
2023年3月14日、中国のZ世代に人気のECアプリ「POIZON」と日本の佐川急便が、共同でオンラインセミナーを開催しました。このセミナーでは、中国のZ世代に関するデータと、POIZONへの出品および佐川急便が連携する物流の仕組みが紹介されました。特に、中国越境ECに関心のある事業者にとって興味深い内容となっています。本記事では、このセミナーの要点をまとめて紹介します。
この記事の目次
中国の若者に最も愛されるショッピングアプリPOIZONのご紹介
登壇者:Anan Meng(アナン)さん
POIZON日本オフィス 新規事業開発責任者
今、中国Z世代のトレンドは?
「Z世代」は、今、世界中で注目されている言葉です。同じZ世代でも、国によって傾向に違いがあります。中国・オーストラリア・日本・韓国のZ世代を対象にしたマッキンゼーの調査によると、中国のZ世代には次のような特徴が見られます。
・楽観的、衝動的
中国のZ世代は、外出先で買い物をする割合が圧倒的に高くなっています。たとえば外出先でほしいものを見つけたとき、「好きだから買う」「今買わないと気が済まない」といった楽観的、衝動的な面が強いです。
・ユニークさを求める
中国のZ世代は、カスタマイズが好きな割合が非常に多いです。「私だけのものがほしい」「他の人が持っていないものを買いたい」という気持ちが強いと考えられます。逆に日本のZ世代は、カスタマイズ好きな割合が低くなっています。
・ブランドに定着
気に入ったブランドを繰り返し購入する割合が高いことも中国のZ世代の特徴です。たとえば、ルイヴィトンが好きなら全身をルイヴィトンで揃えるなど、自分と好きなブランドを紐づけたがる傾向があります。
・ネット上の情報に影響される
中国国内に目を向けると、他の世代と比べZ世代は、家族や友達など身の回りのオフラインのつながりによる情報よりも、オンライン上の情報を大事にする傾向が強くなっています。
・C2Cのネット取引が好き
ネット上でC2C(個人間)の買い物をする割合が他の世代よりも高いです。
・オムニチャネルで買い物
実店舗で商品を見る場合もネットで商品を見る場合も、最終的にネットで購入する割合が高いのが中国Z世代の特徴になっています。逆に日本のZ世代は、ネットで購入するよりも、実店舗で購入する割合のほうがやや高くなっています。
POIZONとは?
POIZONの歩み

POIZONは、Z世代をターゲットに中国で作られたアプリです。2015年のリリース当初はInstagramやTwitterのような情報発信のためのアプリでしたが、2017年にオンライン取引機能がリリースされました。
オンライン取引は、最初はアパレルのみの取り扱いでしたが、その後、カテゴリーが拡大。現在はストリートウェアをはじめとした数々のビックブランドにも出店いただいています。
2021年には、香港・日本・ヨーロッパ・アメリカに進出しました。現在(2023年3月)、POIZONの月間アクティブユーザーは1億人、1日のアクティブユーザーは1,200万人と、非常に多くの方に利用されています。
POIZONユーザー像

POIZONのユーザーは全体的に若く、1990年以降に生まれたユーザーが85%を占めています。中国の他のECプラットフォームは30代後半~40代後半のユーザーが中心で、女性が6~7割を占めます。一方、POIZONは20代のユーザーが圧倒的に多く、男性も多いのが特徴です。
POIZONアプリ

POIZONアプリには、3D機能やAR機能など最先端の技術が導入されています。他にも独自の機能が搭載されており、使っていて楽しいアプリです。
特に、アプリのリリース当初からコミュニティー機能を搭載しており、一般ユーザーでも気軽に情報発信をできます。
POIZONでは、同じ商品でも購入タイミングによって価格が変動します。そこで、購買履歴可視化によりどの商品がいつ・誰に・いくらで買われたのかが記録されています。これが購入の判断材料となり、安心感につながるのです。
POIZONサービス
POIZONでは、セラーから消費者に直接商品を送ることはありません。セラーにPOIZONの物流倉庫に商品を送ってもらい、そこで商品の検品・鑑定を行います。そして、POIZON独自の専用パッケージに商品を入れて消費者に発送されます。
POIZON日本越境セラーになるには?

POIZONの出品の仕組みは、Amazonと同じ相乗り出品です。ひとつの商品に対して複数のセラーがより良い条件を競い、カートボックスを奪い合う形になります。
まず、セラーは商品のリストから出品したい商品を探します。商品画像や商品情報の詳細はすでにプラットフォームに登録してあります。出品のためにセラーに求められるのは、商品をクリックして価格を決めることと、オーダーが入ったら発送することの2つだけです。
POIZON日本越境セラーの出店資格は次の3点です。
1)日本所在の法人・個人
2)日本から発送可能
3)7日以内に商品入庫可能
※1:48時間以内にオーダーステータス更新も必要
※2:7日以内とは営業日ではなくカレンダー日
1)の「個人」とは、個人事業主ではなく、一般の方でも出品可能です。3)の商品入庫は、品川にあるPOIZONの物流倉庫に入庫することになります。
POIZON日本越境セラー出店パターン

POIZON日本越境セラーになる場合、個人はアプリを使った出店、法人はパソコンを使ってセラーセンターからの出店となります。セラーセンターは、楽天市場のRMSなどに似た管理画面です。
商品はあるがオペレーションをする人がいないという法人向けには、「お任せコース」というコースも用意しています。
また、費用に関する注意点がいくつかあります。
- 倉庫操作費用:倉庫への入庫に際してかかる費用で、カテゴリーによって変わります。
- 保証金:自身の口座にチャージする形で、退店する際に戻ってきます。
- ペナルティ:セラー都合でのキャンセルとなった場合に、購入者に支払われるものです。
POIZON物流

POIZONでは佐川急便と提携して、物流倉庫における検品・鑑定や商品の保管、ラベル張り替えから通関業務などの国際物流まで対応しています。セラーには品川にある物流倉庫に商品を入庫いただくだけで、そこから先はPOIZONの責任で対応を行います。
セラー、商品を募っています
POIZONで商品を購入する人は年々増えていますが、その分、セラーや商品が足りなくなってきています。それを解決するために、日本をはじめとした海外市場に注力していく方針です。


中国向け越境ECにおける佐川急便の取り組み
登壇者:内村 晴香さん
佐川急便株式会社 営業開発部 主任
中国EC市場の可能性
2020年度の中国のEC市場規模は約118兆円です。日本のEC市場も成長を続けていますが、中国のEC市場規模は日本の約6倍にもなっています。
中国国内シェア1位のECモールであるタオバオの流通額は約36.1兆円で、これは日本国内シェア1位のECモールである楽天市場の約8倍です。
中国のEC市場には大きなビジネスチャンスが期待できます。一緒にZ世代の市場を取りに行きましょう、というメッセージをお伝えしたいと思います。

近年、中国EC市場の価値観が変化しています。Z世代のトレンドは、信頼感・安心感です。そのトレンドに、鑑定サービスという信頼感・安心感の高いPOIZONが刺さっており、Z世代の心をつかんでいます。
JIAWU JP様の事例

POIZONの日本法人が、JIAWU JP様です。佐川急便ではその物流業務を、品川にある物流センター、東京SRCで行っています。
商品が入庫されると、まずはすべて目視で検品を行い、作業場に設置されたカメラで撮影して登録します。そして撮影した画像を使い、プロの鑑定集団によるオンライン鑑定が行われます。
鑑定サービスは、POIZONのコア事業です。POIZONは上海にも倉庫があり、ここではこれまで億を超えるアイテムの鑑定が行われてきました。蓄積されたデータ実績により、鑑定の精度は日々高まっています。
鑑定で問題がなければ、合格の証として専用タグをつけ、鑑定証明書を同封した上で、国際配送に対応する佐川のXフロンティアに発送します。ここで国際配送に必要な各種検査を受け、問題がなければ商品が出国します。
東京SRCから11時に発送して、問題がなければ翌日午前中には上海の空港に商品が到着するでしょう。現地では海外代理店が輸入申告を行うなど、消費者のもとまで佐川のグループの力でスピーディーな配送を実現します。
佐川の海外通販オールインパッケージの紹介
登壇者:宇留野 哲也さん
佐川急便株式会社
一般的な海外進出の流れ

海外進出の第一歩として一般的なのが、国内のECサイトに海外から注文が入ってくることです。海外からの注文が増えると、海外での認知度を上げる施策を行うようになるでしょう。それがうまくいくと、海外進出の本格化を考え、海外の自社サイト構築を検討するようになります。
ここで問題なのが、国内と海外では物流の事情が異なるため、別々に運営する必要があり、スタートアップのコストがかかりすぎるという点です。また、複数の物流会社・物流倉庫を使わなければならず、発送件数のわりに物流が煩雑化しがちです。特に海外での販売を本格化するタイミングで、こういった問題が生じやすくなります。
そこで、佐川急便では新たに海外通販オールインワンパッケージ(仮称)を提供開始します。2023年4月から先行営業を開始して、5月から利用開始できる予定です。このパッケージの特徴は、次の5つです。
1.主要海外モール6社と接続(随時拡大予定)
主要海外モール6社と、受注・在庫データなどのデータを自動連携します。
2.国際発送7社に荷札発行が可能→簡単に使い分け(拡大中)
佐川のサービスを含む7社に対応します。これにより、国・地域やモールによる配送会社の使い分けが簡単にできます。
3.受注管理・在庫管理機能付き(複数拠点、グローバル対応も可能)
受注管理・在庫管理がすべて連動するので、担当者の作業が大幅に効率化します。
4.国内・海外同一倉庫で発送業務が簡単に構築可能
佐川独自のサービスとなっており、たとえば、国内発送している倉庫から海外の荷札も出すことができます。これにより、国内・海外の作業レーンを分けずに作業が可能になります。
5.マーケティングサービスも充実
これから海外で販売を行いたいお客様のさまざまなニーズにお応えできるサービスです。
セミナーに関するQA
Q:輸出許可証は発行可能でしょうか?
A:可能です。POIZONでは、セラーとしてアカウント開設を行うと、POIZON側で手続きを行います。佐川急便のサービスでは、輸出者単位で発行手続きを行っています。
Q:POIZONで売りやすい時期はありますか?
A:元日、バレンタイン、7月の中国式バレンタインデー、クリスマスなど、プレゼントを贈る時期は特に売れやすい時期です。 中国ECというと独身の日のイメージが強いかと思いますが、POIZONは状況が少し異なります。
中国のバレンタインでは、男性から女性にプレゼントを贈ります。直近では2023年2月のバレンタインデーに向けた時期に、アクセサリーや時計、バックなどの売上が大幅にアップしました。
Q:購入者からの返品は多いのでしょうか?対応はどのように行っていますか?
A:POIZONでは、基本的に購入者からの返品には対応していません。これには、POIZONが検品と鑑定を行っており、商品を保証しているという前提があります。このため、セラーにとって販売を行いやすい環境となっています。
購入者がどうしても返品したいという場合はPOIZONで対応するため、セラーが対応する必要はありません。
唯一セラーへの返品が発生する可能性があるのが、POIZONでの検品・鑑定で問題が見つかった場合です。この場合、メールでセラーに詳細を通知した上で、品川の物流倉庫からセラーに返品を行います。
Q:POIZONに出品する場合、配送は佐川急便になりますか?その場合、POIZONへの出店手続きとは別に契約が必要ですか?
A:品川の物流倉庫への入庫は、日本国内の配送サービスであれば、どの配送会社でも問題ありません。配送会社を使わずに、自分で商品を運んで入庫することもできます。個人のセラーはアプリを使って出品を行う際、アプリから発送方法を選ぶことも可能です。
なお、商品を物流倉庫に入庫した後は、POIZONですべての対応を行うので、セラーが対応することはありません。
セミナーに参加してみて
Z世代という、EC市場で注目を集める世代について、中国のリアルタイムの状況を知ることができました。中国越境ECにすでに取り組んでいる事業者にとっても、これから取り組もうと考えている事業者にとっても、役立つ情報があったのではないでしょうか。 また、POIZONというサービスは、越境ECと構えずに非常に簡単に利用できる仕組みとなっています。売れそうな商品を持っているのであれば、まずは試してみると面白いデータを得られるかもしれません。
▼POIZONへの問い合わせはこちら
info.jp@poizon.com
▼POIZONホームページ
https://www.poizon.com/?lang=ja 【日本語】
▼POIZONアプリのダウンロード
・App Store
・Google Play
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