2021年発表!世界の小売業ランキングTOP250 日本の小売企業は28社が選出
出所: デロイト トーマツ グループ「世界の小売業ランキング2021」
2020年6月30日までを期末とする事業年度について各社のアニュアルレポート、プレスリリース、
Supermarket News、Forbes Americaの大手非上場企業および他の資料をもとに分析。
ニュースの概要

世界の小売業ランキング2021がデロイト トーマツ グループより発表されました。ランキングに反映されている売上の対象期間は2019年度(2020年6月30日までの会計年度)です。世界と日本でどのような企業が選出されているか見ていきます。

▼ 引用元
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/consumer-business/articles/dis/gpr.html

世界全体における小売企業の動向

新型コロナウイルスの影響で、小売企業は実店舗での販売が制限されました。ロックダウンや緊急事態宣言などにより購買行動や活動も減少、特に衣料品や服飾品などの奢侈品は支出減となっています。 しかし、2019年度における世界の小売業の上位250社の総売上高は、前年度の4兆7,400億米ドルから増加し、4兆8,500米ドルとなっています。対前年度比平均成長率は4.4%と、前年の4.1%を上回っているのです。

消費者が店舗での買い物を避けるようになり、オンラインの利用者が増えたことで、EC事業者が追い風となったことが理由の一つです。特に食料品を扱う小売企業はレストラン休業による恩恵を受けています。

上位10社の小売企業

順位 企業名主要な業態          売上高成長率   
1ウォルマートハイパーマーケット/
スーパーセンター
1.9%
2アマゾンEC13.0%
3コストコキャッシュ&キャリー/  
ウェアハウスクラブ
7.9%
4シュワルツグループディスカウントストア8.6%
5クローガースーパーマーケット1.0%
6ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス    ドラッグストア/
薬局
4.8%
7ホーム・デポホームセンター1.9%
8アルディディスカウントストア5.6%
9CVSヘルスドラッグストア/
薬局
3.1%
10テスコハイパーマーケット/
スーパーセンター
1.4%

2019年度の世界の小売企業上位250社の総売上高は4兆8,500億米ドルに対し、上位10社の総売上高は1兆5,830億米ドルと30%以上を占めています。

売上高成長率が一番高いのはアマゾン

上位10社の顔触れは前年と同様に変わりはありませんが、アマゾンがコストコを抜き、2位になりました。アマゾンは2015年度に初めて10位に入ってから、毎年順位を上げており、前年度に続き、2019年度も小売企業上位10社の中で最も高い13%の売上高成長率を記録しています。上位10社のうち、7社が米国企業となっており、前年度に引き続き、米国経済の強さが伺えます。

上位250位にランクインした日本企業

順位
(  )は
昨年順位    
企業名        主要な業態         売上高
成長率
事業展開  
国数   
14 (13)イオン株式会社ハイパーマーケット/
スーパーセンター
0.5%11
18 (19)株式会社セブン&アイ・ホールディングスコンビニエンス/
フォアコートストア
-2.2%18
51(52)株式会社ファーストリテイリング衣料品専門店7.5%21
66 (92)株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスディスカウントストア    25.5%5
67 (67)株式会社ヤマダホールディングス家電専門店0.7%5
106 (101)株式会社三越伊勢丹ホールディングス百貨店-6.7%8
128 (135)ベイシアグループホームセンター5.9%1
132 (137)株式会社ビックカメラ家電専門店5.9%1
135 (151)株式会社ツルハホールディングスドラッグストア/
薬局
7.5%2
140 (133)エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社百貨店-4.0%2
143 (140)株式会社高島屋百貨店-0.8%5
160 (163)株式会社エディオン家電専門店2.1%1
165 (168)株式会社ライフコーポレーションスーパーマーケット2.3%1
166 (174)株式会社ケーズホールディングス家電専門店2.8%1
167 (169)株式会社イズミハイパーマーケット/
スーパーセンター
1.7%1
170 (172)株式会社ヨドバシカメラ家電専門店1.7%1
173 (186)株式会社コスモス薬品ドラッグストア/
薬局
12.0%1
184 (187)株式会社ニトリホールディングスその他5.8%4
185 (212)株式会社バローホールディングススーパーマーケット16.8%2
190 (192)株式会社サンドラッグ薬局5.1%1
192 (188)株式会社ローソンコンビニエンス/
フォアコートストア
3.5%6
197 (199)株式会社マツモトキヨシホールディングスドラッグストア/
薬局
2.5%4
211 (230)スギホールディングス株式会社ドラッグストア/
薬局
10.9%1
218 (208)株式会社しまむら衣料品専門店-4.4%3
219 (221)株式会社アークススーパーマーケット1.4%1
220 (185)株式会社ファミリーマートコンビニエンス/
フォアコートストア
-16.2%8
241 (247)株式会社大創産業ディスカウントストア5.4%27
249 (-)株式会社ヤオコースーパーマーケット5.9%1

上位250社中、日本企業は28社ランクインしました。そのうち20社は昨年と比較し、順位を上げています。昨年ランクインしていた企業数は29社でした。今回の発表により株式会社ヤオコーが新しくランクインしており、東日本旅客鉄道株式会社と株式会社ノジマがランキング外へと移動しています。

成長率の高い企業と低い企業

著しい成長率の企業として株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(+25.5%)、株式会社バローホールディングス(+16.8%)、株式会社コスモス薬品(+12.0%)、スギホールディングス株式会社(+10.9%)が二桁成長を遂げています。

その一方で、百貨店についてはランクインしている全3社の成長率が昨年を下回る形となっています。インバウンド商品の消失や緊急事態宣言による休業や客足の減少が売上に大きく売上に響いており、新型コロナウイルスが与えた影響が大きく出ています。

まとめ:オムニチャネルやOMO戦略、DX化の推進が鍵

新型コロナウイルスの影響で、小売企業は苦戦を強いられていると言われていますが、全体でみると売上は前年比より増加しています。EC・ネット通販といったオンライン販売の強化、宅配・配達サービスの向上などに力を入れたこと、また、M&Aによる事業の統合など、勢いよく変化する時代や環境に合わせて適応した企業が成長を遂げているかと思います。

ワクチンが普及し、新型コロナウイルスの蔓延が抑制されたとしても、引き続き、小売企業のDX化の波は止まらないでしょう。今後も、EC・ネット通販などのオンライン販売に力を入れつつも、実店舗での消費と相互に連携し合えるよう、オムニチャネルやOMO戦略を取り入れ、DX化を推進していくことが重要になってくるのではないしょうか。

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