Amazon広告のROAS低下に悩むEC事業者へ。AMCで「見えない課題」を可視化する方法

Amazonでの売上拡大に取り組むEC事業者にとって、スポンサー広告やAmazon DSPは重要な集客手段のひとつです。一方で近年は、Amazonへ参入する企業が増え、同じカテゴリ・同じキーワードをめぐる競争が激しくなっています。

その結果、
「広告費を増やしているのに売上が伸びにくい」
「CPCが上がってROASが合わなくなってきた」
「管理画面上の数値だけでは、どこを改善すべきかわからない」
といった悩みを抱える企業も少なくありません。

Amazonで売上を伸ばすには、ROASやCPAだけでなく、商品詳細ページ閲覧数、購入転換率、購入平均単価の3要素に分けて見ることが重要です。

広告経由の注文数だけを追っていても見えにくい「ボトルネック」を可視化するのに活用できるのが、Amazon Marketing Cloud、通称AMC。

AMCを使えばこれまで管理画面だけでは見えにくかった広告接触の重複や、間接効果、新規顧客への貢献度などを可視化できるため、ROASが下がっている原因をより具体的に捉え、効果的な改善施策を考えられるようになります。

本記事では、Amazon広告の成果改善に悩むEC事業者に向けて、AMCで何ができるのか、どのような課題解決に活用できるのかを解説します。

この記事の執筆者

中田 奈那子
ソウルドアウト株式会社

2020年に新卒でソウルドアウト株式会社へ入社。入社以来、多品種EC領域にて、自社ECサイトの売上拡大支援を中心に運用コンサルタントとして従事。Yahoo!・Google・SNS広告など、幅広い広告媒体を活用した集客設計・運用改善に携わる。2023年よりAmazon専門チームへ異動。現在はアパレル、サプリメント、化粧品など多様なカテゴリのAmazon出品企業に対して、広告戦略と運用の両面から売上拡大を支援している。担当クライアント様のAmazon広告売上をYOY150%成長させた実績あり。

Amazon広告で起きている「見えにくい課題」

Amazonで広告を配信しても、必ずしも成果が伸びるとは限りません。多くの案件では、入札単価の高騰、露出量が減少、商品詳細ページの閲覧数低下、売上の伸び悩みといった課題が重なって発生します。

特に競合参入が増えたカテゴリでは、CPC上昇や比較検討の長期化により、広告効率が悪化するケースが増えてきました。

たとえば、あるアルコール飲料カテゴリの主要キーワードでは、父の日商戦を控えた6月の比較において、2024年から2025年にかけてCPCが9%上昇し、CVRは80%低下した例があります。

このような状況で、管理画面上のROASだけを見て「広告効率が悪くなった」と判断してしまうと、改善策を誤る可能性があります。必要なのは、広告の成果をより細かく分解し、どの接点が売上に貢献しているのか、どの導線で離脱や非効率が起きているのかを把握することです。

ユーザー行動を可視化するAmazon Marketing Cloudを活用

Amazon Marketing Cloud、通称AMCとは、Amazon広告に関するさまざまなデータをつなげ、ユーザーごとの広告接触や購買までの行動を分析できる環境です。

通常の広告管理画面では、キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位などで成果を確認できます。一方で、「あるユーザーが最初にDSP広告に接触し、その後スポンサープロダクト広告をクリックして購入した」といった、複数広告をまたいだ接触経路までは見えにくいでしょう。

AMCを活用すると、こうした広告接触の順番や重複、購入までの経路を可視化できるため、Amazon上でGoogle Analyticsを使った流入経路やコンバージョン経路の確認のような分析ができるようになります。

なお、AMCは個人を特定するためのツールではありません。Amazon Ads公式では、AMCを「プライバシーが守られた安全なクラウドベースのクリーンルームソリューション」と説明しており、広告主は仮名化されたシグナルを分析し、集計・匿名化されたアウトプットをもとに広告改善へ活用します。

※引用・参照:Amazon Ads「Amazon Marketing Cloud - 広告インサイトの発見」

AMCで可視化できる代表的な分析

AMCを使った基本的な分析には、重複分析、オーディエンス分析、ファネル分析、経路分析、新規分析、時間帯傾向分析などがあります。ここでは、Amazon広告のROAS低下に悩む企業が特に活用しやすい分析を紹介します。

1. 新規分析:広告が新規顧客獲得につながっているかを見る

通常の管理画面では、新規顧客と既存顧客の成果が混在し、新規獲得効率を把握しにくい場合があります。

AMCを使えば、キャンペーンごとの新規CVや新規CPAを確認でき、同じCPAに見える施策でも、新規獲得に強いものと既存顧客中心のものを分けて評価できるようになります。

新規拡大を重視する場合は、全体CPAだけでなく新規CPAを見ながら運用を調整することが重要です。

. 経路分析:購入までの広告接触の順番を見る

Amazon広告では、スポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告、Amazon DSPなど、複数の広告メニューを組み合わせて運用するケースが増えています。

ラストクリックだけで成果を評価すると、購入直前に接触した広告だけが高く評価され、認知や比較検討に貢献した広告の価値が見えにくくなりますが、AMCの経路分析なら広告メニューやキャンペーンごとの接触経路を可視化できます。

たとえば、「DSPに接触した後にスポンサープロダクト広告へ接触したユーザーの購買率が高い」「スポンサーブランド広告単体では購入率が低いが、他メニューと組み合わせると貢献している」といった傾向もわかるため、間接効果を踏まえた予算配分の判断がしやすくなります。

3. オーディエンス分析:優良顧客に近いユーザーを見つける

AMCは分析だけでなく、オーディエンス作成にも活用できます。

たとえば、直近購入日や購入頻度をもとに優良顧客を分類し、その特徴に近いユーザーへAmazon DSPで配信することで、類似拡張配信の精度を高められます。

また、購入金額が高いユーザーを抽出し、ロイヤルカスタマー向け施策や高単価購入を狙う配信に活用することも可能です。

※RFユーザーランクとは、ユーザーがいつ商品を閲覧・購入したか、また一定期間内にどれだけ閲覧・購入を繰り返しているかをもとに、優良顧客に近いユーザーを段階的にランク付けする考え方。

Amazon Ads公式でも、AMCで作成したオーディエンスは各種広告配信に活用できるほか、スポンサープロダクト広告やスポンサーブランド広告の入札調整にも利用できるとされています。

※引用・参照:Amazon Ads「Amazon Marketing Cloud - 広告インサイトの発見」
※引用・参照:Amazon Ads「スポンサー広告のAMCオーディエンス」

ROAS低下の原因を「因数」で捉える

AMCを活用する際に大切なのは、ROASの上下だけを見るのではなく、売上を構成する要素に分けて考えること。

商品詳細ページ閲覧数が不足しているのであれば、広告配信量やターゲティング、検索面での露出、DSPによる認知拡大を見直す必要があります。

購入転換率が低いのであれば、商品ページの内容、画像、レビュー、価格、配送条件、広告接触経路などを確認する必要があります。

購入平均単価が伸びないのであれば、セット販売、バンドル、クーポン、ロイヤルカスタマー向け施策などの検討余地があります。

AMCは単に詳細なレポートを出すためのツールではありません。ROAS低下の原因を、閲覧数の問題なのか、転換率の問題なのか、購入単価の問題なのかに分解し、次の打ち手を決めるための分析基盤と捉えましょう。

AMC活用でつまずきやすいポイント

一方で、AMCは導入すればすぐに誰でも使いこなせるツールではありません。

AMC活用の壁として、まず、管理画面が英語表記であること。次に、必要なデータを抽出するためにはSQLの知識が求められること。そして、Amazon独自の専門用語やデータセットを理解しないと、データの解釈を誤るリスクがあることが挙げられます。

たとえば、広告接触の重複を見ているのか、購入までの経路を見ているのか、新規顧客の定義をどの期間で捉えているのかによって、分析結果の意味は大きく変わります。数字を出すこと自体よりも、その数字をどのように解釈し、どの施策につなげるかが重要です。

なお、近年はAMCの活用ハードルを下げる動きも進んでいます。Amazon Adsは、AMC向けに自然言語からSQLクエリを生成する機能を発表しており、今後はより直感的にAMCを活用できる環境が広がると考えられます。

※引用・参照:Amazon Ads「Amazon AdsがAmazon Marketing Cloudに生成AIを導入」

今後は「広告運用」から「フルファネル設計」へ

Amazon広告では、検索広告で購入直前のユーザーを獲得するだけでなく、動画広告やディスプレイ広告で認知を広げ、Amazon DSPで比較検討層へ接触し、スポンサー広告で購買を後押しするなど、フルファネルでの設計が重要になっています。

そのため、各広告メニューを個別に評価するだけでは、全体最適は難しくなってきました。

認知施策が検索広告の成果にどう貢献しているのか、新規獲得や高単価購入につながるユーザーはどのような接触をしているのか。こうした課題を捉えるうえで、AMCのような分析基盤の重要性は高まっています。

また、Amazon上で成果を伸ばすには、広告管理画面の数値だけでなく、商品詳細ページ、レビュー、価格、配送、セール、リピート施策などを横断して改善する視点も欠かせません。ROASが低下している場合も、「どのキャンペーンを止めるか」ではなく、閲覧数、購入転換率、購入平均単価、広告接触経路のどこに課題があるのかを切り分けることが重要です。

ソウルドアウトでは、Amazon広告の運用代行に加え、商品ページ改善、Amazon DSP活用、出品支援、分析設計までを含めて支援しています。また、広告領域に強みを持つソウルドアウトと、Amazon内の販売戦略に強みを持つCOIMが一体となって、戦略設計から実行支援、運用改善までをワンストップで支援できる体制を構築しています。

管理画面上の数字だけでは見えない課題を可視化し、次の打ち手につなげる。その選択肢として、AMCの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

Amazon広告の成果改善やAMCの活用に課題を感じている方は、ぜひこちらのフォームよりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
※コマースピックの記事を見た、と記載いただけますと担当へスムーズにお繋ぎできるのでご協力いただけますと幸いです。

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