コストコ、2025年度第3四半期決算発表:売上・利益ともに2桁成長、ECは約15%の高成長維持

コストコ・ホールセール(Costco Wholesale Corporation、以下コストコ)は、2025年度第3四半期決算を発表しました。物価上昇の影響が続く中、会員制度を軸とした安定したビジネスモデルと、実店舗・ECの両面での強化が功を奏し、売上・利益ともに2桁成長を記録しています。各指標と戦略の背景を項目ごとに詳しく見ていきます。

売上・会費収入の拡大

第3四半期の純売上高は619億6,500万ドル(前年同期比+8.0%)に達し、安定成長を続けています。会費収入は12億4,000万ドルで、前年同期の11億2,300万ドルから大きく伸びました。売上・会費の両面で前年を上回り、同社の会員制モデルが引き続き高い支持を得ていることがわかります。

36週間累計(第1~第3四半期)では、純売上高が1,854億8,000万ドル(前年同期比+8.2%)、総収益は1,890億7,900万ドル(+8.2%)となりました。これらの数字からは、物価上昇や金利上昇といった逆風下においても、安定したトラフィックとバスケットサイズを維持できていることがうかがえます。

利益の大幅な伸長

純利益は前年同期の16億8,100万ドルから19億300万ドルへと約13.2%増加。営業利益も25億3,000万ドルと、前年の21億9,700万ドルから約15%成長しました。1株当たり利益(EPS)は前年の3.78ドルから4.28ドルへと増加しています。

利益の伸長は、売上高の拡大に加え、商品原価率や販管費のコントロールが効いていることを示しており、今後の持続的な収益性向上にも期待が持てます。

既存店売上とECの成長

ガソリン価格や為替影響を除いた調整後の既存店売上高は、全社ベースで+8.0%を記録しました。地域別には以下の通りです。

  • 米国:+7.9%
  • カナダ:+7.8%
  • その他海外:+8.5%

EC売上の成長も続いており、前年同期比+15.7%、36週累計では+17.2%の成長率を記録。実店舗に加え、デジタルチャネルでも消費者の購買行動をしっかりと捉えていることがわかります。

コストコは、オンラインでの取扱品目拡充や、利便性を高めるデジタルインフラの投資を続けており、今後さらにEC売上の比率を高めていく戦略を描いています。

グローバル展開と倉庫数の推移

2025年5月時点で、コストコは世界で905の倉庫(店舗)を運営しています。内訳は以下の通りです。

  • 米国およびプエルトリコ:624店舗
  • カナダ:109店舗
  • メキシコ:41店舗
  • 日本:37店舗
  • 英国:29店舗
  • 韓国:19店舗
  • その他(台湾、オーストラリア、中国など):46店舗

日本でも堅調な成長が続いており、2025年春には新店舗が複数開業する見通しです。また、グローバルのECサイト展開は、米国・カナダ・メキシコ・英国・韓国・台湾・日本・オーストラリアと広がりを見せており、各国の購買習慣に合わせたローカライズ戦略を推進しています。

キャッシュフローと財務の安定性

第1〜第3四半期の営業キャッシュフローは94億6,800万ドル(前年同期比+13%)と順調に拡大しており、財務健全性の高さを維持しています。現金および現金等価物は138億ドルと、前年の104億ドルから大きく増加。

これにより、将来的な設備投資やM&A、新規出店、デジタル投資に対する資金的な余力も十分確保されており、成長を下支えする財務基盤が整っています。

まとめ:国内外での出店拡大とデジタルシフトを両立

コストコの2025年度第3四半期決算は、同社の強固なビジネスモデルと運営力を改めて裏付けるものでした。価格競争力の高さと、堅実な会員制度を軸に、国内外での出店拡大とデジタルシフトが両立されています。

特に、ECの高成長とキャッシュフローの健全性は、将来的な多角化や事業拡張の余地を十分に感じさせる内容でした。今後も、リアルとデジタルを統合した戦略展開と、グローバル市場でのさらなるプレゼンス拡大に注目が集まります。

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