【ECの未来】楽天市場でBtoBの取引?toC向けのプラットフォームを活用した法人受注の獲得方法
記事の概要

楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っているサヴァリ株式会社が運営するYouTubeチャンネル『ECの未来』では、ECに関わるさまざまな方をお呼びして、その方たちの得意ジャンルのお話をMCである株式会社柳田織物の柳田敏正さんと対談形式でお届けしています。

今回は、株式会社ビームテック取締役営業統括部長の吉田甚一朗さんにtoC向けのプラットフォームを活用したBtoBの販売戦略についてお話いただく回をご紹介いたします。

【ゲストスピーカー】
吉田 甚一朗さん
株式会社ビームテック 取締役 営業統括部長
照明電球機材の専門店「ビームテック

【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)

広告費ゼロで集客する方法!ECモールを活用したBtoB販売戦略

toB向けの商材なのに楽天市場に出店している理由とは

柳田さん:BtoBの販売戦略をテーマにビームテックの吉田さんにお話していただきます。照明器具をメインに扱っているビームテックでは、電球のように個人でも簡単に取り付けられる商品もありますが、業者の方でないと取り付けられない商品も多く販売されています。

楽天市場などのプラットフォームがメインの販路とのことですが、BtoBの取引は請求書が絡むため販売しづらいイメージです。集客をはじめ、どのような形態でやっているのか興味があります。

吉田さん:プラットフォームを利用するユーザーの中には法人の担当者もいらっしゃいます。そういう人たちに対し、まずはイチ個人として商品を購入いただいてから「事務所や工場などにもどうですか?」というアプローチをメルマガなどで後追いします。

柳田さん:最初にイチ個人として購入いただき、法人として採用してもらうための動きをそのあとに取っているのですね。とはいえ、プラットフォームだとやりづらいことが多そうな気がするのですがいかがですか?

吉田さん:ここ10年(動画公開時は2020年)でBtoB-ECの仕組みが変わってきています。例えば、AmazonではtoB向けのアカウントができるなど、法人がECで買い物をしやすい環境をプラットフォーム側がつくっているのです。また、法人側もコーポレートカードで決済できる仕組みを利用して、ECでの購入にスピーディに対応できるようになりました。

このような背景から、プラットフォーム上でユーザーとタッチポイントを作ることが、企業の担当者に、法人としての購入を検討いただくステップにつながると考えています。だからこそ、弊社はtoBがメインでありながらも、toC向けのコンテンツを作って集客しています。そして、購入いただいた個人の方にtoBへのアプローチしているのです。

法人担当者にZoomでアプローチしてクロージング

柳田さん:集客施策としてコンテンツマーケティングをされているのですか?個人的にはプラットフォームとコンテンツマーケティングは相性が悪いように思うのですが……。

吉田さん:3~4年前まで自社ドメインでもECサイトを運営していたのですが、Googleなどで「LED」と調べると、楽天市場をはじめ、プラットフォームがかなりの広告をかけていることがわかりました。そして、検索上位にある楽天市場のページを見てみると、弊社の商品が掲載されており、自社ドメインとぶつかっていたのです。

自社ドメインで広告を使うくらいなら、最初からプラットフォームに誘導するようなコンテンツをコーポレートサイト上に作り、そこでお客様に情報をお伝えし、購入はプラットフォームでしていただくほうが良いと考えました。プラットフォームでのお買い物にはポイントが付くため、購入ハードルも低くなりますしね。

法人向けの自社ドメインの場合、ログインするためにわざわざアカウントを作っていただくため、購入までのハードルが高いです。それに対し、多くの方がプラットフォームのアカウントを持っているので、コンテンツに訪れてから商品を購入するまでの流れがスムーズかつスピーディに行えます。

 GoogleのSEO対策として、お客様がどういった目的で物を探しているのかを意識してコンテンツを作成しています。購入するために検索される方よりも購入を考えている方や既に購入された方に向けた内容にしています。すぐには購入につながらなくても、照明は消耗品なので、例えば廃棄を考えている方向けのコンテンツを見てもらえれば、次の購入に向けた新たなタッチポイントを作り出せるのです。直接お問い合わせを頂ければコミュニケーションを取ってクロージングしています。

柳田さん:そのコミュニケーションはどうやっているんですか?

吉田さん:メールや電話、Zoomです。

柳田さん:電話やZoomもやられているんですか?

吉田さん:マンパワーを使うため電話はなるべく避けたいのですが、照明器具を購入しようと考えている方は、電話やZoomで相談したい人が多い印象です。ECよりもCVRが上がりますし、特にZoomでは高額な商品の受注も入りやすくなります。高いもので小売価格が30万円を超える疑似太陽光を生む照明器具を販売していますが、Zoomで個人の方にお買い求めいただいたり、法人から8枚購入いただいたりしました。

柳田さん:たしかにお客様の目的がはっきりしいている場合だと、電話やZoomのほうがスピーディにクロージングできそうですよね。電話やZoomにつなげるために、どのような取り組みをされているのでしょうか。

吉田さん: お客様が法人の場合、プラットフォームで購入される前に、コーポレートサイトをご覧になっている傾向が多いです。ビームテックは中小企業であるため、購入前にどんな会社か確認したいのでしょう。

先ほどお話しした高額な器具は法人向けの商品でして、プラットフォーム上には載せておらず、コーポ―レートサイトのみに掲載しており、そこからお問い合わせいただいております。また、プラットフォーム上にも、法人のお客様向けにできることを記載することでコーポ―レートサイトに訪れてもらう工夫をしていますね。

プラットフォームで購入いただいた際は、お客様が法人担当とわかれば販促物を同梱し、個人から法人にしっかり引き上がるようにアプローチしています。「ビームテックの照明なら弊社でも使えるかもしれない」と、法人担当にご利用いただける可能性を作り出しています。

柳田さん:個人からの注文の場合、その人が法人担当かどうかわからないと思うのですが、どのように判断されているのでしょうか。

吉田さん:購入者の住所や宛先を見て判断しています。また購買履歴からも法人担当かどうかわかりますね。10回以上購入していたら確実に自宅用ではないとか。

柳田さん:非常に手間がかかっていますね。お客様が法人かどうかは1件1件住所を調べているんですか?

吉田さん:そうですね。弊社の担当者がお客様情報を本当によく見ています。お客様情報を調べだしたそもそもの背景がヤマト運輸と西濃運輸を使い分けていたことからです。西濃運輸では送り先が法人の場合、配送料が安くなる契約をしていました。そのため、送り先が会社かどうか調べてから発送作業を行っていたのです。

配送料を安くするために調べていましたが、送り先が法人とわかるならアプローチできることに気づき、今のやり方に至ります。

法人受注を取り込む方法とは?コンテンツ・Zoomを活用したBtoB販売戦略

コンテンツマーケティングのターゲットは潜在層

柳田さん:アプローチのきっかけを作るコンテンツ作りについて、具体的にどのように取りくまれているのかを教えていただきたいです。コンテンツの出し先は楽天市場などのプラットフォームではなく、違うところに出しているのでしょうか?

吉田さん:コーポレートサイト上に出しています。照明に関するトピックを中心に3年ほど取り組み、現在は500ないくらいのコンテンツ数です。

Googleのアルゴリズムに合わせたコンテンツ作りが大切ですね。昨今、検索ワードがECに強く紐づけられるようになってきています。そこで、購入意欲の強いワードはあえて外し、購入意欲のある人だけではなく、潜在的な購入の意思を持っている人を狙うワードを取りにいっています。業界のよくある問題・お悩みをテーマにすると、担当者の方に読んでいただけます。

柳田さん:具体的に法人の担当者ってどういう人のことを指すんですか?

吉田さん:主に施設管理部の方ですね。例えば、弊社の商品が適している施設は、白熱球からLEDに切り替えを考えているようなところになります。そのまま取り替えれば良いというものではないため、取り替え方など不明な点を抱えている担当者の方が多くいらっしゃいます。それを解決する方法についてコンテンツを作り、潜在層を取りにいくのです。

柳田さん:業界の方には常識であっても、そのことを知らずに困っているお客様はたくさんいますよね。それがコンテンツで解消できるのはすごく良いことだと思います。今でもコンテンツは作っているのですか?

吉田さん:今はYouTubeを徐々に始めています。商品のことについて私が説明する動画で、1日1本のペースで撮っています。

柳田さん:YouTubeの掲載先もコーポレートサイトだけですか?

吉田さん:コーポレートサイトだけでなく、楽天市場とYahoo!ショッピングにも掲載しています。動画の時間はできる限り10分で収まるようにしているんです。まだやり始めたばかりなので、いろいろ試行錯誤していますね。

興味を持ってもらえる商品・コンテンツであるか

柳田さん:作ったコンテンツからどのようにして Zoomの営業につなげているのでしょうか?

吉田さん:商品に関するお問い合わせや相談などをいただいた際に、「良ければZoomにてご説明しましょうか?」と空いている日時をお伝えすると、商談につながります。弊社が特殊な商品を扱っているからということもありますが、担当者自身が情報を欲しがっているのも理由の一つです。「自社に取り付けたいんだけど、どうすればいいのか」「この省エネ製品だとどれくらい光熱費が安くなるのか」などの質問をいただきます。

柳田さん:そのうちの何割くらいの方がZoomで話しくれるんですか?

吉田さん:5~6割くらいです。

柳田さん:そんなにいるんですね。

吉田さん: 商品そのものが特殊で面白いからということもありますが、LED照明がどんどん新しくなっていることも大きいです。省エネが進んでいたり、面白い照明が出てきたりと、そういったものにアンテナを立てている担当者にはアポにつながりやすいです。今扱っている面白い商品なんかをZoomでお見せしましょうかと伝えると、8割くらいは快諾いただいています。

柳田さん:オリジナル商品の研究開発能力が高いんですね。他で売っていない商品を多く扱っており、時代のニーズを読んだ心をくすぐるようなものだと。だからこそ営業のアプローチもしやすいのでしょう。商品開発にあたって、顧客のニーズはどうやって探っているんですか?

吉田さん:探るというよりは提案です。照明はただ照らすだけのものなのかと疑問を常に投げかけています。

柳田さん:つまりプロダクトアウトで作られた商品が多いんですね。

吉田さん:売れるかどうかよりもまずは興味を持ってもらえるかどうかが大事だと考えています。特徴的な商品を紹介した上で、事務所の電気を変える予定だったからビームテックで別の商品を買っていただくこともあります。商品が目立つことでいろんな人に集まってもらって、担当者と打ち合わせする機会を作る役割にもなるんです。

柳田さん:商品開発の技術力があり、ECを掛け合わせた地道な営業。その結果、話を聞きたいという人が5~6割もいるということに納得しました。

吉田さん: ECだと効率化を求める人は多いため、顧客情報を細かく見て、実際にコミュニケーションを取りにいくアクションを起こす人はあまりいません。

柳田さん:問い合わせしたい、相談したいと思えるような商品やコンテンツを出せているからこそですね。

吉田さん:それを意識しています。物欲に対してのコンテンツではなく、何かを解決するためのコンテンツであり、商品がある。それをZoomでより詳細にお伝えするのです。  

柳田さん:世の中的にはマーケットインの流れですが、プロダクトアウトで売れるものづくりができるのはすごいことです。入り口はECでエンドユーザーに買ってもらい、地道な営業で法人に引き上げて大量発注してもらう。BtoBをされている事業者の良いヒントになるのではないでしょうか。

おわりに:総合力で適材適所の最適解を導き出す

本動画の吉田さんのお話からは、SEOの知識や営業力、プラットフォームの強みの熟知など、さまざまな知見から出た施策が掛け合わさり、最適解を導き出せているように感じました。日々の業務範囲にとらわれず、幅広く知識を取り入れるインプットとそれを形にするアウトプットを繰り返し回転させることが、重要かもしれませんね。

EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

■サヴァリ株式会社へのお問い合わせはこちら
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