東南アジア進出で成功するポイントは?中国・タイ・ベトナムの越境EC事情を解説【セミナーレポート】
イベントの概要

2023年6月21日(水)、日本企業の海外進出を支援するPOIZON GLOBAL、アジアンブリッジ株式会社、株式会社ピアラの3社によるオンラインセミナーが開催されました。本記事では、このセミナーの内容をもとに、特に中国・タイ・ベトナムの経済市場とEC事情に関する要点を解説します。合わせて、海外進出のヒントになる情報として、中国越境EC市場で近年利用者が急増しているプラットフォーム「POIZON」についても紹介します。

【登壇者】
Anan Meng(アナン)さん
POIZON GLOBAL

加治屋 俊輝さん
アジアンブリッジ株式会社

柴橋 洋平さん
株式会社ピアラ

アジア(中国・タイ・ベトナム)の経済市場とショッピング(EC)事情

中国

中国ECマーケットの現状

中国の経済市場とショッピング(EC)事業については、POIZON GLOBALのAnan Meng(アナン)さんがお話しくださいました。

中国EC市場は右肩上がりの成長を続けています。2022年の市場規模は390兆円で、これは日本のEC市場規模の16.5倍です。中国越境ECの市場規模も、年々拡大しています。2022年は中国EC市場の7.37%を越境ECが占め、2023年には8%を超えるのではないかと予測されているそうです。

今後の中国越境ECにおいて重要なユーザー層が、Z世代を中心とした若い世代だとアナンさんは言います。

中国越境ECユーザー

越境ECの利用者を年代別に見ると、2021年の調査では、「18歳~24歳」「25歳~34歳」が全体の53%を占めています。また、2022年のデータでは、Z世代の人口は中国の人口の22.8%と4分の1にも届きませんが、その消費規模は中国全体の40.1%を占めているのです。

「中国市場への進出にあたりZ世代は無視できない存在であり、Z世代をおさえることは中国越境ECをおさえることともいえるでしょう」(アナンさん)。

中国Z世代の特徴

中国Z世代の特徴として、アナンさんは次の点をあげられていました。

  • ユニークさを求める
  • 好きなブランドにこだわる
  • 情報源はオンライン重視
  • 最終的な購入はオンライン

また、中国Z世代はターゲットとなるイベント日についても特徴があるとのことです。一般的に中国EC市場で注目のイベントといえば、W11(11月11日)、W12(12月12日)、618(6月18日)があげられます。

しかし、中国Z世代をターゲットとする場合、こういった大型イベントに加えて、元日(1月1日)やバレンタイン(2月14日・7月7日)、3月・6月の新学期シーズン、クリスマスなども注目すべきだとアナンさんは言います。これらの時期には、プレゼント需要での売上が伸びる可能性があるからです。

「特にバレンタイン前の時期は、バッグやアクセサリーなどのプレゼント需要が高まります。中国ではバレンタインが2月14日と7月7日の2回あり、どちらも男性から女性にプレゼントを渡す日になっています」(アナンさん)。

中国Z世代はプレゼントについても、上記の特徴と同様に他人とかぶらないことを意識する傾向があり、越境EC事業者にとってチャンスといえます。プレゼント需要を狙う場合は、配送が間に合うように早めに準備を進めることが大切だとアナンさんは締めくくられました。

タイ

タイと日本の違い

タイの経済市場とショッピング(EC)事業については、アジアンブリッジ株式会社の加治屋さんがお話しされました。

タイは、経済成長率の高い国です。日本の経済成長率が1.7%であるのに対し、タイの経済成長率は3.6%となっています。

タイの1か月あたりの平均所得は8千ドルと日本に比べるとまだ低いですが、一方で2万ドル以上の所得がある層が人口の約20%を占めています。格差がある中で、日本と同等の購買力を持つ層が拡大していると加治屋さんは言います。

タイEC市場の概況

タイのEC市場は、コロナ禍で成長が加速し、その後も継続した成長を続けています。2023年は前年比+17%の約3.43兆円規模になる想定が出ています。

スマートフォンからの購入がほとんどで、利用される決済手段はスマホでQRコードを介する電信送金が43%を占めています。

タイEC市場におけるSNSの重要性

タイでは、1日のSNS利用時間が日本の3倍もあり、情報収集は基本的にSNSで行われます。SNSの中でも特にFacebookの存在が大きく、人口の75%がFacebookを利用しており、月間アクティブユーザーは5,100万人となっています。日本のFacebook月間アクティブユーザーは2,400万人なので、その存在感の大きさがわかるのではないでしょうか。

タイEC市場において、認知・口コミ対策をするにはFacebookは必須です。Facebookを起点に、Instagram、YouTubeでの検索対策もマストだと加治屋さんは言います。

また、タイEC市場の大きな特徴として、SNSチャットコマースの浸透をあげられていました。利用される媒体は、Facebook、Instagram、LINEです。問い合わせから注文・着金報告・CRMまですべてチャットで完結する形になるそうです。

購入スタイルとしては対話要素が好まれます。これは、屋台でものを買うことが多いタイの文化が影響していると加治屋さんは話します。さらに、人件費の安さもあり、ボットではなく人的対応により表現や内容のPDCAを高速回転させるのが一般的だと続けました。

チャットでは会話の履歴が残るため、PDCAを回しやすくなっています。また、クローズドな媒体なので、日本の広告規制と比較すると、より強めの広告訴求が可能です。

チャットコマースは、世界的に見ても市場規模が拡大しています。タイにおいては、EC販路の40%をSNS(チャット・ライブ)が占めており、今後も成長を続ける見込みです。

ライブコマースも成長中の販路であり、2022年のタイのEC売上の10%を占めています。Facebookの他、タイにおける二大ECモールであるLazadaとShopeeでもライブコマースの環境が提供されています。

「ライブコマースはタイ人が好む対話要素のスタイルです。セラー(配信者)が商品のレビューをしながら販売することで信頼性が得られる販売手法といえます。リアルタイムで顧客のフィードバックが得られるといったメリットがある一方、セラーの数が非常に多いため、自社の商品を販売してもらうために、良いセラーを見つけるためのトライが重要になるでしょう」(加治屋さん)。

SNS(チャット・ライブ)と並び、ECモールもタイのEC販路の40%を占めています。チャット後のリターゲティングでモールへの流入を狙う方法もあるとのことです。

主要なタイのECモールと販売手法

タイにはAmazonや楽天市場は未参入で、東南アジアの代表的なECモールであるLazadaとShopeeが二大モールとなっています。ともにマーケットプレイス型で、両社に大きな違いはなく、タイの消費者は両方のモールを見るのが一般的です。

Lazada・Shopeeともにキャンペーンが日常的に行われているのが特徴です。タイの消費者が商品を選ぶ傾向として、加治屋さんは「モールでは大量の商品が販売されており、その中で選んでもらうにはレビュー対策が必須です。また、お得に見せるため、二重価格は当たり前となっています。タイではリピート購入の概念がなく、2個買うともう2個無料という「Buy 1 Get 1」のようなセット売りが主流となっています」と話されました。

ベトナム

ベトナムのEC市場の取引総額の推移

ベトナムの経済市場とショッピング(EC)事業については、株式会社ピアラの柴橋さんがお話しくださいました。

ベトナムのEC市場の状況は、タイと似ています。ASEAN諸国の中では、ベトナムよりもタイのほうがやや先進国といえる状況です。農水省レポートのデータをもとにすると、2021年のEC売上高が6,111百万USD(約0.8兆円)となっています。成長率が非常に大きく、また、コロナ禍の影響で、EC化が加速したため、2026年にはEC売上高が15,214百万USD(約2兆円)になるという予想もあります。

決済状況としては、クレジットカード保有率が低く、電子決済サービスの主要3社がしのぎを削っています。キャッシュレス決済が浸透すれば、EC市場拡大をさらに後押しするはずだと柴橋さんは話します。

「ベトナムのリテール市場は個人商店の比率が高いという特徴があります。特に、ドラッグストアなどは、チェーン店の進出もあるものの、まだ個人商店が圧倒的に多い状況です。そのため、ECだけでなくそういった個人商店をどう攻略するかが、ベトナム市場で成長するポイントとなります」(柴橋さん)。

また、海外企業の進出状況について、ベトナムに進出しているのは中国やアメリカの企業が多く、日系企業の進出は1%ほどと少ない状況です。日系企業にとっては、今後、進出の余地があると柴橋さんは話されていました。

ベトナムEC市場におけるSNSの重要性

ベトナムSNS事情

ベトナムではスマートフォンの保有率が日本よりも高く、EC市場では、SNSが非常に重要です。特にFacebookの利用率が高く、日本の3倍にもなります。また、全世代の7割が、インフルエンサーきっかけで認知から購入までを行っています。

SNSが重要になっている背景として、偽物の横行があります。「偽物による詐欺に遭わないために、情報発信元の信頼性が重視され、SNSを見て信頼できる人からの情報を得たいというユーザー心理があります」と柴橋さんは言います。

Facebookの他に利用率の高いSNSとしては、YouTubeや、ベトナム版LINE的位置づけのZaloなどがあります。0~20代の若い世代ではInstagramの利用率も高くなっています。

「最近では、TikTokの利用率も伸びてきています。ベトナムではTikTokにEC機能が先行して実装されており、TikTokで動画を見ながら気に入った商品を購入できます。アフィリエイターも多く、本業のアフィリエイターだけでも7千万人ほど存在しています。各メーカーの参入も増えており、特にアパレルECでの活用が多くなっています。TikTokコマースでは、認知獲得から販促、CRMまでカバーできます。まだ手動で行っていることが多いので、自動化が進むとより活用が拡大する可能性があるでしょう」(柴橋さん)。

主要なベトナムのECモールと販売手法

偽物が横行しているという背景から、ベトナムでは独自ドメイン(自社ECサイト)は詐欺を疑われやすいために成立しづらく、ECモールの利用が人気です。特に、Shopeeがよく利用されています。配送インフラも整備されており、都市部では翌日配送、地方でも2~3日で配送が可能です。Shopeeなどは自社専用の倉庫や配達員などの配送システムを構築しています。

日本企業がベトナムに進出する場合は、越境EC型より一般貿易型がおすすめです。「ベトナムのEC市場では詐欺が多いため、日本の倉庫から直送する越境EC型は返送・返品リスクが高くなります。一般貿易型であれば、そのリスクを下げ、販売手法も幅が広がります。販路展開においては、ShopeeのEC店舗開設・モダン/トラディショナル卸・ソーシャルバイヤー卸の3軸をおさえた設計が重要です。」と柴橋さんは締めくくりました。

アジア(中国・タイ・ベトナム)で販売するためのポイント・注意点

本セミナーを通して、中国・タイ・ベトナムに共通するポイント・注意点を3つにまとめました。

1.ECモール・SNSでの購入が好まれる

アジア(中国・タイ・ベトナム)では、自社ECよりも、ECモールやSNSでの購入が好まれる傾向にあります。その背景として、EC市場の拡大にともない、偽物も多く流通していることがあげられます。その中で消費者は、信頼できるプラットフォームや、信頼できる情報を発信するアカウントから商品を購入したいと考えています。

上記の理由から、EC事業者がアジア(中国・タイ・ベトナム)への進出を考えるときは、まず、ECモールやSNSの活用を検討しましょう。

2.現地で主流の決済方法に合わせる

注意点として、アジア(中国・タイ・ベトナム)ではクレジットカードがそれほど普及していないことがあげられます。各国で主流の決済方法を導入することが必要です。各国ともにスマートフォンの普及率が高いことから、スマホを介した決済方法の利用率が高まっています。

3.返品リスクを考えた運営設計を行う

アジア(中国・タイ・ベトナム)での越境ECでは、返品リスクにも注意が必要です。偽物などが多いこともあり、日本と違って返品の義務が事業者に法律で定められています。加えて、代引きのように消費者が商品の到着を確かめて納得してから初めてお金を振り込む決済方法を好む方が多いのも特徴です。

そのため、日本と比べて返品が高い傾向にあります。そのことを考慮に入れて、商品の価格や物流体制を考える必要があるでしょう。

中国販売でPOIZONが選ばれている理由

アジア(中国・タイ・ベトナム)の中でも、日本のEC事業者にとって注目度が高いのが、やはり中国です。

中国には以前からいくつかの主要ECモールがありますが、近年利用する事業者が増えているプラットフォームがPOIZONです。POIZONは特に中国のZ世代に好まれるオンラインショッピングアプリです。女性だけでなく男性ユーザーも多く、客単価が高いといった、他のプラットフォームとの違いがあります。

真贋鑑定・品質検査でユーザーの信頼を得るPOIZON

POIZONのアプリに搭載された機能

POIZONの機能やサービスの大きな特徴としては、ECを利用する際の消費者の不安を解消するための機能やサービスが充実していることがあげられます。

POIZONの真贋鑑定&品質検査

特に大きいのが「真贋鑑定」と「品質検査」です。POIZONでは、セラーはPOIZONの倉庫に商品を送ります。セラーが購入者に直接商品を送ることはありません。

POIZONの倉庫では、真贋鑑定と品質検査が行われます。真贋鑑定では偽造品の排除、品質検査では傷のある品や劣化品を排除します。そして、真贋鑑定と品質検査を合格した商品のみを、POIZONのオリジナルパッケージで梱包して、梱包タグ・鑑定証明書を同封した上で発送しています。

返品対応なし、POIZONへの出品方法

POIZONは、初期費用・固定費ゼロでスタートできます。出品ロジックはAmazonと同様で、日本の事業者にとってなじみのあるものとなっています。

出品の多いカテゴリとしては、スニーカーやアパレル、アクセサリー、カバン、化粧品などがあります。デザイナーズブランドやストリート系のウェアブランド、伝統あるビッグブランドなど、知名度の高いブランドアイテムが、中国Z世代に人気です。

日本の事業者がPOIZONに出品する場合、品川にあるPOIZONの倉庫に商品を送ることになります。商品を倉庫に入庫しさえすれば、その後の通関手続きや国際配送はすべてPOIZON側で手配してもらえます。

また、返品についてもPOIZON側で対応してもらえます。返金が発生することはなく、真贋鑑定・品質検査に合格し、商品が出荷されれば必ず売上を受け取れます。なお、真贋鑑定・品質検査で不合格となった場合のみ、品川の倉庫から事業者に商品が返送されることがあります。

このように、POIZONは越境ECにおける消費者・事業者どちらの不安を解消する仕組みを持ったプラットフォームであり、消費者・事業者ともに気軽に利用できることから、利用者が増えつづけています。

【中国越境EC市場・POIZONに関するその他の記事】

セミナーに参加して

EC市場は世界的に拡大していますが、当然ながら、国・地域によって効果的な売り方や人気な商品は異なります。今回のセミナーでは、中国・ベトナム・タイそれぞれの、日本のEC市場とは異なる状況がわかりました。

中国については、中国EC市場の中でも、Z世代ならではの特徴があることがわかります。中国越境ECを検討するなら、ぜひ注目したいユーザー層です。

中国・ベトナム・タイに共通する点として、ECにおいてSNSが重視されており、詐欺に遭わないためにオンライン上で信頼できる情報の収集が盛んに行われていることがあげられます。また、国ごとによく利用されるSNSの媒体も異なります。

海外進出を検討する際は、こういった事情に精通している支援者の協力を得ることが大切です。今回のようなセミナーで得られる情報を、ぜひ今後の方針や支援会社選定にご活用ください。

▼POIZONへの問い合わせはこちら
info.jp@poizon.com

▼POIZONホームページ
https://www.poizon.com/?lang=ja 【日本語】

▼POIZONのサービス資料
https://www.commercepick.com/archives/24706

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