
日々の業務でニュースをキャッチアップする時間がなかなか取れない方もいらっしゃると思います。そこで、2023年11月のEC・ネット通販関連ニュースをまとめました。今回のテーマは、「物流クライシスと配送ニーズの狭間でもがく企業たち」です。
本記事とは別に、運営堂の森野さんとニュースの詳細解説をポッドキャストにて配信しております。お時間がある方はこちらも合わせてチェックしていただければと思います。
この記事の目次
現実味を帯びる「物流クライシス」
物流業界の倒産は過去最多
佐川急便社は、持続可能な物流インフラの維持と品質の向上を目的に、宅配便などの届出運賃を、2024年4月1日より改定することを発表しました。2023年4月1日にも届出運賃を改定しており、2年連続での値上げとなります。
今、人件費や燃料価格などの高騰により、コスト負担が増加した結果、それに対応できない軽貨物運送会社の倒産が急増しており、過去最多となっています。加えて、2024年以降は、時間外労働の上限制限でマンパワー不足など、さまざまな課題が山積みとなっているのです。
軽貨物運送会社のみならず、物流業界全体で、人手不足による倒産が相次いでおり、過去最多を更新。「物流クライシス」が現実味を帯びてきています。
消費者の間でも認知される「物流クライシス
「物流クライシス」の問題は、消費者の間でも認知されてきています。ロイヤリティ マーケティング社のアンケート調査によると、「物流の2024年問題」について知っていると答えた方は65.2%とのこと。62.8%の人が配送ドライバーの負担を意識しており、負担の軽減にあたって、在宅時間帯の配送指定(71.5%)や、置き配の利用(37.0%)、まとめ買い(29.3%)をしているそうです。
また、物流業界の課題はBtoCに限らず、BtoBにも当てはまります。置き配の取り組みとして、AmazonやZOZOTOWNが有名ですが、BtoBがメインのモノタロウでも置き配サービスの提供が開始されたことも頷けるでしょう。



消費者の配送ニーズとそれに応える企業
配送の早さ・安さを求める消費者
とはいえ、配送の早さや安さのニーズはあります。LINEヤフー社の調査によると、「一番好きなインターネットショッピングのサービスは?」という質問に、全ての年代でAmazonが1位だったのですが、その理由が「配送が早い(46.4%)」や「送料が無料/安い(43.0)%」でした。
また、エートゥジェイ社のアンケート調査では、「また利用したいと思うECサイトの特徴」として、半数以上の人が送料無料を挙げられています。
「早い」「安い」を実現するために
配送の早さ・安さを求める消費者に対し、各ECモールが物流周りにおいてさまざまな改革をされています。例えば、楽天市場では、購入者が求める配送ニーズを満たす商品を見つけやすくする「配送認定ラベル」を付与する仕組みを2024年6月から導入することを発表しました。
配送認定ラベルがついた商品は、検索順位決定の要素のひとつに含めることを予定しています。検索結果で上位表示されれば、アクセス数が高まり注文数の増加が期待できるでしょう。同様の仕組みとして、Yahoo!ショッピングの「優良配送」が挙げられます。
「配送認定ラベル」や「優良配送」の取得にあたって、各ECモールが求める条件をクリアする必要があるのですが、その対応が難しい事業者も中にはいるでしょう。そこで、各ECモールから物流業務を対応するフルフィルメントサービスが提供されています。また、スクロール360社をはじめ、物流会社がECモールのルールに対応するサービスを提供し始めているのです。
今後も物流に関しては、さまざまな課題が出てくるため、事業者は振り回されることになるかと思います。しかし、EC運営において、物流は切っても切れない関係です。問題に対して目を背けず、しっかりと受け止め、解決の糸口を日々模索することが大事になってくるでしょう。
物流の問題に対して、自社でどのようなことができるかを、ロジザード社がまとめた資料を無料で公開しているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。



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