島袋孝一のEC体験記:メディアを介して生活者に溶け込むEC

水面下で生活を豊かにしているEC

僕のような小売やメーカー出身の一般的な生活者だと「EC」と聞くと物理的な商品ばかり想起してしまいますが、無形・サービスの台頭は、街でショッパー(買い物袋)を見かけることもないので、「流行っている」というのを、気が付かないうちに市場を形成、席巻しています。

  • 「ファッション」だと、定額レンタルのメチャカリ、AnotherADdress、カバンに特化したLaxus
  • 「家具・家電」だと、subsclife、Rentio、カメラに特化したGOOPASS
  • 「音楽・映像」は、Spotify、Netflix、スポーツ特化のDAZN
  • 「情報・ニュース」は、無料となった感覚もあるかもしれませんが、マスメディアの有料版(日経電子版)や、NewsPicks、PIVOTのような経済特化の新興アプリメディア(一部有料)

などが出現してきています。

何個か具体的なサービス名を列挙してみましたが、皆さんは、どれくらい知っていましたでしょうか? また、利用をしているでしょうか?

僕の可処分所得が無限だったら、どれも試したいところですが、平均的なサラリーマンなので、脳内で選択をしながら、生活にフィットしそうなサービスを選定し、利用しています。

直近では、上述したものからだと、Rentioでスマートロック「Qrio Lock」を試して、そのまま買取したり、GOOPASSで高価なカメラレンズを安価に短期レンタルしたりしました。どちらも素敵な利用体験でした。他にも「物理的な商品」ではなく、無形財ECは「MOSH」のようなCtoCプラットフォームから、本の要約サイト「flier」など、人々の生活を快適に/豊かにするソリューションが次々と生まれてきています。

これらのサービスは、生活者がどこで認知して、いつ利用を開始したか、外からわかりにくいです。スマホを中心に行われている、外から見えない、生活者の手のひらで行われる消費活動に敏感であることは、自社のプロダクト・サービスを見つめ直すきっかけともなるので、極力自分のライフスタイル(ペルソナ/トライブ)と異なる友人・知人と、会話をすることをおすすめします。

会話の中で、自分が聞いたことがなかったサービスやメディア・コンテンツが1つでもでてきたら、僕は小躍りするくらい嬉しい瞬間です。最近では、流行に敏感な友人から、「BeReal」というSNSを教えてもらいました。斬新なSNSで驚きました。

サービスを伝えるには生活者を知る

僕が、前職時代、アプリ開発会社に勤務していたとき、会話の中で意識的に聞いていたことは「朝起きて一番に立ち上げるアプリって何?」また、「寝るとき、布団の中で開いているアプリは?」と聞いたりしていました。この質問の意図は、対話者の、想起集合(Evoked Set)からの、第一想起(Top of mind)を自然な形で引き出すn1調査的な意図もあったりします。会話のきっかけにもなりますし、そのほうが自ら話を切り出しやすいネタの振り方だとも思っています。

ちょっと前だと、朝はLINEの未読チェック、夜はInstagramのストーリーズとフィードチェック、みたいなのが頻出パターンでしたが、最近だとTikTokで寝落ち、みたいなのが多いかもしれませんね。

また、少し前は、スマホのホーム画面のスクショを調査・集計・統計とったり、スクリーンタイム(アプリの利用時間)を調査したメディアがあったりしましたが、最近は見かけなくなった気がします。定期的にレポートを出しているメディアがあれば教えて欲しいです。

メディアとコマースの融合が持つ可能性

ちょっとメディアの話に、より過ぎたので、コマースの話に戻そうかとも思ったのですが、生活者の手のひらで、この「メディアとコマース」は、不可分になっており、上手に融合することで、成果を発揮する(売上を作る)ことも、多く事例を見かける時代になっています。

マスメディアを活用したテレビショッピングは、いまでいうところのライブコマースの先駆者ですよね。この数年、スマホを軸にしたライブコマースの台頭が予測されていますが、ブレイクをしきれていないのはなぜか?というのを分析するのに、テレビショッピングとビジネスモデルの対比をしてみるといいと思います。

単純にマス的リーチの差異にとどまらない、視聴者・生活者側のUI/UXの違いを深ぼることで、ネックとなっている点が見つかるかもしれません。シンプルに画面の大きさ、なんていうのも、理由の1つになるかもしれませんし、そもそも「ながら視聴」ができない、というのも当てはまることになるかもしれません。

メディアコマースで、必ず事例となる「北欧、暮らしの道具店」は、他の取材記事などでも多く解説があるので、本稿では割愛しますが、ちょうどこの原稿を書いているときに、刺激的なメディアコマースが現れました。

アパレルブランド「niko and ...」とミュージシャン「OKAMOTO'S」による「即興音楽実験。スマホ限定縦スクロール型MV」です。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001580.000001304.html
https://www.nikoand.jp/15thcampaign2022/may/

こちら、いつまで公開されているか現時点で不明なので、ぜひ、お早めにチェックを!

まとめ:最適なメディア活用がブレイクの鍵に

数年前から「Tappable Movie(タップできる動画)」というソリューションは、存在しており、米国ヴィクトリアズ・シークレットが採用していたりしましたが、日本では、実証実験の域を出ることはなく、成果のある事例を見聞きすることは少ない気がします。今だと、Instagramショッピング機能(Shop Now)が近いかもしれませんが、オウンドメディアか、アーンドメディア(SNS)かなどの、メディア・モーメントの違いなども整理・理解しておきたいところです。

生活者のライフスタイルコンテキストにフィットしたコンテンツを最適なメディアで届けることを意識し、毎朝起きたときに見たくなる、毎晩ベッドで開きたくなる存在(ブランド)になれるかもしれません。

生活者の24時間のうち、どの時間帯で、どのメディアでコミュニケーションしていくか。EC事業者が、既存の打ち手から、一段回ブレイクする際の思考のヒントにしてみてください。

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