【ゲストスピーカー】
萩原 千春さん
株式会社シップス
販売促進部部長
セレクトショップの老舗「SHIPS 公式サイト」
【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)」
この記事の目次
顧客の要望をECでも叶えられる接客を
柳田さん:SHIPSは約80の店舗を持ち、ECサイトの運営も行っていますが、どのように接客に取り組んでらっしゃるのかお聞かせいただけないでしょうか。
萩原さん: ECの接客というと、元々はWeb接客ツールでポップアップをちょうどいいタイミングで出すようなプッシュ型の接客が多かったと思います。それが最近はチャットでお問い合わせ対応ができたり、チャットの流れからそのままビデオの接客ができたりと、ECでも双方向の接客が増えてきました。
弊社もチャット接客を一部、お問い合わせのところで取り入れています。お客様のなりたい姿や、したい体験に答えを出してあげるのが接客だとは思うので、そのアプローチをECでもやっていきたいんですよね。それと同時に強化していきたいのは、ビデオ接客です。ここはチャレンジしているところですね。
柳田さん:チャット画面で受けたお問い合わせを同じ画面上でビデオに切り替えて回答するイメージでしょうか。
萩原さん:店頭で取り組んでいるのは、例えば美容室を予約するような感覚で、来店予約かビデオ接客予約かをお選びいただく形でやっています。やってみてわかりましたが、やはりビデオ接客よりも、来店予約で直接お話されたいお客様のほうが多いです。
柳田さん:でもビデオ接客の予約がないわけではないね。
萩原さん:ほとんどが来店予約ですけどね。
柳田さん:ポイントは既存のスタッフに予約が入るところだと思います。店頭で接客を受けていなかったら、そうはならないですからね。スタッフ指定で入る予約はその方に何回か接客されているお客様からでしょうか?
萩原さん:おっしゃる通りです。
スタッフの認知を高め、良質な接客を顧客へ届ける仕組みづくりへ
柳田さん:となると、ECだけでビデオ接客の予約を取るのはハードルが高そうですね。
萩原さん:なのでスキルや個性のあるスタッフをメディア化しないと駄目だという考えがあり、弊社の中で取り組もうという動きはありました。
柳田さん:お聞きして思いましたが、店頭に立っているスタッフさんは若い方が多いかと思いますが、店頭に立ちながらもYouTubeやインスタライブに出ることが感覚的に嬉しいのではないでしょうか。実際にスタッフさんの反応ってどんな感じですか?
萩原さん:恐らくおっしゃる通りで、断られることはないですね。スタッフも自分の可能性を広げられるチャンスと捉えているのかもしれません。大きな組織改編があり、いろいろと取り組みが変わっている状況を踏まえて、個性とスキルのオムニ化を目指しているように感じられます。立場にとらわれすぎて、それぞれのスキルや個性を生かしきれない壁があると思うんです。リアルもデジタルもシームレスに繋ぐ取り組みの中で個人のスキルがどんどんオムニ化して、いろんなことにチャレンジするほうが可能性は広がっていくでしょう。
スタッフの認知度でリーチする母数が決まってくると思います。接客力はどこにでも誇れる弊社の強みですので、それを生かせるようどこまで認知を広げられるかが、私たちの仕事の成果の目標値になると考えています。
測定可能なタッチポイントが顧客の解像度をクリアに
柳田さん:SHIPさんとして今後どこを目指すのか、いろんなこと考えてらっしゃると思いますが、萩原さんがやられている範囲でこの先どういうことをしていきたいのか教えていただきたいです。
萩原さん:スタッフの力をどんどん伸ばして、お客様にスタッフそれぞれの魅力が伝わるような取り組みの強化をしていきたいです。ちょうど去年、オンラインショップの機能を大幅にリニューアルしたときに面白いデータが取れました。
ECサイトのサイト内検索は普通だと商品がヒットします。弊社ではコーポレートサイト兼オンラインショップとしてサイトを運用しているため、店舗やイベントの情報など商品以外のことを掲載しています。この情報を伝えたく、知ってもらう機会をどうやったら作れるだろうと思ったときに、Googleのような何でも情報がヒットする検索サービスから着想を得て、あらゆる情報を表示できるようにサイト内検索の仕組みをリニューアルしました。
例えばワンピースと検索すると、ワンピースの商品だけではなくてコーディネートやワンピースを使った特集ページなど、いろんなページを同時に見せられるようにしたんです。その機能と同時に、なんでもお気に入りに登録できるようにしました。すると、お気に入り登録がたくさんされるページや何度も検索されるスタッフが出てきたんですよね。
柳田さん:そうなんですね。
萩原さん:さらにお客様の行動ログから、検索を通してどんな特集やコーディネートを見たり気にしたりしているのかがわかるようになりました。その情報を活用できているチャネルはまだ少ないですが、サイト内では、例えばお気に入り登録されたスタッフが新しくコーディネートをアップしたときや、お気に入りの店舗のイベントがもうすぐ始まるときにお知らせできるようになります。こういった機能の拡充により、お客様へアプローチできる幅が広がりました。
柳田さん:お気に入りするアクションを起こしてもらうことでお客様もそれに対して情報がプッシュで来ても、ご自身でお気に入りに登録している情報だから、ノイズにはならないですよね。店舗から見てもタッチポイントを増やすことになっています。すごいベタですが、簡単にできるファーストパーティーデータの活用方法ですね。
萩原さん:本当にそうなんですよね。なぜこの機能を実装したかったかというと、伝えたいことは多いのですが、スマホ画面という限られた範囲内に収めなければならなかったからです。私たちはどの情報も同じ熱量で伝えたいため、優先順位を決めてやるのが無理だとなったとき、どの情報を受け取るかはお客様に委ねようとなりました。
柳田さん:お客様が一律で1ページ目に載っている情報を知りたいかというとそうじゃないですもんね。運営側は何がどれぐらいお気に入りに入っているかが可視化されますし、店舗に関連する情報をお気に入り登録している方にお届けしやすくなることでリアルへの送客もやりやすくなりそうですね。
おわりに:お客様とのWeb の接点づくりがリアルとのシナジーを生み出す
チャット接客やビデオ接客、サイト内検索のリニューアルによりさまざまな情報の掲載・お気に入り登録が可能になったことなど、いずれの取り組みもWebを活用し、ECだけで決済するお客様はWebで、店舗に足を運びたいお客様は店頭への移動がしやすくなる設計をされていると感じました。オンラインとオフラインで、それぞれが分断されるのではなく、商圏に縛りのないWebを巧みに活用し、OMOを実現する取り組みについて学べるお話だったかと思います。
EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。
■サヴァリ株式会社へのお問い合わせはこちら
https://savari.jp/contact/
あわせて読みたい