
CRMについて漠然とした知識はあっても、具体的にどのようにCRM施策を進めれば良いのかまではわからない方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は主なCRM施策7つや実行のメリット・手順、成功事例などについてまとめました。
深い知見を持ち合わせていない企業担当者でも無理なく読み進められるよう、難しい用語は極力使用していません。
記事を最後までチェックすれば、CRM施策を始めるまでの準備が整いますよ。
※無料の資料でより詳しくCRMについて知りたい方は「【令和6年版】超初心者のためのCRM入門」をチェックしてみてください。
この記事の目次
CRM施策とは
CRM施策とは、CRMで収集した顧客情報をもとに実施されるマーケティング施策のことです。
CRM施策の具体例は以下のとおりです。
- 顧客の誕生日が近づいてきたので、メールでバースデークーポンを配布する
- 顧客の商品閲覧履歴に応じて、レコメンドメールを送信する
CRM施策では、誕生日・商品閲覧履歴のような「顧客情報」が肝になります。
そもそもCRMとは
CRM施策に対する理解を深めるには「そもそもCRMとは何なのか」を理解しておく必要があります。
CRMとは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った言葉で、日本語だと「顧客関係管理システム」です。
CRMは、病院におけるカルテのようなものだと思ってください。
病院では、カルテに記録した診療歴などを活用して、より良い医療を提供します。
それと同じようにCRMでは「過去に何を購入したか」「年齢や性別」などの顧客情報を活用して、より良い顧客体験を提供します。
収集した顧客情報を活用してより良い顧客体験を提供し、それを自社の利益につなげることが、CRM施策の目的です。
CRM施策の主な例7つ
主なCRM施策の例は、以下の7つです。
- 顧客情報の管理
- レコメンドメール
- メルマガ
- ステップメール
- LINE公式アカウントとの連携
- 問い合わせフォームの最適化
- 同梱物
1つずつ詳しく解説します。
顧客情報の管理
CRM施策の基本となるのが、顧客情報の管理です。
管理する顧客情報を活用して、これから紹介するレコメンドメールやメルマガなどのCRM施策が実施されます。
また「顧客情報の管理」自体も、立派なCRM施策となり得ます。
例えば「この層にはこの商品が売れている」のような分析が可能です。また美容室などでは、顧客情報をもとに接客時の個別対応が可能になります。
レコメンドメール
レコメンドメールとは、顧客の閲覧履歴や購買履歴に基づいて、興味がありそうな商品をメールで提案(レコメンド)するCRM施策です。
ただ商品をおすすめするのではなく、顧客情報に基づいて購買の可能性が高いものをレコメンドするので、高い効果が期待できます。
例えばAmazonでは、閲覧履歴や購入履歴に基づいて「こんな商品はいかがですか?」とメールが届きます。これもレコメンドメールの一種です。
メルマガ
最も一般的なCRM施策が、メールマガジンの配信です。
年齢や性別などに基づいたおすすめ商品の紹介(閲覧履歴や購買履歴を活用しないという点でレコメンドメールとは異なる)、商品購入後に感謝を伝えるためのサンクスメールなどの種類があります。
「サンクスメールと一緒に次回以降使えるクーポンを渡す」などの施策を打つと、リピート率の向上につながります。
ステップメール
ステップメールとは、顧客の特定のアクション(購入や資料請求など)に応じて、あらかじめ用意しておいた複数のメールを決められたタイミングで配信するCRM施策です。
例えば商品を購入した顧客に対して、一定期間後に「お困りごとはありませんか?」のようなフォローメールを送ることで、顧客満足度やリピート率の向上につながります。
一定期間後に商品のメンテナンス方法を配信したりするのも良いでしょう。
LINE公式アカウントとの連携
日常的にメールを見ない顧客には、レコメンドメール・メルマガ・ステップメールのようなCRM施策は意味をなしません。
そういった顧客にアプローチするためのCRM施策が、LINE公式アカウントとの連携です。
CRMとLINE公式アカウントの連携機能を使えば、メールではなくLINEを使って、これまで解説したような施策を実行できます。
問い合わせフォームの最適化
サイト上に問い合わせフォームを作成する方法は複数あります。そしてCRMツールにも、問い合わせフォームの作成機能は備わっています。
問い合わせ内容や名前、メールアドレスなどを、手動で管理している方もいらっしゃるでしょう。
CRMツールを使って問い合わせフォームを作成すれば、入力された情報を自動で登録でき、業務の効率化が図れます。
同梱物
商品発送時に以下のような同梱物を入れておくことで、顧客満足度やリピート率の向上につながります。
- 次回使える割引クーポン
- 他商品を紹介する冊子
メールマガジンの開封率は、平均20%前後です。一方同梱物は商品と一緒に発送されるため、開封率はほぼ100%です。
またWeb上ではなく直接顧客にアプローチできる、数少ないCRM施策です。
CRM施策を実行するメリット
CRM施策を実行するメリットは、以下の3つです。
- 顧客情報を一元管理・活用できる
- 効果的にリピーターを獲得できる
- ブランド力の向上につながる
それぞれ詳しく見てみましょう。
顧客情報を一元管理・活用できる
CRMでは、顧客情報を1つのツールで一元管理します。
よって誰もが自由に、顧客情報にアクセスできるようになります。うまくCRMを使いこなせば「顧客の〇〇さんの情報はこの人しか知らない」のような状況は起こり得ません。
他にも、引き継ぎが楽になったり会議の資料作成が楽になったりといった効果があります。
効果的にリピーターを獲得できる
CRM施策は、顧客と良い関係を築くための施策です。
顧客情報を活用したメールの送信やクーポンの配布が、顧客満足度の向上につながります。顧客満足度が上がれば、リピーターを獲得できる可能性も高くなります。
そして最終的にはLTV(顧客生涯価値)の向上につながるでしょう。
人口減少や選択肢の増加により、新規顧客獲得の難易度は増しています。そんななか重要視されるのが、リピーターの獲得やLTVの向上です。
CRM施策は、今重要視されているリピーターの獲得やLTVの向上と相性の良い選択肢です。
ブランド力の向上につながる
前述のとおり、CRM施策は顧客満足度を高めます。そして顧客満足度の向上は、リピート率のみならず、ブランド力の向上にもつながります。
ブランド力が高まることで得られる効果は以下のとおりです。
- SNSなどで自社の良い評判が広まり、新規顧客獲得につながる
- 競合他社ではなく自社を選んでもらえるようになる
- 価格などの理由から購入へのハードルが高い商品が売れるようになる
CRM施策は既存顧客との関係を深めるための施策です。しかし上記のように、新規顧客の獲得につながるケースもあります。
CRM施策を実行する手順4STEP
CRM施策は、以下4つの手順で実施しましょう。
- 顧客情報の収集・分析
- CRM施策の実行
- CRM施策の効果検証
- CRM施策の改善
それぞれ詳しく解説します。
なおCRM施策の始め方については、以下の資料でも詳しく説明しています。
関連資料:【令和6年版】超初心者のためのCRM入門
1.顧客情報の収集・分析
顧客情報が、あらゆるCRM施策の肝となります。よってまずは、CRMツールを使って顧客情報を収集しましょう。
顧客情報はCRMツールが自動で収集してくれるものもあれば、従業員がCRMツールに入力しなければならないものもあります。
効率的に顧客情報を集めるためにも、従業員のデータ入力のハードルを下げる工夫が必要です。
集めた顧客情報を分析することで、顧客層やリピーターになる顧客の特徴が見えてきます。また課題や改善点の抽出も可能です。
2.CRM施策の実行
顧客情報の分析結果をもとに、CRM施策を立案して、それを実行します。
例えば「ECサイトはうまくいっているが来店者数が少ない」という課題がある場合は、メルマガにて店舗で使用できるクーポンを配布するといった施策が考えられます。
状況に応じて、本記事で紹介したレコメンドメールや同梱物などのCRM施策を実行しましょう。
3.CRM施策の効果検証
CRM施策の実行後は、その効果を検証しましょう。
例えばレコメンドメールやメルマガ、ステップメールを送った場合には、メールの開封率などを検証します。
事前に決めておいたKPIを達成できているのか、ROI(投資利益率)はどのくらいかなども検証すると良いでしょう。
4.CRM施策の改善
効果検証の結果をもとに、CRM施策を改善します。改善の方法は大きく以下の2つです。
- 成功した部分▶︎そのまま継続する or さらに強化する
- 効果が出なかった部分▶︎アプローチの変更を検討する
例えばメールの開封率が目標値を上回っていたのであれば、その施策をこのまま続けましょう。
一方で下回っていたのであれば、タイトルをより引きのあるものに変更したり、場合によっては別の施策に舵を切ったりします。
CRM施策の改善後はまた効果検証を行うといった形で、常にPDCAサイクルを回し続けることが大切です。
CRM施策を成功させるポイント
CRM施策を成功させるポイントは、以下の3つです。
- 導入目的とゴールを明確に定める
- まずはスモールスタートする
- 自社に合うCRMツールを正しく選ぶ
順番に詳しく説明します。
導入目的とゴールを明確に定める
まずはなぜCRM施策が必要なのか、CRM施策を通じて何を実現させたいのかをはっきりさせましょう。
これらが決まっていなければ、ただ何となくCRMツールを導入して、当たり障りのないメルマガを送ったりするだけになってしまいます。
導入目的の例としては、以下のとおりです。
- リピート率を上げたい
- 顧客満足度を上げたい
- 業務を効率化したい
上記のような目的に対して「リピート率〇〇%を目指す」のような具体的なゴールを定めます。
目的とゴールが明確になれば、全員が同じ方向を向いて行動できます。また施策の進捗状況を評価しやすくなるでしょう。
まずはスモールスタートする
一言でCRM施策と言っても、できることは無数にあります。本記事でも7つのCRM施策を紹介しました。
初めから複数のCRM施策を同時にスタートさせるのではなく、1つずつ、そして小さく始めるのも成功の秘訣です。
例えば特定の顧客セグメントに対してのみCRM施策を実行し、効果を確認できてから範囲を拡大するといった方法です。
CRM施策を小規模に始めることで、リソースを無駄にすることなく、施策が確実に成功する基盤を築けます。
自社に合うCRMツールを正しく選ぶ
CRM施策の成功を左右する要素の1つが、適切なCRMツールの選定です。
CRMツールによって、機能や得意とする領域が異なります。自社がCRM施策を実施する目的やゴールに沿ったCRMツールを選びましょう。
具体的には、機能・コスト・操作性・カスタマイズ性などの観点でのCRMツール選定をおすすめします。
おすすめのCRMツール3選については、後ほど本記事でも紹介します。
CRM施策に成功した具体例3つ
以下3つの、CRM施策成功事例を紹介します。
- パジャマ専門店「つくるパジャマ」
- 創業100年の老舗寿司店「柿の葉寿司のゐざさ中谷本舗」
- 女性向けファッションブランド「nairo」
それぞれ詳しく見てみましょう。
パジャマ専門店「つくるパジャマ」

創業70年の歴史を持つ老舗寝具メーカー岩本繊維株式会社が運営するECサイト「つくるパジャマ」。
これまで手動で行っていたリマインドメールやレビュー依頼を効率化する目的でCRMツール「アクションリンク」を導入しました。
結果として業務効率化はもちろん、より一人ひとりに最適化されたメールを送れるようになり、売上は3倍、メール開封率は2〜3倍になりました。
関連記事:卸販売から直販にも挑戦!創業70年の老舗寝具メーカーから学ぶ顧客に寄り添ったEC運営
創業100年の老舗寿司店「柿の葉寿司のゐざさ中谷本舗」

これまで実店舗を中心に商売を行っていた老舗寿司店「柿の葉寿司のゐざさ中谷本舗」。
ECサイトに力を入れるため、簡単に操作でき、少ない従業員でも小さくPDCAサイクルを回せるCRMツールとして「アクションリンク」を導入しました。
結果として、導入1か月でCVR10%増、メール開封率30%の成果を得られました。今後はLINEと連携したCRM施策に力をいれたいとのことです。
関連記事:創業100年の老舗寿司店がECに注力し売上400%増!コロナの逆境に適応したDXの取り組みとは
女性向けファッションブランド「nairo」

「nairo」は、「シンプルなのにどこかお洒落」がコンセプトの女性向けファッションブランドです。
同ブランドは、メール・Instagram・LINEなど多岐に渡っていたお問い合わせを一元管理するためにCRMツールを導入。
画面遷移をしながら一人ひとりのお客様情報を調べる手間がなくなったことにより、効率的かつミスなくお問い合わせに対して回答できるようになりました。
関連記事:急成長P2C!2年で年商8.5億円超の「nairo」が工夫する販売方法と接客スタイルからブランドの成長を学ぶ
CRM施策に役立つツール3選
CRM施策に役立つおすすめツールは以下の3つです。
- アクションリンク
- Dotdigital
- LTV-lab
各ツールについて詳しく見てみましょう。
アクションリンク

アクションリンクは、ECサイトに特化したCRMツールです。本記事でもECサイトでの導入事例を2件紹介しました。
本ツールの強みは、「鉄板シナリオ」の機能を活用すると、1クリックで顧客一人ひとりに合わせたメッセージを自動で作成できる点です。
また、現在使用中のカートシステムと連携をして、プリセット済みのメールを導入後すぐに自動配信できます。
ECサイト運営者で、気軽にCRMツールを導入した方には「アクションリンク」がおすすめです。
Dotdigital

Dotdigitalは、マルチストア・多通貨・多言語対応のイギリス発CXDPです。CXDPとは、既存顧客のみならず、見込み顧客に対してもアプローチができるシステムのことです。
Dotdigitalは、今回紹介する3つのCRMツールの中でも、最も大規模事業者向けのものとなっています。
例えば、British AirwaysやConverseなど世界規模で事業を展開している企業にて活用されています。
国外でも大々的にサービスを提供している場合には、Dotdigitalがおすすめです。
LTV-lab

LTV-labは、費用対効果に優れたCRMツールです。導入後の費用対効果は平均564%。
専門家不要の簡単設定でCRMマーケティングを始められます。
また、本ツールでは1,300店舗のノウハウに基づいた鉄板リピート施策を標準化しています。そのため、無駄な工数をかけず、売上につながる施策のみをピンポイントで実践できます。
CRMに詳しくない方でも、メールを送り分けたり直感的にデータを分析したりできるので、初めての方でも気軽に試せるでしょう。
おわりに
主なCRM施策7つや実行のメリット・手順、成功事例などについて解説しました。
CRM施策がうまく行けば、顧客と良い関係が築け、それがリピート率などにつながります。
CRM施策には、目的やゴール、予算に合ったツールの導入が欠かせません。気になるツールの導入費用については、以下の無料資料よりご確認いただけます。
関連資料:【CRMツール検討の適切なタイミングとは?】CRM導入に失敗しないためのツール導入費用の考え方
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