
All-in-one接客チャットのチャネルトークを提供するChannel Corporation(以下、チャネルトーク)は、3月30日(木)に、「光速成長日韓ブランドnairoとSATURの躍進の秘密」をテーマにMeetupを開催されました。その内容についてまとめています。
この記事の目次
Meetup開催の背景
アフターコロナの今、ECが伸び悩んでいるという相談を事業者さんからいただくことが多いとチャネルトークの日本CEOであるJayさんは言います。事業者さん同士が交流することで、成長につながる場となればという想いで、今回のMeetupを開催されたそうです。
また、チャネルトークを導入している事業者さんの中で、躍進的な成長を遂げているブランドをお呼びして、各社の飛躍背景・戦略をお話しいただくことで、参考になればと思い、トークセッションも設けられています。
登壇されたのは、「SATUR」を運営するソンホチョルさん。そして、「nairo」を運営する杉山太士さんとりぃさんです。わずか2年でSATUREは年商10億円、nairoは年商8.5億円を突破したということで驚きです。ここでは、それぞれのブランドの取り組みについて紹介します。

SATURの飛躍背景・戦略
SATURは「土曜日をプレゼント」というコンセプトで、リゾートカジュアルなファッションアイテムを扱っています。
顧客にブランドを広めてもらう
人口が約5,000万人の韓国では、日本やアメリカと比べて、ブランドを立ち上げてイメージやテイストを打ち出しても、大きな市場を作るのは難しいとホチョルさんは話します。そのような環境下で、ブランドを大きくするために、自社の顧客が友人知人に伝えてくれたり、口コミを通して広めてくれたりすることを考えたそうです。
顧客にブランドを広めてもらうという考えを形に移す上で、まずは施策を行う前に、顧客を定義する必要があるとのこと。ホチョルさんは顧客を次のように定義しています。
消費者:商品を買ったことはないが、これから買う可能性がある人
お客さん:1回でも商品を購入したことがある人
お得意さん:商品を3回以上、再購入した人
ファン:時間と労力をかけてブランドを応援してくれる人
ここで大事になってくるのが、ファンを購入回数で定義していないことだとホチョルさんは強調します。ファンは購入を経てから生まれるのではなく、購入しなくても作れるというのです。
お客さんに対しては感謝が伝わるリワードを、お得意さんに関しては存在承認を、ファンに関しては感動を届けることを意識していると話すホチョルさん。たとえば、お客さんからお得意さんに引き上げる施策として、「またお越しいただき、ありがとうございます」と一言添えるだけでも効果はあるとのことです。自分のペースで買い物を楽しみたい方や、接客を受けたくないお客さんもいるので、しっかりと見定める必要があると付け加えられました。
ファンを作るにあたっては、一体感や絆が大事になってくるといいます。例として、消費者の声を吸い上げながら、プロダクトを作ることを挙げられていました。その際、重要なことはブランドとお客さんより、お客さん同士がつながっていく一体感や絆です。SATURを着たお客さん同士がつながり、体験や経験を通して、ブランドを好きになること。そして、その輪が広がっていくことがポイントだそうです。
ホチョルさんは過去に会社を倒産させてしまった経験があります。その経験から、何かを意思決定する際は、社員の都合ではなく、顧客のことを考えて行うようにしているのです。また、社員と取引先の間でトラブルがあった場合は、基本的には社員を守ることを優先しているといいます。

事業の拡大にあたって実店舗の存在が不可欠な理由とは
売上フェーズごとに、「商売」「事業」「企業」と3つに分けてホチョルさんは考えています。
- 商売(月商5,000万円まで):消費者が必要なモノ(need)を論理的に説明して販売
- 事業(月商5,000万円~):消費者が欲しがっているモノ(want)を感性に触れて販売
- 企業(年商50億円規模):イデオロギーの浸透や口コミによる認知を広げての販売
事業から企業のタイミングで、実店舗が大事になってくるとのこと。オンラインだと、購入までのプロセスがオフラインと比べて簡素化されているので、お客さんと接する頻度が少なくなってしまいます。離脱率を抑えたり、利便性を考えたりすると、シームレスな購入体験のためにページ遷移は少ないほうが良いからです。そのため、感情や感性に触れるにあたっての機会が十分に取れず、イデオロギーを浸透させることが難しいとホチョルさんは言います。
しかし、実店舗であれば、お客さんが商品を選び、試着し、ラッピングしてもらい、決済を済ませるといった流れの中で、自分たちのブランドを覚えてもらうためにできることはいろいろあるというのです。挨拶だったり、扉を開けたりといったおもてなしを提供することもできます。このことから、事業や企業のフェーズにおける実店舗の役割がどれだけ重要かがわかるのではないでしょうか。
ホチョルさんは、自社ECから始めてファンを作り、次にECモールで流通市場を広げて、そこでまたファンを獲得し、今は百貨店というオフラインの市場に参入しています。今後は海外市場に挑戦するそうです。顧客を明確に定義し、時期に合わせて柔軟に顧客の定義を改め、時代にあった顧客とのコミュニケーションを追求していきたいと締めくくられました。
リピート率が6割!アパレルブランド「nairo」とは?

nairoは、“シンプルなのに、どこかお洒落。”をコンセプトに、小柄な方から背の高い方まで綺麗なシルエットで着ることができるアパレルブランドを展開されています。
りぃさんは、服が好きで高校生の頃からInstagramで情報を発信されていました。フォロワーさんとやりとりする中で、「背が低いから好きな洋服を着ることができない」「色使いが苦手でお洒落をどう楽しめばいいかわからない」といったリアルな悩みを聞くことが多かったそうです。そこで、フォロワーさんの声をきっかけに、nairoというブランドを立ち上げられました。商品開発に力を入れており、いただいたお悩みをもとに開発されたアイテムも多いそうです。
nairoは、着用画像を身長別に掲載しており、丈感がわかるように工夫しています。また、月2回の予約注文による受注生産をメインに販売されているのが特徴です。予約注文から、商品が届くまで1ヶ月半から2カ月かかるのですが、お客さんに長期間待っていただくため、期待を裏切らないよう質には非常にこだわっていると杉山さんは言います。
しかし、どうしても生産不備が発生することがあるため、その場合は全てリコールし、希望する方に再度しっかりした商品を届けるようにしているとのことです。nairoのリピート率は6割ですが、そういった紳士な姿勢がお客さんに伝わっているからではないでしょうか。
チャネルトークのJayさんも「どんなにお客さんとのコミュニケーションに力を入れても、商品が良くなければ意味がない。プロダクトがベースにあってこそ」と話されていました。
nairoの販売戦略や顧客とのコミュニケーションの取り方については、別途コマースピックで取材をしているため、後日公開される杉山さんとりぃさんのインタビュー記事をご覧いただければと思います。
イベントに参加して:みんなで行けば遠くに進める
Jayさんはパレートの法則に当てはめると、売上の8割は2割の優良顧客があげていると考えていたそうです。しかし、実際に平均値を出したところ2割の顧客があげている売上は5割にも満たなかったとのこと。だからこそ、チャネルトークを通じて熱狂的なファンを生み出すお手伝いができればと話されていました。
いわゆるセミナーではなく、今回のMeetupは事業者さん同士の交流が主となっています。ホチョルさんが、ブランドとお客さんより、お客さん同士がつながっていく一体感や絆が重要だと話されていましたが、チャネルトークはそれを体現しているなと感じられました。 チャネルトークのチームが大事にしていることに、アフリカのことわざ「1人で行けば早くで進めるが、みんなで行けば遠くに進める」があります。コマースピックも、メディアを通じて事業者さんと一緒に歩んでいけたらと思います。
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