
CRMマーケティングとは、一元管理された顧客情報を活用して実施されるマーケティング手法のことです。
「Amazonから届く『こんな商品をお探しですか?』のメール」や「歯医者、美容室などから予約前日に届くリマインドのSMS」などが、CRMマーケティングにあたります。
今回は、CRMマーケティングの概要や流れ、成功事例、成功のポイント、おすすめツールなどについてまとめました。
深い知見を持ち合わせていない企業担当者、サイト運営者でも無理なく読み進められるよう、難しい用語は極力使用していません。
記事を最後までチェックして、CRMマーケティングのスタートラインに立ちましょう。
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この記事の目次
CRMマーケティングとは
CRMは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った言葉で、日本語だと「顧客関係管理システム」です。
顧客と良好な関係をつくり、価値を生み出すために用いられます。病院における「カルテ」をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
過去にどんな診療を受けたのか、どんな処置を行ったのかを記録するのと同じように、顧客が何を購入したのか、男性か女性かなどの顧客情報を、ツールで一元管理します。
そしてCRMマーケティングは、CRMで集めた顧客情報をもとに実施されるマーケティング手法のことです。
たとえば、Netflixを退会すると「こんな作品が配信開始されました。サブスクを再開しませんか?」と、定期的にメールが届きます。
これは「退会済みのユーザーである」「こんな作品を見ていた」「類似ユーザーはこんな作品を好む傾向にある」などの顧客情報をもとにした、CRMマーケティングの1つです。
CRMとSFAの違い
CRMと関連する言葉に「SFA」があります。
SFAは「Sales Force Automation」の頭文字を取った言葉で、日本語だと「営業支援システム」です。
CRMとSFAには、以下の共通点があります。
- データを管理したり共有したりできる
- データを分析し、マーケティング施策に繋げられる
近年、両者の境界線は曖昧になっており、CRMとSFA両方の機能を備えたツールも珍しくありません。
一方、CRMで管理されるデータは顧客との関係構築のために使われるのに対し、SFAで管理されるデータは営業部の業務を効率化するために使われるという違いがあります。
CRMとMAの違い
CRMと関連する言葉に「MA」があります。
MAは「Marketing Automation」の頭文字を取った言葉で、日本語だと「マーケティング自動化システム」です。
CRMは既存顧客に、MAは見込み顧客に特化したシステムであるという違いがあります。
大まかにまとめると「MAで見込み顧客を獲得する▶︎SFAで見込み顧客に対して営業を行う▶︎CRMで顧客情報を管理したり分析したりしてマーケティング施策に繋げる」といったイメージです。
CRMマーケティングは年々、重要度が増している
CRMは、以下2つの要因により、年々重要度が増しています。
- 少子高齢化による市場の縮小
- ITの発達による顧客行動の変化
それぞれ詳しく見てみましょう。
少子高齢化による市場の縮小
少子高齢化に伴い、日本の人口は、2048年に1億人を割ると推計されています(出典:内閣府 高齢社会白書)。
人口減少によって市場が縮小すると、当然新規顧客の獲得は難しくなります。
そんななか、CRMは新規顧客の開拓ではなく、既存顧客との良好な関係を構築するためのシステムです。
つまり、CRMマーケティングには、リピーターを獲得したりLTV(顧客生涯価値)を向上させたりする効果があります。
少子高齢化による市場の縮小が止まらない限り、CRMマーケティングの重要度は増し続けます。
ITの発達による顧客行動の変化
パソコンやスマートフォンの普及によって、顧客自らさまざまな情報を収集し、比較検討できるようになりました。
少し前までは、皆が似たような商品を欲しがっていました。しかし、年々顧客のニーズは多様化しています。
それと同時に、企業側も顧客に関するさまざまな情報を収集できるようになりました。
CRMで管理しているデータを活用することで、顧客ひとりひとりのニーズに合った施策が打てます。
本記事で紹介したAmazonやNetflixの施策も、顧客情報に基づいたものです。
ITの発達に伴い、CRMマーケティングの重要度は増していきます。
CRMマーケティングに取り組むメリット
CRMマーケティングに取り組む主なメリットは、以下の3つです。
- 顧客満足度が上がり、LTVの向上につながる
- 新規顧客を獲得しやすくなる
- 業務が効率化される
それぞれ詳しく見てみましょう。
顧客満足度が上がり、LTVの向上につながる
CRMマーケティングは、既存顧客にリピーターになってもらうための施策です。
以下のような施策はすべて、顧客満足度の向上に繋がります。
- 来店日の前日にSMSでリマインドを送る
- 購入者にメールで次回の割引クーポンを渡す
- 商品ページを閲覧したものの購入に至らなかった見込み顧客に値下げ情報をメールで伝える
満足度が上がれば、顧客はその商品・サービスを長く使いたいと考えます。よって、LTVの向上に繋がります。
新規顧客を獲得しやすくなる
CRMマーケティングは、顧客育成のためだけの施策ではありません。
CRMで管理されている顧客情報を分析することで、顧客層が明確になり、新規顧客の獲得にも繋がります。
たとえば、顧客を年齢・性別・職業・住所・世帯人数などの条件でグループ分けする「セグメント分析」を行えば、どんな層が新規顧客となり得るのかが見えてきます。
業務が効率化される
CRMでは、顧客情報が一元管理されています。よって、以下のようにさまざまな点から、業務の効率化が可能です。
- 必要な顧客情報に簡単にアクセスできる
- 顧客情報を簡単に共有できる
- 引き継ぎが楽になる
たとえば、会議の資料作成が楽になったり、商談先への移動中に顧客データを確認できたりします。
CRMマーケティングの主な施策
CRMマーケティングの主な施策は、以下の5つです。
- メルマガ配信
- アドレサブル広告
- 同梱物の封入
- SNSアカウントの運用
- 問い合わせフォームの作成・連携
それぞれ詳しく見てみましょう。
メルマガ配信
CRMマーケティング施策のなかでも最も一般的なのが、メールマガジンの配信です。
購入履歴や行動履歴・セグメント分析の結果などから、再購入の意欲が高い層を抽出し、メールを送ります。
また、メールマガジンには、ECサイトでの商品購入後に感謝を伝えるためのサンクスメールや購入後のフォローを目的としたステップメールなど、いくつかの種類があります。
アドレサブル広告
CRMに登録された顧客情報に基づいて、GoogleやYahoo!、Facebookなどで行われるマーケティング施策のことを、アドレサブル広告と言います。
一度自社に興味を持ち、個人情報を登録してくれた顧客に対してアプローチができるため、効率的に新規顧客を獲得できます。
アドレサブル広告は、メールマガジンのように開封をする必要はありません。自然に、検索やSNSの閲覧等を行っている顧客の目に入ります。
よって、長い間メールマガジンを開封していない、休眠顧客へのアプローチにも適しています。
同梱物の封入
ECサイトで購入された商品の発送時に以下のような同梱物を入れておくことで、顧客満足度の向上やリピーターの獲得に繋がります。
- 手書き風のお礼
- 次回使える割引クーポン
- 他商品を紹介する冊子
同梱物は、購入された商品と一緒に発送されるため、メルマガなど他のCRMマーケティング施策と比較して開封率が高いのが特徴です。
開封率はほぼ100%と言っていいでしょう。また、Web上ではなく直接ものを届けられる数少ない手段です。
SNSアカウントの運用
SNSの発達に伴い「メールは見ないがLINEは見る」といった顧客も増えています。そういった顧客へのアプローチに欠かせないのが、SNSアカウントの運用です。
LINE・X・InstagramのようなSNSは、メールと比較して顧客との距離が近い点が特徴です。
たとえば、商品の不具合に関するXへの投稿に対して「お詫びや問い合わせフォームのリンク」を送ることで、顧客満足度を高めることができます。
問い合わせフォームの作成・連携
ECサイトなどのサービスページに問い合わせフォームを設置して、それをCRMと連携させることが可能です。
そうすれば、顧客の生の声を、CRMで一元管理できるようになります。
年齢・性別・購入履歴のようなデータのみならず、顧客の生の声まで管理をすることで、CRMマーケティングの強化に繋がります。
CRMマーケティングの流れ4ステップ
CRMマーケティングは、主に以下の流れで実施されます。
- 顧客情報の収集と蓄積
- 顧客情報の分析
- マーケティング施策の立案と実行
- 実行したマーケティング施策の効果測定
それぞれ詳しく見てみましょう。
なお、これからCRMマーケティングに取り組みたい初心者の方には以下の資料がおすすめです。以下より簡単30秒で無料で入手可能です。
関連資料:【令和6年版】超初心者のためのCRM入門
1.顧客情報の収集と蓄積
CRMマーケティングの根幹となるのは、顧客情報です。まずはツールを使用して顧客情報を収集し、蓄積させましょう。
顧客情報は、自動で記録されるものもあれば、社員自ら入力をしなければならないものもあります。よって、社員のデータ入力のハードルを下げる工夫が必要です。
CRMマーケティングにおすすめのツールについては、後ほど紹介します。
2.顧客情報の分析
顧客情報がある程度蓄積されたら分析を行います。分析によって、顧客層やリピーターになる顧客の特徴などが見えてきます。
分析結果から「この条件に当てはまる顧客はリピーターになっていない」のような、課題や改善点の抽出が可能です。
3.マーケティング施策の立案と実行
明らかになった課題や改善点をもとにマーケティング施策を立案し、実行に移します。
マーケティング施策には、本記事でも紹介したメールマガジンやアドレサブル広告・同梱物の封入などがあります。
4.実行したマーケティング施策の効果測定
施策を実行しただけで満足してはいけません。
実行したマーケティング施策によってリピート率は改善されたのか、顧客満足度は向上したのかなどを効果測定しましょう。
効果測定によって施策の有効性が認められれば、そのまま施策を継続します。施策にあまり効果がないようであれば、別の施策を立案する必要があります。
CRMマーケティングの成功事例3選
以下3社の、CRMマーケティング成功事例を紹介します。
- カラーミーショップ⼤賞受賞「KEY MEMORY」
- オフィス家具のECサイト「オフィスコム」
- 石井食品のオンラインストア「ダイレクトイシイ」
それぞれ詳しく見てみましょう。
カラーミーショップ⼤賞受賞「KEY MEMORY」

鎌倉発のアパレルブランド「KEY MEMORY」は、“鎌倉の特別な時間”をコンセプトに、親子3世代が着用できるようなデザインで、日々の生活をリラックスして過ごせるユニセックスのアイテムを製作・販売しています。
CRMマーケティングとして自動配信メールを設定したところ、特定の条件下でメール経由のCVRが30%を上回るようになりました。
また、メール経由の売上は4倍になり、都度配信しているメルマガと比べると、⾃動配信(トリガー配信)のメルマガの売上⽐率が9割以上になりました。
具体的なCRM施策の内容については、下記のインタビューをご覧ください。
関連資料:特別インタビュー「KEY MEMORY」がメール売上4倍にしたアパレルECのCRM施策とは?
オフィス家具のECサイト「オフィスコム」

「簡単に最安で最速のかっこいいオフィスづくり」を経営理念に掲げ、数十万点以上のオフィス家具や事務用品の製造・販売を行う「オフィスコム」。
CRMマーケティングの専用ツールを導入してから、初月よりメール経由の売上が3倍近く増加しました。また、リピート顧客の売上は前月比+20%にも上り、家具・インテリアやBtoB ECの領域で確かな成果を収めています。
関連資料:家具・インテリア雑貨ECの今すぐやるべきCRM鉄板シナリオ
関連資料:BtoB ECの今すぐやるべきCRM鉄板シナリオ
石井食品のオンラインストア「ダイレクトイシイ」

ダイレクトイシイは、お弁当の定番のミートボールで有名な⽯井⾷品の⼦会社として、15年前からEC・通販を展開しています。
オンラインストアでは店販の商品と差別化するため、おせちや栗ご飯、地域の⾷材を使ったハンバーグ・⾮常⾷などを扱っています。
CRMマーケティング実施から1か⽉後の売上アップ率は平均219%アップしました。自動配信のあるメールでは、開封率が55%を超えた実績もあります。
CRMマーケティングを成功させるポイント
上記で紹介した成功事例のように、CRMマーケティングを成功させるポイントは以下の3つです。
- CRMマーケティングに取り組む目的を明確にする
- ゴールとKPIを設定する
- 効果測定と改善を繰り返す
それぞれ詳しく見てみましょう。
CRMマーケティングに取り組む目的を明確にする
なぜCRMマーケティングに取り組むのか、目的を明確にしましょう。
目的がはっきりすることで、どんな施策が必要で、どんな施策が不要なのかが明らかになります。
目的が明確でなければ、不要な施策にまで手をつけてしまい、コスト・時間・労力をすべて無駄にしてしまいます。
ゴールとKPIを設定する
目的が明らかになったら、ゴールとKPIを設定しましょう。
漠然とした目的ではなく具体的な数値目標を決めることで、目的を達成できたのかどうかを判断できます。
たとえば「メルマガ経由での売上を伸ばしたい」という目的だけでなく、具体的に何倍にしたいのか、数値目標を定めることが重要です。
効果測定と改善を繰り返す
ゴールとKPIを達成できたのかどうか、定期的に効果測定を実施しましょう。
ゴールとKPIを達成できていなければ、マーケティング施策の改善が必要です。施策の改善には、CRMツールのアフターサポートを利用するのもおすすめです。
また、社員がストレスなくCRMツールを使えているのかを確認し、必要に応じて収集する情報を変更したり、システムを再構築したりする必要があります。
CRMマーケティングに使えるツール3選
最後に、CRMマーケティングに使える以下3つのツールを紹介します。
- Dotdigital
- アクションリンク
- LTV-lab
それぞれ詳しく見てみましょう。
なお、CRMツールの導入にかかる費用について詳しく知りたい方は、以下の資料をチェックしてみてください。
関連資料:【CRMツール検討の適切なタイミングとは?】CRM導入に失敗しないためのツール導入費用の考え方
Dotdigital

Dotdigitalは、マルチストア・多通貨・多言語対応のイギリス発CXDPです。CXDPとは、既存顧客のみならず、見込み顧客に対してもアプローチができるシステムのことです。
メールの配信に加えて、SMS・SNS・Web・アプリ通知など、さまざまなチャネルで既存顧客や見込み顧客との接点を作れる点がDotdigitalの特徴です。
Dotdigitalは、今回紹介する3つのCRMツールの中でも、最も大規模事業者向けのものとなっています。
例えば、British AirwaysやConverseなど世界規模で事業を展開している企業にて活用されています。
アクションリンク

アクションリンクは、ECサイトに特化したCRM・MAツールです。既存顧客のみならず、見込み顧客に対してもアプローチができます。
アクションリンク導入初月の売上アップ率は、平均219%と高い数値を誇ります。
本ツールの強みは、「鉄板シナリオ」の機能を活用すると、1クリックで顧客一人ひとりに合わせたメッセージを自動で作成できる点です。
また、現在使用中のカートシステムと連携をして、プリセット済みのメールを導入後すぐに自動配信できるのも特徴です。
ECサイト運営者の方は、CRMツールとして「アクションリンク」を導入してみてはいかがでしょうか。
LTV-lab

費用対効果に優れたCRMツールとして知られる「LTV-lab」。導入後の費用対効果は平均564%と非常に高いです。
専門家不要の簡単設定でCRMマーケティングを始められるので、エンジニアやアナリスト等にかかる費用を削減できる点がメリットです。
また、本ツールでは1,300店舗のノウハウに基づいた鉄板リピート施策を標準化しています。そのため、無駄な工数をかけず、売上につながる施策のみをピンポイントで実践できます。
CRMに詳しくない方でも、メールを送り分けたり直感的にデータを分析したりできるので、初めての方でも気軽に試せるでしょう。
おわりに
本記事では、CRMマーケティングの概要・流れ・成功事例・成功のポイント・おすすめツールなどについて解説しました。
本記事の内容を参考に、早速CRMマーケティングを始めてみましょう。
CRMマーケティングには、ツールの導入が欠かせません。気になるツールの導入費用については、以下の無料資料よりご確認いただけます。
関連資料:【CRMツール検討の適切なタイミングとは?】CRM導入に失敗しないためのツール導入費用の考え方
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