や鮮度から情報の確かさを求める傾向が伺えます。一方男性はコメントの詳細さ、画像など具体的な情報を求める傾向があると考えられます。

女性ユーザーに対しては、2023年度に引き続きレビュー総数をわかりやすく表示し、情報の確かさが瞬時にわかるようにしましょう。また、常に新しいレビューが上位表示されるよう設定することも安心感につながります。男性ユーザーに対しては、より具体的な情報を求める傾向に対応するため、長文のレビューや、写真・動画を含むレビューを上位に表示しましょう。さらに、詳細レビューや写真・動画付きレビューを簡単に見つけられるよう、専用のフィルター機能やソート機能を提供することも有効です。

  1. レビューで参考になると感じる要素

レビューにおいて、ユーザーが参考になると感じる要素は、2023年度から2024年度にかけて、商品のネガティブ情報、ポジティブ情報が2~3ポイント上昇しています。この結果から、購入検討において、メリットとデメリットをより迅速に判断できる工夫が、ユーザーの利便性を高めると考えられます。

Amazonでは、個別のレビューより上部に、商品の肯定的・否定的な面が要約された「AIによる要約」が表示されます。このように、メリットとデメリットを瞬時に判断できる設計が、ユーザーの商品理解を早め、競合よりも優位に立つ上で重要です。

  1. レビューで参考になると感じる要素(男女別)

レビューにおいて、ユーザーが参考になると感じる要素について、男女別のデータを集計しました。2023年度から2024年度にかけて、女性では商品に対するネガティブ情報、ポジティブ情報、写真付きレビューにおいて1~4ポイント上昇が見られます。男性では商品に対するポジティブ情報が約5ポイント上昇する結果となりました。この結果から、特に女性ユーザーは否定的なレビューを積極的に確認している傾向が伺えます。一方、男性は比較的肯定的な情報も購入の判断材料として重視している傾向が見られます。

女性ユーザーに対しては、商品に対する否定的な意見を隠さず表示することでコンバージョン率向上が期待できます。また、写真付きレビューも重視されるため、商品のリアルなイメージが伝わる写真の収集・表示を強化すると良いでしょう。一方、男性ユーザーに対しては、商品の肯定的な意見も積極的に活用します。購入の決め手や満足度の高い点を具体的に記述したレビューをピックアップして表示することが、購買意欲を高める上で有効と考えられます。

  1. 重要視するレビュー

重要視するレビューについて2023年度と2024年度のデータを比較した結果、女性は否定的なレビュー、男性は肯定的なレビューの項目に上昇傾向が見られました。この結果から、一部の女性ユーザーにおいては、購入リスクにより敏感になっている傾向が伺えます。男性においては、購入のメリットや満足感を重視する傾向が強まったと考えられます。

この結果を踏まえ、特に女性ユーザーに対しては、商品のデメリットや懸念点を正直に、わかりやすく伝える工夫がより重要になるでしょう。レビュー閲覧画面で低評価のレビューや注意点が書かれた意見を絞り込めるフィルター機能を設けましょう。これにより、ユーザーは自身の懸念点に関する情報を効率的に見つけられます。一方、男性ユーザーに対しては、「購入の決め手となった点」や「期待以上の機能・効果」など肯定的な意見に言及したものを優先して表示すると良いでしょう。

  1. レビューを投稿する理由

レビューを投稿する理由について2023年度と2024年度のデータを比較した結果「特典や割引」では1ポイント、「誰かの役に立ちたいから」という理由では約6ポイント上昇が見られました。この変化は、消費者のレビューに対する意識の高まりと、情報共有への意欲の表れと考えられます。そのため、EC事業者がレビュー促進において、ユーザーの利他的な動機への訴求の有効性がより高まっていることを示唆しています。

調査の結果から、「あなたのレビューが他の購入者の参考になります」といったメッセージを積極的に伝えることで、訴求効果が高まる可能性があります。さらに、投稿したレビューの閲覧数や「参考になった」評価数をレビュアー自身が確認できるようにすることも、貢献を可視化し、モチベーションを高めるでしょう。加えて、「あなたのレビューは〇人に役立っています」といった具体的なフィードバック通知を送る仕組みも有効です。このような貢献実感を得られる体験が、さらなるレビュー投稿への動機付けとなります。

  1. レビューを投稿する理由(男女別)

レビュー投稿理由の男女比較では、2023年から2024年にかけて、女性は「特典や割引」「誰かの役に立ちたい」といった動機が上昇する傾向が見られました。特に利他的な動機は約10ポイント上昇しています。一方、男性における各投稿理由はほぼ横ばいで、「特典や割引」では約2ポイントの減少が見られました。この結果は、女性のレビュー投稿動機の変化を示唆する一方、男性の投稿動機に変化が小さいことを表しています。

女性ユーザーに対しては、ポイント、クーポンなどの魅力的な特典を提供すると同時に、「あなたのレビューが他の購入者の参考になります」といったメッセージで貢献意識に働きかけるようにしましょう。一方、男性ユーザーの投稿動機は安定しているため、基本的なレビュー依頼や特典提供といった既存の施策を継続することが考えられます。ただし、特典への反応がやや鈍化している可能性も考慮し、投稿の手間を軽減する工夫なども有効かもしれません。

  1. レビュー投稿意欲に影響する特典

レビュー投稿意欲に影響する特典について、2023年と2024年のデータを比較しました。最多の「ポイント・クーポン」は約5ポイント低下しました。一方「非売品のおまけ」は約1ポイント、「延長保証などのサービス」は約2ポイント上昇しています。この結果は、ポイントやクーポンも依然有効ながら、その効果が相対的に低下している可能性を示唆しています。また非売品のおまけやサービスのように、インセンティブとは別の価値提供の効果が高まっています。

「非売品のおまけ」は、単なる消費物と異なり、所有する喜びやブランドへの愛着を高める効果が期待できます。ファッションアイテムやコレクターズアイテムなどで特に有効かもしれません。「サービスの提供」では、レビュー投稿者限定で、無料または割引価格での設置・設定サポートや、専門家による無料相談などが考えられます。また、時計や革製品など定期的な手入れが重要な商品では、無料のクリーニングや調整サービスなども魅力的な特典となり得るでしょう。

  1. レビュー投稿意欲に影響する特典(男女別)

レビュー投稿意欲に影響する特典について、女性は2023年から2024年にかけて、「非売品のおまけ」や「延長保証などのサービス」で2~4ポイントの上昇が見られます。男性では「ポイント・クーポン」と「通常有料商品のおまけ」でそれぞれ約2~4ポイントの減少が見られました。

これらの結果から、女性ユーザーは特典内容がレビュー投稿に影響しやすいと考えられます。例えば、写真・動画の有無や詳細さなどの条件に応じて特典内容を変える施策が実施できます。ポイント、おまけ、サービスなど複数の選択肢から好きな特典を選べる仕組みも、女性ユーザーの投稿意欲を引き出す上で有効な方法と言えそうです。一方、男性ユーザーのレビュー投稿は特典の種類に大きく左右されない傾向が見られます。そのため、製品自体の魅力を効果的に伝えるコンテンツを強化するほうが、男性の購買意欲やレビュー投稿に繋がりやすいかもしれません。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

2023年と2024年の比較分析を通じて、レビューの重要性が依然として高い一方で、消費者のレビューとの向き合い方が変化し、かつ男女差がより明確になっている実態が明らかになりました。

レビューにおいて参考にする情報では、女性はネガティブな情報、男性はポジティブな情報への関心を特に高めました。

レビュー投稿の動機においては、特に女性で「誰かの役に立ちたい」という利他的な理由が大きく伸長したことは注目すべき変化です。

一方で、投稿を促す上で最も効果的とされてきた「ポイント・クーポン」特典への反応は男女ともに低下傾向にあり、インセンティブ戦略の見直しの必要性を示唆しています。

このように、ユーザーのレビューに対する向き合い方は、今後も変化し続けるでしょう。EC事業者においては、最新動向を常に把握し、レビュー戦略を柔軟に見直すことが、事業を成長させる力となります。

本調査の結果が、貴社のEC運営やマーケティング施策を改善し、顧客エンゲージメントとコンバージョン率を向上させるための一助となれば幸いです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

株式会社TOKYO GATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

成功事例に基づいた確実性の高いコンサルティングが特徴で、提案した施策を速やかに実行できる体制を整えています。EC・D2Cに関してお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

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