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3PLとは?
3PLはサードパーティー・ロジスティクスの略です。サードパーティーは英語で第三者という意味で、物流の一部、または全部を外部に委託する業務形態を3PLといいます。
3PL事業者に委託するメリット
物流以外のコア業務に専念できる
出荷量が増え、自社だけでは対応しきれなくなると、外部に物流業務の委託を検討し始める事業者が多いです。3PL事業者に委託する目安として出荷件数が月200~300件といわれていますが、出荷件数が月100件未満であっても委託を検討する事業者も少なくはありません。そういった需要を踏まえて、近年は小ロットや一坪からでも引き受ける3PL事業者が増えています。
プロに任せることで品質を担保できる
事業者の多くが少人数でECを運営されているため、物流以外にも様々な業務を兼任しています。そのため、売上を上げるために、扱う商品や販路を増やしてしまうと、物流業務が複雑になりミスが発生しやすくなります。在庫が合わなかったり、誤出荷が起きたりする理由のほとんどが人的ミスによるものなのです。3PL事業者は物流を専任としているプロであるため、物流の品質を担保してくれます。
受発注の増減に合わせてスタッフを手配する必要がない
セール時や閑散期に合わせて、物流現場の人数を増減させるのは大変かと思います。また、受発注の増減が予測できればいいですが、そうでない場合もあるのではないでしょうか。人手不足により発注が遅れてしまったり、逆に余剰人員となってしまい経費を圧迫したりしてしまうかもしれません。3PL事業者に委託することで、物流現場の人員についての心配が不要になります。
1件当たりの配送費が割安に
3PL事業者は複数の事業者の物流業務を引き受けているため、出荷量が多いことから、佐川急便やヤマト運輸、日本郵便などと割引料金で契約を結んでいます。そのため、自社で配送するよりも3PL事業者を通した方が1件当たりの配送費は安くなることが多いです。
3PL事業者に委託する際の注意点
外注費とリソースの兼ね合いから物流委託を判断しよう
業務を委託するにあたって手数料がかかります。出荷件数などの条件によっては自社で物流業務を行った方が安い場合もあるでしょう。外注費とリソースの兼ね合いを考えたうえで、3PL事業者に委託するかどうか検討するようにしましょう。
3PL事業者に委託する際にかかる費用としては、固定費と変動費があります。固定費には、業務管理費用や、倉庫管理システム(WMS)の利用料、保管費用などがかかります。変動費としては、入庫費用や検品費用、ピッキング費用(出荷費用)、梱包費用、配送費用などが挙げられます。
各3PL事業者ができること・できないことを把握する
委託する際は倉庫の場所がどこにあるのか、拠点は複数あるのか、平日のみ対応なのか、365日対応なのかはチェックが必要です。対応可能な温度や、流通加工・付加サービスの確認も忘れてはいけません。またBtoC・BtoBのどちらが得意か、実績はあるかは聞いておくと安心です。他にも食品や化粧品、医薬部外品などの商材を委託する場合は、許認可資格が必要になります。
3PL事業者と連携して在庫管理や人員確保を行う
物流業務をアウトソースすることで、社内に商品在庫を置かなくなるため、商品の状態をリアルタイムで確認することができなくなることも覚えておいて下さい。また、セール時や閑散期など受発注を予測し、3PL事業者に人員の確保してもらうことも大事になってきます。
3PL事業者に委託する際にかかる費用や、業者選びのポイントは下記記事をご覧いただければと思います。
3PLとフルフィルメントとの違い
3PLと似たような委託サービスとしてフルフィルメントがありますが、委託する業務の範囲が違います。3PLは受発注業務から在庫管理、梱包、配送といった物流業務が対象です。それに対し、フルフィルメントは物流業務に加えて、決済業務や返品処理、コールセンターなどの顧客対応、ささげ業務(撮影・採寸・原稿)などのバックヤード業務も対象となります。3PL事業者の中には、他社との差別化のためにフルフィルメントサービスを提供しているところも多いです。
フルフィルメントを利用する際の注意点としては、顧客対応を委託する場合は、お客様と直接関わる機会が減ってしまうため、顧客の声やニーズを把握しにくくなることが挙げられます。そのため、導入の際は連携を取れるように、顧客対応の内容を委託先の支援企業と事前にすり合わせる必要があります。
3PLから派生したクラウド物流、モール型フルフィルメント
近年、物流の販路が複雑化したことで、様々な需要が増えています。そのような背景から3PLから派生した物流代行サービスが登場しました。
クラウド物流
付帯業務の対応に制限があるものの、小ロットから物流の委託ができるクラウド物流はECを立ち上げたばかりの事業者に適しています。
クラウドサーバ(クラウド型のWMS)を活用することで、従来は事業者側で把握しづらかった在庫数などをリアルタイムで確認することができるのです。事業者と物流倉庫間でのデータのやり取りが管理画面(クラウド上)で可能になるのも特徴でしょう。
クラウドソーシング型の物流代行サービス
クラウド物流を提供している企業の中には、自社で倉庫や物流拠点、輸送手段を持たずに、全国の3PL事業者と提携しているところもあります。クラウドソーシング型の物流代行サービスをイメージしてもらえるといいでしょう。詳細は下記の記事をご覧いただければと思います。
モール系フルフィルメント
同梱物の対応に制限があり、BtoCのみで利用できるモール系フルフィルメントは、物流業務を含めたバックヤード業務を低価格で委託することができます。モール系フルフィルメントは名前の通り、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ECモールが提供しているフルフィルメントサービスです。サービスを利用することで、各ECモールで恩恵が受けられるため、優位に立てるのも特徴の一つです。例えば、Amazonが提供するFBAを利用すれば、プライムマークを商品に付与することができます。
各大手ECモールが提供するフルフィルメントサービスの違いについてまとめたので、参考にしていただければと思います。
最後に:物流の仕組みやルールを明確にしたうえでアウトソースをすることが大切
物流のアウトソースをする前に、まずは、物流の仕組みやルールを明確にすることから始めることが大事です。そのうえで、物流代行会社の特徴をしっかりと把握し、自社に最適なところを選ぶようにしましょう。
「3PL事業者+モール型フルフィルメント」「クラウド物流+モール型フルフィルメント」といったように、場合によっては併用することも選択肢の一つです。また、全ての物流業務を委託するのではなく、一部の業務や商品に関しては自社で行うといったのも手でしょう。
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