
ECの現状とECモールの基礎知識
ネット通販の市場は非常に盛り上がりを見せており、物販系ECのBtoC領域に関しては2019年から2020年にかけて20%以上成長しています。詳細は下記の記事で解説しているのでお手すきの際にご覧ください。
ネット通販で商品を販売するためには、ECモールに出店・出品する方法と自社ECサイトを構築する方法の2つがあります。ECモールは大きく2種類に分けられます。一つは楽天市場やYahoo!ショッピングのようにマーケットプレイスの中にお店を構築し、商品を出品・販売する出店型です。もう一つがAmazonやBUYMAのように商品を出品し、店舗ページは原則テンプレートになぞる形で販売する出品型です。
今回は楽天市場やYahoo!ショッピング、au PAY マーケットといった出店型のECモールで販売する場合に、大規模イベントの前から終わった後の対応について売上を伸ばすために共通して必要なポイントを解説していきます。
大規模イベントで売上を伸ばすポイントとは
定期的にイベントで売上を伸ばすために、イベント前・イベント中・イベント後の3つに分けて、絶対に抑えたい基礎の基礎をご紹介していきます。
イベント前に必要な準備
競合商品をチェックする
イベント前に限ったことではなく、日常的に競合商品のチェックは欠かせません。自社商品と異なる点を書き出してまとめてみましょう。商品価格や商品名の付け方、商品ページの構成など特徴的なポイントを横並びにします。競合商品は自社商品が登録されているカテゴリーのランキングから、類似する4~5商品ほど選ぶと良いでしょう。
目標設定をする
会社として目標がある場合は、その目標を達成するための予測を立てた上で、不足分をどういった施策で埋めていくいのか検討する必要があります。ここで大切なこととしては日頃からどのような施策を実施したときに、どういった影響があるのかを計測していることです。施策の効果は、商品Aを○%オフしたことで、通常よりも○倍売上が伸びたなど、商品単体で測れるものではありません。わかりやすい例でお伝えすると、店舗独自の施策を行った日に5のつく日のようにモール内で行われている施策がある場合とない場合では、事業者様としては同じ施策を行ったとしても売上への影響度合いが異なります。そのため、自社の施策のみではなく、モール内で行われる施策に合わせてどういった目標設定をするのか考えると良いでしょう。
また、売上だけでなく、アクセス数や転換率(CVR)なども目標値として定めると、イベント途中の進捗状況を見ながら、メルマガを追加で打つのか、セールを行うのかなど判断する軸にもなるかと思います。
イベントでの施策を考える
集客は新規顧客を狙い、何が魅力的かを考える
自社ECサイトと異なり、ECモールは常に人で溢れています。SNSなど外部から集客することももちろん大切ではありますが、イベントではモール側が行っている施策として店舗への新規顧客を集めやすい環境にあります。既存顧客への施策はもちろん大事ですが、まずはどのようにして新規顧客を集客するのか考えると良いでしょう。
検索型のリスティング広告をイベントの期間だけ実施してみたり、ディスプレイ広告に出稿してみたり、どんな広告を活用するのかまずはモール内で事業者様自身が真剣に商品を探してみましょう。そのときに、気になった商品のどこが良いと思ったのかをできるだけ高い解像度で文章化することが大切です。自分自身の琴線に触れる経験を形にすることからが始めていきましょう。
セール・ポイント・クーポンをどう使い分ける?
セールやポイント、クーポンなど、どのような施策を実施するのが良いのか悩まれる事業者様は多いかと思います。どういう施策をしていればお客様が買い物をしやすいのか、ついつい他の商品も見てしまうのか、お客様視点になって考えてみましょう。わかりやすい例としては、セールやポイントは商品ごとに、クーポンは追加施策や複数商品を対象にして発行すると、使い分けがしやすいかと思います。
セールやポイント変倍をすると、検索結果に目立って商品が表示されるモールが多く、商品を入り口にした施策として実施しやすいです。ポイントとセールをどちらもセットで行う事業者様も多いかと思いますが、一度設定すると途中で止められない仕様になっていることが多いため、競合商品の動きを見ながら追加施策を実施できるようにイベント開始時はどちらか片方のみの設定をしておくと良いかもしれません。
クーポンは店舗内全品対象であったり、複数ジャンルを扱っている店舗内でクロスセルを狙える商品群を対象にしたり、メルマガ会員のみに発行したりと、見せ方を意識し、明確な目的を持って発行すると売上に繋がりやすいかと思います。
イベント前はしっかりと事前告知をする
施策が決まったらモールから知らされている事前告知期間に合わせて準備を行います。「安くする情報を事前に公開したら買い控えが起きるのでは?」と気にされる事業者様がいるかと思いますが、情報解禁期間になるとモール主導でイベントの宣伝を行っているため自店舗の事前告知をしてもしなくてもお客様は買い控えを始めています。
事前告知期間に入ると、各モールのヘビーユーザーはどんな商品を購入しようかモール内を回遊し、商品を探し始めます。このとき、商品ページ及び店舗ページ内に事前告知がされていないとお客様は「何もやらないお店なのかな?」と思って離脱してしまうでしょう。
事前告知期間に商品を探すお客様こそ、そのモールのヘビーユーザーであり、日頃から買いまわりをしているため、強い商品力やリピート要素を持つ商品であれば買いまわりのルーティンに採用されるはずです。
売上規模の大きい店舗ほど事前告知はしっかりとしているため、確実に売上を伸ばすために必要不可欠なアクションといえます。(メルマガの配信もお忘れなく。)
お気に入り登録を促す
事前告知をした上で、お客様に欲しいと思っていただいたとしても、お客様も人である以上忘れてしまうこともあるでしょう。そこで、モールが持っているお気に入りの機能を活かす必要があります。お気に入りに商品を追加してもらえると、イベントが始まってセールやクーポンなどの施策が動いたときにプッシュ通知が飛んだり、サイト内やアプリ内にアテンションが出たりとお客様に気づいてもらえる仕組みになっています。
また、一度登録されると解除されづらい特徴もあるため、イベントや施策を行うたびお客様に気づいてもらえるよう、お気に入りボタンを目立つ位置に設置するなど登録されやすいページづくりを意識してみましょう。
イベント中に実施すべきこと
イベント中は注文が入って受発注の対応に追われることが多いと思いますが、業務外の時間帯は自分自身もお客様になった気持ちでイベントを楽しむことが大切です。ただし、自分が販売側であることを忘れずに意識いただきたいチェックポイントをご紹介します。
広告の掲載チェック
自社で広告を出稿している場合はその掲載位置を必ず確認しましょう。また、競合商品の掲載箇所や他ジャンルを含めて、どこにどのような形で広告が出ていて、自分が掲載したい場所、自分だったらどういう風に商品を見せるのかなど、お客様視点と事業者様視点両方からチェックいただくと良いです。
競合商品をチェックする
広告のみならず、競合企業がどのような施策を実施しているのか必ず見るようにしましょう。定期的に行われている施策であれば効果が出ている確率が高いです。同ジャンルや同価格帯であれば自社にも活かせる施策として検討してみると良いでしょう。
ランキングをチェックする
特にリアルタイムランキングを気づいたタイミングで欠かさずに確認してみましょう。大規模イベントでは時間ごとに広告枠が切り替わったり、店舗ごとに施策を行っていたりと、数千、数万店舗が目まぐるしく色々な動きをとっています。その影響が顕著に反映されるのがリアルタイムランキングです。
総合ランキングはその瞬間にモール内で最もインパクトを生み出した商品が上位に表示されます。また、自社商品の属するカテゴリランキングでは自社に活かせる施策を行っていることが多いため、欠かさずにチェックすると良いでしょう。
追加施策の検討
今お伝えした3つのチェックポイントを確認する中で、自社の施策が劣っている場合、利益状況と照らし合わせながら追加施策を検討することをおすすめします。なぜなら、イベント期間に売上のシェアを競合企業に取られることで、イベント終了後の検索流入や顧客の継続率に影響が出てしまうからです。無理は禁物ですが、打てる手はギリギリまで打って、売上を伸ばしていきましょう。
イベント後の対応
施策・体制の振り返り
施策の振り返りは必ず行いましょう。事前に立てた目標との差分を明確にします。目標を達成しても達成していなくても、振り返る必要があります。どの施策がどの程度効果があったのかは振り返らなければ再現性を維持できません。また、何がどの程度良かったかを明確にすることで、お客様にとって飽きが来ないように次の一手を決められるからです。
振り返りの質はイベント前にどれだけ準備したかで変わるため、イベント前に必要なことでお伝えした内容をしっかりと準備することから始めてみましょう。
店舗の継続的な繁栄には大規模イベントは参加必須
今回お伝えしたことは、店舗運営にとって基本のキとなる内容です。まずは、ここから初めて見ることで徐々に売上を伸ばせるのではないでしょうか。ECモールではイベントを頻繁に行っていますが、毎月開催される中規模イベントでは普段からモールを活用しているお客様に買っていただけることが多いです。加えて、四半期に1度行われる大規模イベントではマス広告を活用した集客をしているためモール自体の新規顧客も増える傾向にあります。
中規模イベントで広告や施策、PDCAの回し方を試験的に挑戦した上で、大規模イベントの望んでみてはいかがでしょうか。
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