長引くコロナ禍でEC市場はどう変わったか?市場を取り巻く環境の変化を解説
ニュースの概要

経済産業省は、2022年8月12日に「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態などについて調査し取りまとめたことを発表しました。その内容をもとに、長引くコロナ禍でEC市場を取り巻く環境の変化についてまとめましたので、参考にしていただけたらと思います。

サブスクリプションサービスの増加と特定商取引法の改正

2021年のBtoC-ECでは、定額の利用料金を定期的に徴収するサブスクリプションサービスを採用する事業者が増加し、認知度の高まりとともに定着し始めました。サブスクリプションサービスは消費者からみて、初期費用を抑えて始められ、定額。更にモノの置き場所や管理が不要というお得感があるサービスといえるでしょう。

これまでは食品の定期宅配便や有料動画配信、有料音楽配信がサブスクリプションサービスの主流でしたが、化粧品、ファッション、家具、車などへと広がりを見せています。

化粧品やファッションのサブスクリプションサービスでは、ビューティーアドバイザーやスタイリストなど、その分野のプロが消費者個人に合わせてセレクトした商品が提供されます。化粧品とファッションは「買ってみないとわからない」情報の非対称性のある経験財であり、多彩な商品を楽しみ、自分にフィットする商品を見つける方法としてサブスクリプションが人気を集めているのです。

一方で、サブスクリプションサービスに関するトラブルも発生しています。独立行政法人国民生活センターによると、どのような契約か正しく理解できていない、契約内容や契約先の事業者を誤って認識している、解約方法が分からず解約手続きができていないといったケースがあり、近年相談件数は増加傾向にあるようです。

このような背景を受け、2022年6月施行の改正特定商取引法では、消費者の意に反する契約締結を防ぐことを目的に、サブスクリプションサービスを含むウェブサービスの申込画面における表示規制が拡大されました。

具体的には、消費者が注文確定を行う直前の段階で、事業者側に分量、販売価格・対価、支払いの時期・方法、引渡・提供時期に加え、申込みの撤回、解除に関すること、申込期間等を表示する義務が課されることになります。詳細は下記をご覧いただければと思います。

宅配便個数の増加に伴う再配達率の上昇

EC市場の拡大に伴い、宅配便個数も増加しています。2020年(令和2年)度の宅配便取扱個数は、48億3,600万個で2009年(平成21年)度と比較して約54%の伸びを見せました。

また、大手宅配便事業者3社の2019年〜2021年の合計宅配便取扱個数(EC以外の宅配便も多く含む)の推移を見ると、2019年は40.0億個、2020年は44.1億個、2021年は45.9億個となっています。2020年は前年比10.3%伸長したのに対し、2021年は前年比4.1%にとどまりました。

大手ECプラットフォーム事業者の中には、宅配大手3社以外の輸送会社と契約してラストワンマイルの配送を委託していたり、BOPIS(店舗受け取り)の広がりやメーカーが独自に配送を行っていたりするケースもあります。EC市場の伸びが、宅配大手3社の宅配便取扱個数の伸びを上回って成長しているのにはこうした背景があるのです。

また、EC市場の拡大に伴い、再配達率の増加が社会問題化しています。ステイホームにより2020年は再配達率が大きく下落しましたが、2021年では都市部13.0%、都市部近郊11.3%、地方10.4%と前年に比べ増加傾向にあり、消費者の外出機会が増加したことが伺えます。

2020年に比べて増加傾向ではありますが、2019年と比べると再配達率は改善しており、これは店舗受け取りや宅配ロッカーの利用といった「クリック・アンド・コレクト」が浸透してきていることや、置き配が一般化したことが関係しているでしょう。

消費者側で好きな場所、好きなタイミングで配達物を受け取りたいというニーズが広がるのに合わせ、宅配事業者側も柔軟に受取方法を選択できるよう対応しており、再配達率の改善に対する取り組みが進んでいます。

クレジットカードの不正利用被害は過去最大に!?

ECの利用においては、個人情報や決済情報の入力が必要になるため、安全・安心な取引ができるよう万全な情報セキュリティ対策が必要不可欠です。インターネット利用において「不安を感じる」または「どちらかといえば不安を感じる」と回答した個人に対して、不安の内容を尋ねたアンケート結果を見ると、91.6%が「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」を挙げていることがわかります。

次にクレジットカードの不正利用被害の発生状況の推移を見ると、不正による被害額がここ数年高水準であることがわかります。一般社団法人日本クレジット協会によると 、クレジットカード不正による被害額は、2019年まで増加傾向であり、2020年に前年比減少となったものの、2021年は9月までの統計ですでに 236.9 億円となっており、過去最大の不正利用被害となる可能性があります。

一般社団法人日本クレジット協会が中心となって設立された「クレジット取引セキュリティ対策協議会」は、2019年3月に発表した「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画 -2019-14」の中で、分野別の具体的な実行計画を掲げています。今後もEC市場が発展していくためにも、加盟店、クレジットカード会社、国際ブランド、行政業界団体等それぞれが、対策を行っていく必要があるでしょう。

まとめ:顧客ニーズや環境変化に合わせた対策が必要

2021年は前年に引き続きコロナ禍でありながら、EC市場規模は鈍化傾向となっていますが、市場規模は拡大を続けています。それに伴い、消費者の行動やニーズ、また事業者が進めるべき取り組みが変化していることを改めて認識しなければならないでしょう。今後も新型コロナウイルス感染症をはじめ、社会の動向を確認しながら、事業の舵取りを進めていく必要があります。

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