
右:gf.X株式会社 代表取締役社長 杉山太士さん
「シンプルなのに、どこかお洒落」をブランドコンセプトにしている女性向けファッションブランドの「nairo(ナイロ)」は、インフルエンサーであるりぃさんがディレクターを務め、gf.X株式会社の代表取締役社長である杉山太士さんと共に2020年に立ち上げました。りぃさんがInstagramで情報発信をする中でファンの方から寄せられた声を受けて生まれた「nairo」が商品を販売する際に工夫している点や顧客とのコミュニケーション方法について、お二人に伺いました。
この記事の目次
「nairo」の立ち上がりと今のスタイルができるまで
――「nairo」が現在のオリジナル商品中心の展開になった理由を教えていただけますか。
りぃさん:私がInstagramを始めた理由は、背が低い方でもスタイルを良く見せられるコーディネートなどを紹介することで、低身長はコンプレックスではなくアイデンティティであることを伝えたかったからです。
日々投稿する中で増えていったファンの方に感謝の気持ちを込めて立ち上げたのが「nairo」です。当初はオリジナルの商品ではなく、韓国から既製品を仕入れて販売していました。しかし、既製品では背の低い方が合わせやすい商品を展開することが難しく、オリジナルで商品を作ることに決めたのです。

右:「nairo」ブランドアカウント
杉山さん:既製品では細かい点を直したいと思っても修正することは難しいです。多少の違和感を持ったまま販売することは、商品に本当の自信を持てていないことと変わりません。自信を持ってお客様に商品を提供できるよう、現在では、りぃがお客様の声を取り入れながら何度もパターンを修正することで、こだわり抜いた商品を販売することができています。
新商品を販売する「予約会」とは?
――「nairo」の新商品を購入する際、基本的に「予約会」の形式を取っているそうですね。「予約会」とはどのようなものなのでしょうか。
杉山さん:予約会では新商品の予約注文を受け付けています。一定期間開催していますので、ご自宅のワードローブと相談しながら購入するかどうか決められるのが特徴です。
――「予約会」はいつから始めているのでしょうか。
りぃさん:ブランド立ち上げ直後、仕入れた既製品を初めて販売したところ5分で完売してしまいました。そのあと、3回、4回とすぐに売り切れることが続いたため、買えないお客様の不満が溜まってしまうと思ったのです。実際にどれくらいの方が購入したいと考えているのか知りたくて始めたのが「予約会」でした。初回は30~50件くらい注文が入れば良いほうかなと思っていたのですが、蓋を開けてみると500件ほどの注文が入っていて、多くの方に期待いただいていることがわかりました。
新規のお客様が買い物をしやすい仕組みづくり
――ファンの方にとっては新商品を漏らさず買える良い販売方法だと思いますが、「nairo」を初めて買おうとする方にとって、「予約会」は少しハードルが高いのではないでしょうか?
杉山さん:新商品は基本的に受注生産で販売しているため、注文からお手元にお届けするまでに2ヶ月ほどかかります。初めての方がいきなり「予約会」で2ヶ月後に到着する商品をお買い求めいただくのは一定のハードルがあるでしょう。そこで「nairo」では定番のシリーズである「ESSENTIAL」をおすすめしているのです。「ESSENTIAL」は常に在庫を用意しており、初めて「nairo」を手にとっていただく方が合わせやすい作りになっています。
また、「ESSENTIAL」は入り口の商品となるため、できるだけ手頃な価格でお求めいただけるように、商品はブラッシュアップしながらも、販売を始めた頃から価格を変えずに提供しております。

りぃさん:「予約会」に出す商品は「ESSENTIAL」と組み合わせてコーディネートの写真を撮っています。そうすることで、最初に「ESSENTIAL」を購入いただいた方が、自分が着たときのことをイメージしやすくなり、「予約会」でもお買い物を楽しんでいただけるようになるのです。
オンライン専売だからこその顧客対応の工夫
――「ESSENTIAL」を入り口に「nairo」でのお買い物がどんどん楽しくなりそうですね。このような工夫をしていても店舗を持たずに販売していると、実際に商品を手に取ってから購入できないこともあるため、お客様からいろいろな問い合わせを頂くのではないでしょうか。
杉山さん:コーディネートや素材に関するお問い合わせを頂くことが多いです。こういったお問い合わせにりぃ以外でも対応できる体制を作っています。りぃの同級生でサブディレクターを務めるあおが撮影から全ての工程を一緒にやっているので、商品のことやコーディネートなど、質問が来ても対応できるのです。
また、「予約会」で購入いただいた方からの納期に関するお問い合わせについては、CSチームで対応しています。商品ごとに納期が異なるため、購入いただく商品の組み合わせによって到着時期が前後してしまうことがあるのです。先に到着した方がSNSに着用写真をアップしていると、お客様は自分の分はいつ届くのか気になります。そういったときは購入いただいた商品ごとの納期を確認し、到着時期をお答えできるようにしています。
ツールの導入でより満足度の高い顧客体験を提供可能に
――InstagramなどのSNSやECサイトを介してかなりの数の問い合わせを受けていそうですが、コーディネートを提案したり、個別に納期を確認して回答したりと、お客様対応の業務負荷が大きいのではないでしょうか。
りぃさん:ECサイトをリニューアルする前まではメールでのみお問い合わせを受けていました。売上が増えるに連れて問い合わせが増え、メールでは返信をしても届いていないこともあり、CSチームが困惑してしまいました。
私やブランドのInstagramアカウントに直接DMを送っていただくことも多く、社内に情報共有をする際はDMをスクショした画像をシェアすることで対応していたのです。

杉山さん:サイトをShopifyにリニューアルした際にチャネルトークを紹介してもらい、導入済みの友人の話を聞いて利用することに決めました。メール、Instagram、LINEなど、今まで多岐に渡っていたお問い合わせの入り口をチャネルトーク上で一元管理できるようになったことで管理にかかるコストが非常に少なくなっています。
また、お問い合わせいただいたお客様の注文情報はチャット対応をしている画面で確認できるため、画面遷移をしながら一人ひとりのお客様情報を調べる手間もなくなり、効率的かつミスなく回答ができるようになりました。さらに住所変更など人が対応しなくてもできる業務は自己解決できる導線を設け、チャットで自動化できるようになったのは社内のみならずお客様にとっても正確でスピーディに対応できるようになって良かったと思っています。
国内のお客様にとどまらず、最近ではりぃのInstagramを入り口に海外のお客様から注文を受けることが増えてきました。海外のお客様であってもチャネルトークであれば自動翻訳機能など海外販売向けの機能が備わっていることもあり、出荷までスムーズな対応ができるのです。
CRMの強化でサービス品質の向上に寄与
――チャネルトークの導入によりお客様対応が見違えたように変わったのではないでしょうか。接客面で、よりサービスを向上できたことはありますか?
杉山さん:時間の短縮だけでなく、お問い合わせごとにタグを付与し、振り返って分析をできるようになりました。落ち着いて質問の傾向を見返せるので、サービス品質を向上するための議論をできるようになっています。
チャネルトークではECサイトに訪れたお客様のお問い合わせを一方的に受けるのではなく、こちらから接客することができるのが魅力な点です。例えば、「予約会」で毎回お買い物をしていただいているお客様に、「nairo」のことをどう思っているのか正直な意見を伺ったことがあります。店舗に来店されたお客様に対面で接客をすると、顔を合わせているため気を遣った意見しか伺えないことがありますが、チャネルトークでは顔が見えない分、実店舗以上にお客様の本音を引き出しやすいと感じています。


りぃさん:このような形(上画像)でお客様から頂いたご相談内容を参考に、サイト上に掲載するコンテンツを作成しています。お客様から着用感について商品レビューを頂いたり、ときにはお客様に購入後のエピソードを募集したり、生の声を反映したコンテンツは好評です。
参考
・褒められエピソード♡ -着痩せレビュー編-
・【SHOES特集vol.7】お客様のリアルなお声👡♡
ジャンルに縛られず広いカテゴリに挑戦するこれからの「nairo」
――「予約会」の仕組みを支える上でチャネルトークの存在は大きいですね。双方向なお客様対応によって、より良質な購買体験が提供できているのではないでしょうか。最後に、「nairo」の今後の展開について差し支えない範囲でお聞きしたいです。
りぃさん:お客様から身の回りの雑貨やアクセサリー、バッグや靴などを取り扱って欲しいという声を多く頂いています。洋服は継続して販売する中で、今後は海外から質の高いブランドをセレクトし、取扱商品の幅を広げていこうと思っています。セールをせず、お客様を大事にする姿勢はそのままで続けていきたいです。
杉山さん:「予約会」で購入いただいて1~2ヶ月お待ちいただいたのに、手元に届いたときにガッカリされないよう商品の品質は更に高めていこうと思っています。今年の3月に伊藤忠ファッションシステム株式会社さんと業務提携をしたのですが、商品の質、納品のタイミングなどお客様にとって今以上に最適な形でお届けすることが目的です。
この業務提携をきっかけに、既に洋服以外の商品を作る話が進んでいます。今後は「nairo」を通して、オリジナルの商品に加え、私達が自信を持ってお客様へご提供できる世界各国の良いものを知ってもらう架け橋になればと考えています。
インタビューを通して:ファンの声に応え続けて伸びるインフルエンサーブランド
言うまでもなく「nairo」に欠かせないのはディレクターのりぃさんの存在です。数あるインフルエンサーのブランドの中でもりぃさんはファンの声に耳を傾けながら、自分自身が「nairo」を着用しています。裏表のないリアルな様子を発信できていることに魅力を感じているファンは少なくないでしょう。
ファンへの感謝の気持ちから始まった「nairo」は今後もお客様の声を活かしながら、新しいジャンルのラインナップを増やしていく予定です。お客様とのコミュニケーションを活発に行うことで、ブレないブランド作りをしていると取材を通して感じられました。その土台がチャネルトークの導入により劇的に築かれたようです。お客様への接客やオンライン上のサービス品質を向上したいとお考えの方はチャネルトークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
■チャネルトーク
https://channel.io/ja
■「nairo」
https://nairo.jp/
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