「OMOストアb8taの閉店」と「ジャパネットの景表法違反」EC関連ニュースまとめ【2025年9月】

日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2025年9月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回取り上げるテーマは、「OMOストアb8taの閉店」と「ジャパネットの景品表示法違反」です。

本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらもあわせてチェックしていただければと思います。

OMOストア「b8ta」の閉店

OMOストア(体験型ストア)を運営するベータ・ジャパン社が、2025年9月28日をもって「b8ta Tokyo – Shibuya」の営業を終了することを発表しました。

▼b8ta Tokyo – Shibuya 閉店のお知らせ
https://b8ta.jp/news-events/news/sby_close

2025年3月に「b8ta Tokyo - Yurakucho」「b8ta Osaka - Hankyu Umeda」「b8ta Cafe(b8ta Tokyo - Shibuya内)」の3店舗を閉店しており、今回の渋谷店の営業終了をもって国内の全店舗が閉店となります。

OMOストア「b8ta」は、米国発のサービスですが、2020年8月に日本にも展開をします。その際に設立されたのが、ベータ・ジャパン社です。その後、2022年2月に米国b8ta社は全店舗を閉店しますが、日本に関しては、ベータ・ジャパン社が米国b8ta社から独立して運営を続けてきました。

今回の国内店舗の閉店理由に関して、ベータ・ジャパン社のCEOである北川さんは、諸般の事情による判断とのことで、RaaS(Retail as a Service)というビジネスモデルが機能しなかったことが理由ではないと話されています。

森野さん
b8taの閉店ニュースを見て、国内の全店舗がなくなることを知りました。やはり多くの人がリアルで買い物を楽しむようになったのだと思います。
舟本
コロナ禍でECが伸びてリアルには逆風でした。その中でもb8taは挑戦的に展開していた印象があります。一定のニーズはありましたが、事業を単独で続けるか、他社と組むかで結果は変わったかもしれません。
森野さん
体験型は面白い取り組みです。ただ「そこでしか買えないもの」がなければ購買にはつながりにくい。体験型ストア全般に言える課題でしょう。
竹内
実際に利用したときは非常に面白い取り組みだと感じました。しかし、その場で買えず、後からネットで購入する仕組みは、気持ちが冷めて購買に結びつきにくいのではとも思います。

ジャパネットたかたの景品表示法違反

2025年9月12日に、消費者庁がジャパネットたかた社に対し、景品表示法に基づく措置命令を行いました。

▼株式会社ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/043542

対象は、2024年秋に実施したおせちの「早期予約キャンペーン」の価格表示です。通常価格29,980円を10,000円値引きし、19,980円で販売と表示するも、期間終了後に29,980円での販売実績がなく、結果的に「お得に見せかけた表示」となる可能性があると、消費者庁は指摘します。

これに対し、ジャパネットたかた社は「有利誤認には当たらない」と反論しています。ジャパネットたかた社の見解としては、

  • 消費者庁ガイドラインに沿った通常価格表示であった
  • 2022年・2023年はキャンペーン終了後に通常価格販売を行っており、2024年も同様に販売予定だったが完売したため実現できなかった
  • 29,980円でも販売できる品質の商品を、大量仕入れによる企業努力で値下げして提供した

さらに「食品ロス削減に寄与する施策であり、消費者保護の観点からも合理的」としています。今後は法的手続きも視野に対応していくとのことです。

森野さん
おせちは注文を取ってからの製造や配送が大変です。だからこそ完売させた方が合理的だと思いますし、前年も販売実績があるなら今年も同じ取り組みだったのだと感じます。
舟本
消費者庁が措置命令に踏み切った背景には、価格表示に対する感覚の違いもあったのではないでしょうか。早期割引としてはよくある取り組みで、昨年や一昨年にも実績があったとなると、他の事業者にも影響が及ぶ厳しい判断だと思います。
森野さん
体感としても、多くの事業者が同じようなやり方をしています。おせちに関してはできるだけ早めに注文を取って売り切りたいという事情もあるので、販売終了となるのは自然な流れでしょう。
竹内
今回の件はジャパネットたかた社だけに限らず、同じように販売している事業者は多いはずです。だからこそ措置命令は驚きであり、在庫状況や内容量の変化なども含めて、他の事業者も注意して見る必要があるのではないでしょうか。

9月のおすすめ記事

お時間がありましたら、下記の記事もご覧いただければです。小売事業者さんや支援事業者さんによる、事例を踏まえた内容となっていますので、日々の業務に何かしらお役に立つかと思います。

ポッドキャストでは、配信者のお気に入りの記事について、コメントや取材の裏話をお伝えしています。ここではその一部を紹介しますが、気になる方はぜひお聞きください。

森野さんのお気に入り記事
森野さん
記事では、特定の状況で自然とブランドが思い浮かぶ仕組みが紹介されています。私自身も徳島ヴォルティスの胸スポンサーを通じて日常的に「ポカリスエット」のロゴを目にしており、スポーツ=ポカリと結び付いて頭に浮かびます。数字には表れにくいですが、スポンサー効果は確実に効いていると感じます。
舟本のお気に入り記事
舟本
8月末に公表されたEC市場調査をまとめた記事です。2024年の物販系EC化率は0.4ポイント上昇し、増加率は3.7%でした。ただ、市場全体としてはコロナ以降大きな伸びが見られず、各企業は既存の枠組みの中でシェアを奪い合う状況にあります。自社の戦略を描くうえでも、市場全体やカテゴリー別の数字を出発点に、現実的な目標を設定することが重要だと感じます。

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