【取材】澤井珈琲が考えるお客様に選ばれるための集客・ブランド戦略とは?
インタビューの概要

創業から39年、複数のECモールで数々の賞を受賞し、オンラインで最もコーヒーを販売している株式会社澤井珈琲(以下「澤井珈琲」)は、もともと日本一人口が少ない鳥取県でのコーヒー屋から始まりました。現在では、オンラインショプ「澤井珈琲」は自社サイトや各ECモールで7店舗展開し、澤井珈琲のコーヒーを販売している実店舗は東京に3店舗、鳥取島根に7店舗構えています。競合他社がひしめく中、自社の商品を購入してもらうために、どのような工夫をされているか、「PayPayモール」での取り組みを中心に、澤井珈琲常務取締役の澤井理憲さんにお伺いしました。

お客様に選ばれる澤井珈琲の魅力とは?

―― 世の中には様々なコーヒーが販売されています。その中でECモールをはじめ、数々の賞を受賞している澤井珈琲ですが、お客様に選ばれる特徴や理由、こだわりなど教えていただけますか?

澤井さん:澤井珈琲では焙煎仕立ての香り高いコーヒーをお客様にお届けすることを強みとしています。新鮮なコーヒーの場合、お湯でドリップするとモコモコとした泡が立つんです。お客様にはその鮮度を感じてもらうために、配送スピードの面ではご不便をかけているかもしれませんが、鮮度の良いコーヒーに感動してもらうため、指定頂いた日に焼き立てをお届けしています。

コーヒーというものは嗜好品ですので、1つの銘柄を気に入っていただけると長くリピートしてもらえます。もちろん、味や鮮度、価格などお客様に気に入ってもらえることが前提ですが、「澤井珈琲」は一度買ってもらえると、その後は60%以上のお客様にリピートしていただいています。リピート率が高いので、どうすれば新しいお客様に商品を購入してもらえるか考えていることが多いです。

高いリピート率を活かした大胆な新規顧客の獲得施策

―― リピート率が60%以上とは高いですね。新規顧客の獲得に向けてどういった施策を取り組んでいるのでしょうか?

澤井さん:新規のお客様と知り合うために、ECモールでは「広告」の活用が欠かせません。特に、広告を出すときは一番目立つ場所である一等地に出稿します。例えば、新しいイベントの際に、一等地となる新しい広告枠が出たときは必ず試すようにしています。他のストアの経営者から良かった広告、悪かった広告の情報をもらうことがありますが、広告は商品によって向き不向きがあるため、まずは自社で挑戦してみることが重要だと考えています。

もともと弊社は鳥取県でコーヒー屋を運営しておりました。ただでさえ人口が少ない鳥取県ですが、その中で、他の業種にシェアを奪われていき、このままではまずいと思いECモールに出店しました。出店から最初の注文が入るまで45日もかかったんです。だからこそ、お店にお客様が来てもらえないこと、知ってもらえないことに何よりも不安を感じます。そもそも顧客との接点がないと何も始まりません。だからこそ、一番目立つ場所にある一等地に広告は出稿しようと思うのです。

また、先ほどもお伝えしたように、コーヒーは嗜好品であるため、一度購入すると他のコーヒーに目移りすることは少ないです。もともと弊社よりシェアを取っているコーヒーメーカー様がいらっしゃいましたが、広告はあまり活用されておりませんでした。弊社は広告をどんどんかけることで、新規獲得ができ、気づけば競合他社よりも大きなシェアを持っていたのです。そのメーカー様に追いつくのに10年以上かかりました。だからこそ、新規獲得が重要だと思っています。どこのコーヒーよりも最初に買ってもらうためにも、露出は大事なのです。

一等地に掲載した広告をクリックしてもらうためにはクリエイティブにも気を使っています。クリエイティブの作成で気をつけていることとしては、誰が見てもわかりやすいように「日本語をできるだけ使うこと」、「パッと見でどれだけお得なのかを訴求すること」の2点です。

最近では、ECモールで大型のイベントがあった月には1ヶ月で1,000万円以上の広告費を使うこともありました。ECモールが主体となって、お金を掛けて集客をしているイベントでは、ストアとしてもお金を掛けてお客様を獲得する動きを取るべきだと考えています。そういうときに一番いい場所に露出できれば、最も目を引いてもらえるからです。その結果ではありますが、「超PayPay祭」では単日で8,800万円を売り上げています。

また、「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」であれば、メールアドレスの収集をオプションとして提供している「ズバトク広告」を活用しています。今ではメルマガの配信リストは100万件以上ありまして、弊社がある鳥取県と隣県の島根県の人口を合わせたくらいの人数になっています。

メルマガの企画や文面は毎回私が考えていて、全く同じ内容で送ることがないようにしています。気持ちを込めて書いたメールを送っているので、お客様の反応は欠かさずに確認しています。

澤井珈琲のECに向き合う上での考え方

――「超PayPay祭」で1日に8,800万円の売上、そして100万件以上のメルマガの配信リスト、どちらもスケールが大きく驚きです。ここまで成長するにあたって多くの苦労があったのではないでしょうか?

澤井さん:私の出自である鳥取県では人が少ないため、オンラインほど大きな反響をオフラインで得られることはありません。また、先程もお話しましたが、初めてネットショップを開設してから注文が来るまで45日かかりました。何かをやっても反応がないという苦しみがあったので、今となっては良いお声でも悪いお声でも反応があることが嬉しいですし、お客様になりえる人を1人でも逃したくないという思いでやっています。

ECモールは各モールでルールがありますが、そのルールの中であれば同じ条件で競争ができます。田舎ですと、何か新しいことを始めようとすると門前払いになりがちですが、オンラインであれば誰にでもチャンスはありますよね。加えて、良くも悪くもすべて数字で追えるので、やった分だけ報われると思っています。

だからこそ、新しいことには積極的に挑戦していきたいと思っています。まずは自分で経験するんです。その結果が成功でも失敗でも最初に挑戦したのが私であれば、その経験は自社にしかないものです。そうやって経験を積み上げていったことが「PayPayモール(Yahoo!ショッピング)」内で50%以上のコーヒーシェアを獲得している実績に繋がっていると思います。

澤井珈琲が考える実店舗とECの結びつき

―― オンラインでの圧倒的なシェアを持っている澤井珈琲ですが、実店舗については今回の新型コロナウイルスがどのような影響を与えましたか?

澤井さん:現状としては追い風になっている要素が多いです。2020年の11月に東京ソラマチ店を新規オープンし、12月に浅草店を浅草ROX内に移転しています。知っているお店や知っている商品であれば安心感や信頼性を持ってお買い物ができるのではないでしょうか。そのためにも、「澤井珈琲」をますます知ってもらえるように、ECモールと同様に実店舗でも、一等地への展開を今後も進めていければと思っています。また実店舗の展開によって、「澤井珈琲」を知っていただければ、オンラインで買い物することに不安を感じている方も安心して購入できるようになるでしょう。

東京にお店を出したときにまず銀座に出店したのも、ブランド価値を高めて信頼性に繋げたいということからです。銀座のコーヒーを安くネットで飲めたらお客様からもきっと喜んでいただけるという思いがありました。

新規でオープンしたお店がある一方で、鳥取と島根の実店舗に併設する喫茶コーナーを閉めました。コロナの影響により、ネット通販の売上が伸びたため店舗スタッフに製造チームへ異動してもらいました。2019年度に33億円だった当社の売上は、2020年度には43億円になり、それからも落とすことなく継続的に売上を伸ばせています。

今なお急速に成長を進める澤井珈琲の運営体制

―― ここ最近の売上の伸びが目覚ましいですね。急成長の裏ではそれを支える体制づくりが欠かせないかと思います。その点はいかがでしょうか?

澤井さん:受注処理や在庫管理、ページ制作など、ネット通販の運用はすべて社内で行っています。受注の対応で5名、制作で4名、他の社員は製造を担当しています。私自身、メルマガを作ったり、広告を入稿したり、お客様のクレーム対応を行ったりと現場の仕事を多く行っています。

今ではお客様に選んで頂いた日付に焼き立てのコーヒーをお送りして、受注の体制を調整できていますが、以前は受注対応や在庫管理について課題を持っていました。2005年に電動ミルをつけて販売したところ、とても反響があったことで、焼き立て・挽きたてのコーヒーに需要を感じて、お客様にもそういった商品を提供していくように方向転換していきました。新鮮なコーヒーをお届けするために1日あたりの出荷数を調整することで、お客様に納得いただきながら課題であった運用面を今ではプラスに変えることができています。

「超PayPay祭」のときは商品をお届けするまでに1ヶ月かかることもあったので、製造体制も日々強化しています。2006年に1分で10個コーヒーをパッキングできる機械を導入しました。2016年には、1分間で100個パッキングできる機械を導入し、2020年に同じ機械をもう1台導入しています。ECモールの大きなイベントはどんどん勢いを増しているため、フローや自家焙煎の機械化は今後も推し進めていかなければなりません。

―― 売上が40億を超えた今でも澤井さんがメルマガを書いたり、クレーム対応を?

澤井さん:お客様と直接接点を持つ業務は学びが多く、今でも私が対応しています。メルマガは同じ内容を送らないようにしているので、毎日何か企画が走っているようにしているのですが、その企画を考えるのには苦労しています。コーヒーですと、夏場はアイスコーヒーくらいしかありませんが、例えば「サマージャンボ宝くじ」にかけて「サワイジャンボ宝くじ」という企画を打ち出してみたり、唐辛子を入れた燃焼系コーヒーをプレゼントしたり、文章には個性が出るので自分で考えた企画をお客様にお知らせするところまで私が責任を持ってやっています。

クレーム対応は大変な仕事であるため、担当することで社員が辞めてしまう原因になりがちです。なので、私が率先して対応しているという側面がありますが、それだけではなく、お客様の声をもとにすぐに改善できるという側面があります。実店舗であればお客様からのフィードバックには時間がかかりますが、オンラインであればリアルタイムでお客様の声を聞き取り、すぐに反映できるので直接私がお話を伺っているのです。

成長の歩みを止めない澤井珈琲の今後の取り組みとは

―― 今後に向けて更に力を入れたい点や新しく始めたいことはありますか?

澤井さん:ギフトの領域は今後益々伸ばしていきたいです。ギフトは送る側も受け取る側も、どちらも嬉しい気持ちになりますし、リピートのサイクルに関係なく商品を購入してもらえるため、積極的に提案していきたいと思っています。また、フレーバーコーヒーや農園指定のコーヒーなど、まだまだ力を入れていける余地があるでしょう。

嗜好品であるコーヒーを更に好きになってもらえる人を増やしていきたいと思っています。コーヒーという商材は、昔は飲んだら癌になると言われていたこともありましたが、今となってはコンビニや自販機から100円で買えるものになっています。コーヒーを飲みたいと思ったときにわざわざインターネットで検索をしなくても買える場所がたくさんあるんです。市場が大きくなっている一方で、プレイヤーが増えています。だからこそ、ECモール内でも、実店舗でも多くの人に知ってもらえる一等地を抑えて、日々内容の違うメールがメールボックスを開いたら届いているという状態で、どこかを見たら澤井珈琲がいるという環境を作っていかなければなりません。

100円の缶コーヒーよりも美味しく、それでいてスタバなどと比べるとお手頃な値段というのが澤井珈琲であり、そこをブランディングしていきたいです。ブランドは高級なものと思っている方も多いですが、高い安いではなく、その商品名を聞いてどんなものかイメージできる状態にすることをブランディングというのはでないでしょうか。

―― コーヒー全体の市場を見るとまだまだ澤井珈琲としてチャレンジできる場所があるように感じました。最後に澤井さんからこれからECを始める方にメッセージを頂けますか?

澤井さん:今が新しくECに参入する最後のチャンスなのではないかと思っています。スマホの普及により拡大したEC市場ですが、今回は新型コロナウイルスの影響を受けて益々拡大していきました。グルメ店舗全体の流通が伸びている中で、出店数も非常に伸びていると聞きます。プレイヤーが増えている今、お客様とどう向き合っていくのかが鍵になるでしょう。

日本のEC化率は2019年で約8%、グルメでは3%に満たない状態です。日本中の人が当たり前にオンラインで買い物をする環境を作るには、澤井珈琲だけの力では難しいと思います。EC化率が増えることで、例えばケーキをオンラインで購入したついでに澤井珈琲を買ってもらえるようになれば、その反対もしかりですが、ケーキ屋さんも弊社もwin-winではないでしょうか。だからこそ、みんなでネット通販を盛り上げて、業界全体を伸ばせるように頑張りたいと思っているのです。

また、私が売れていない時代に、手を差し伸べてくれた先輩方の姿は格好良かったです。今でもそう思うからこそ、私からも情報を発信できればと思っています。

取材を終えて:求められることがブランドになっていく澤井珈琲

今回の取材では、広告の活用や実店舗の活かし方などお客様に見てもらうきっかけづくりのお話を中心にお伺いさせて頂きました。冒頭にも記載があるように60%以上のお客様がリピートをするには、商品の味や価格、鮮度など様々な魅力をお客様に提供できているからこそ新規顧客の獲得に踏み切っていけるのではないかと感じています。

新型コロナウイルスの影響で、この1~2年間で急速にEC化が進んでいます。初めてネット通販を利用した方は少なからず不安な気持ちでお買い物をするかと思います。そのとき、また次も買ってもらいたいと思えるような店舗づくりやお客様とのコミュニケーションが取れるような環境づくりが集客と同様に重要なことであるとお話を伺って思いました。

まだ、飲んだことのない方は是非この機会に澤井珈琲を飲んでみてはいかがでしょうか。

▼ 澤井珈琲 PayPayモール店
https://paypaymall.yahoo.co.jp/store/sawaicoffee/top/

Yahoo!ショッピングの出店はこちら
https://business-ec.yahoo.co.jp/shopping/

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