
今回は、買い物にまつわるエッセイ的な話を2つ。
1)売り手と買い手のリズム
本稿を書いているのは7月中旬。
僕のキャリアは、商業施設運営からスタートしたので、毎年この時期は、半期に一度の大型セール期。週末ごとに賑わいを増した売り場を思い出します。当時は「盛り上げ」のため、ハッピを着て、メガホンを持って、館内を走り回っていました。
お客様に素敵な買い物をしていただくため。
テナントさんに売っていただくため。
現場でできることは、なんでもやってきました。
このような生活者の「非計画購買 ≒ 衝動買い」の背中を押すような、事前告知なしのタイムセールのような「期間限定セール」は、ECにおいても、カタチを変え実施されているのを見かけます。
皆さまも一度は目にしたことがあると思うのは、健康食品などの単品通販系ECでしょうか。「この瞬間を逃すな!」「あと*分*秒!」「あなただけの特別企画!」と煽動的な言葉と派手なバナーで、「いま、この瞬間」のスマホのタップを促す施策。きっと読者の中では、そういえば、ポチったことあるなぁ、と思い返している方が多いかと思います。
また、最近「とある数万円する家電商材のECでの売り方」の話を聞く機会があって、その売り方に驚いたことなのですが、その商材は、一ヶ月の中で、ECモールのポイント還元セール時期に合わせ売ることに注力しているとのこと。あえて平常期には売らず、「*月*日のセールまでお待ちください」という案内を見込み顧客に行っている、というのです。「事前予告タイムセール」とでも表現しましょうか。「衝動買い」で買うような商材ではなく、消費者側が、比較検討を十分に行っていただく商材においては、有効な手段なんだな、と感じたものです。
皆さまの関わる商品・サービスは、どのような「リズム」を作り、顧客とのバイオリズム・波長を合わせてポチる瞬間を作っていますでしょうか? 通常の小売の界隈では、「52週カレンダー」というものを作ったりして中長期の販促計画を作ります。ECの界隈では、そこから更に細分化し「時間単位」でのコミュニケーションも作ったりするかもしれませんね。通勤途中?ランチタイム?夕食後?布団の中?どんな瞬間、カゴに入れて、決済をしているか。想像を膨らませてみては?
参考サイト 朝日オリコミの販促カレンダー
僕が商業施設運営にいた頃から、参考にしていたサイトです。
2)等身大の生活者の消費行動を知る手段
もう1つは、生活者を知る、という意味での日常的な取り組み・情報収集手段のご紹介です。
僕は数回転職を経験していることや積極的にSNSを利用していることもあり、社内の同僚・友人と同じくらい、社外の友人と継続的にコミュニケーションをとっています。平日のFacebookメッセンジャーは1日に数十人とやりとりすることは、日常茶飯事です。
そして、数ヶ月に1度集まったりする仲間がいます。皆さまにも、多かれ少なかれ、いるはずです。僕の周囲には、SNSで情報発信をする方が比較的多いので、会えない時間の間も、何を買ったのか、何に興味関心があるのか、を発信していることが多いです。なので、久しぶりに会うときでも、その空白期間を埋めた状態で、再会することがほとんどです。ただ、そんな例は、希有だと思っています。皆さまのリアルな友人・知人は、そんなにSNSで発信していないのではないでしょうか。
では、等身大の生活者の買い物や思考を垣間見るのに役立つメディアは何があるか?
僕は、「note」のハッシュタグ「#買ってよかったもの」を参照しています。
こちらは、YouTuberでも、インスタグラマーでもない(インフルエンサーではない)等身大の生活者の買い物ログが公開されています。当然、情報は、玉石混交なのですが、普段接点のない生活者の「等身大の素敵な買い物体験」が多く並んでいます。マスメディアでは取り上げられる前の原石情報を手に入れられるチャンスです。気になる買い物をしているnoteクリエイターがいれば、定点調査的に、noteやSNSをフォローしてみては、いかがでしょうか。
また、ファッション特化、という意味では、パルコが運営している「アクロス」というメディアをおすすめします。そしてそのメディアのコンテンツ「定点観測」「消費生活」は、社会学的にも価値ある資料となっています。ぜひご参考に。
https://www.web-across.com/
今回は、かなり個人的視点な、2つのエッセイ的な話題を書いてみました。
皆様のとっておきのサイトや情報収集習慣があれば、こちらまで教えてくださいませ!
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