これからのCXは「サブスクありき」から「コミュニティとコミュニケーション」へ:スキンケアブランドのデータ駆動型CX【Part4】
インタビューの概要

「スキンケアブランドにおけるデータ駆動型CX(顧客体験)」をテーマに、パーソナライズスキンケアブランド「COCO.skin」を展開する株式会社Skin Code代表の三輪みゆきさんと、EC特化型CRMツール「EC Intelligence」を提供する株式会社シナブルの曽川雅史さんにインタビューしました。

前回は、「購入後の顧客サービス+CRM」についてお話しいただきました。最終回となる今回は「サブスクありきから、コミュニティとコミュニケーションへ」を中心にお聞きします。

今の時代に設計したいCXとは?

ターゲットを考慮した狙いのあるCXを

――今の時代において、CXのように設計していくべきでしょうか。

曽川さん:そもそもブランドのターゲットオーディエンスにフィットするのか、あるいはフィットさせるにはどうしたらいいかをきちんと考慮した上でCXを設計することが大切です。

たとえば、オンラインカウンセリングを開設するといっても、本当の狙いはどこにあるのか。「商品を探すのを助けるのか」、「いいなと思った商品が本当に合うかどうかをチェックするためなのか」、「購入後によりよく使ってもらうためのアシストなのか」などが考えられるでしょう。

解約から考えるCX

――CXを考えるうえで顧客にとって、どのような便益を提供するのか狙いを定めることが大切ということですね。

曽川さん:顧客にとってポジティブなCXを考えることも大切ですが、一般にネガティブな行動と捉えられるサブスクの解約に関するCXも忘れてはいけません。サブスクの3大解約理由は、「効果が出ない(もしくは効果がありすぎる)」・「余ってしまう」・「金銭的に余裕がない」です。もちろん、他の理由もありますが、経験上、ほとんどこの3つに集約されるかと思います。

たとえばコスメの場合、効果が出ない(肌に合わない)と感じる顧客に対しては、サブスク解約を積極的に提案したほうが、むしろ顧客満足度が上がり、ブランドイメージの向上につながるかもしれません。一方で、商品が余っている顧客には、スキップ制度を積極的に案内するなどの必要があると考えています。

通販時代からのCRMでは、「顧客獲得」「解約阻止」という事業者本位の言葉で表現されていましたが、商品をスイッチすることを決めた顧客からのお問い合わせに対して、よりよく使ってもらうためのサポートをしても遅いのです。その中で、再考して残る20%の顧客に対してどのような価値を提供するか。また、残りの80%の顧客にもポジティブな体験を提供できるかどうかが、本来のCXの提供価値になります。

永遠に、メールや、誕生日メッセージをお送りするのではなく、サンセットプロセス(解約したユーザーへのメッセージ送信を停止すること)をしっかりと設計することも大切なCXです。これらの顧客には、サイトや、SNSでの再認知へチャネルをシフトしたほうが双方にとって幸せです。

解約した顧客へのCXを配慮した再提案方法

――一度解約された顧客にメッセージを送信せずに再提案をするのは難しいのではないでしょうか?

三輪さん:サンセットプロセスを設計するうえで、解約された顧客に「新しい購入体験」を感じてもらうには、ターゲットオーディエンスの中で話題化して、PR露出を狙い、認知度を向上させるCXコミュニケーションの方向性が大切です。

ただその場合、すでに他社がやっているとPR効果は薄いので、当然どこよりも先駆けて作っていく必要があります。この領域においては、単純に「他社がやっているからうちも…」という考え方は危ういです。

私たちは、施策を組み合わせ、顧客のライフサイクルに応じて適切に展開することで、サブスクリプション顧客だけではない、顧客の満足度向上と長期的な関係構築が可能となりました。

弊社の特徴として、メーカー・ブランドの枠を超えて商品提供を行えることがあります。これを生かし、サブスクリプションも同じ商品の提供ではなく、毎回変更することも可能にしています。

デジタルだけではなく、リアルインタビューなどを通じて、常に顧客フィードバックを基に改善を重ね、価値提供を続けることが重要だと実感しています。

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