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ChatGPT広告は「売上」を期待すべきか?EC事業者が知っておきたい現在地と評価の考え方

ChatGPT広告は「売上」を期待すべきか?EC事業者が知っておきたい現在地と評価の考え方

2026年6月、ChatGPT広告のセルフサーブが日本でも解禁され、約2か月が経過しました。

株式会社キーワードマーケティングが広告運用担当者302人を対象に実施した調査(※)では、ChatGPT広告を含むAIツール広告に「非常に期待している」「やや期待している」と回答した割合は計95%に達し、広告主から非常に高い期待が寄せられていることがうかがえます。

一方、AIツール広告に期待する具体的な効果として「CPA・ROASの改善」を挙げた割合は8.9%にとどまっており、どうやら従来の広告とは異なる期待が寄せられているようです。

すでに広告アカウントを作成し、試行錯誤しているEC事業者も少なくないかもしれません。そこで本稿では、ChatGPT広告をどのように試し、どのような指標で評価していくべきかについて考えていきます。

※【調査】ChatGPT広告に31.1%が出稿済みと回答。想定を上回るペースで出稿広がる。今後は、精度や制御面の懸念にどう向き合うかが焦点に|株式会社キーワードマーケティング

この記事の執筆者

川手 遼一
株式会社キーワードマーケティング
R&D室 室長

1994年生まれ。大学在学時に運用型広告の存在を知る。インターンを経て、2016年キーワードマーケティング入社。運用型広告の中でもリスティング広告、Meta広告を専門領域としている広告運用者。仕事の傍ら、広告運用者向け技術ブログ「PPC-LOG」を不定期で更新中。

ChatGPT広告への期待は、本当に「売上」への期待なのか

まず「AIツール広告への期待度」に関する調査結果を見ると、「非常に期待している」「やや期待している」と回答した割合は計95%に達しています。

この数字を「高い」と感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、その高さだけにフォーカスするのではなく、「期待」の中身を分解してみると、少し見え方が変わってきます。

一方、ChatGPT広告は運用型広告でありながら、「CPA・ROASの改善」を期待している割合は8.9%にとどまっています。それでもなぜ、これだけ期待値が高いのでしょうか。

なぜCPA・ROAS改善への期待は相対的に低いのか

リスティング広告をはじめとするWeb広告と比較すると、AIツール広告(現時点では主にChatGPT広告)には、以下のような特徴があります。

(1)まだ業界別、商材別の成果基準が存在しない

Similarwebなど一部の企業が、すでにどの程度の広告主がChatGPTに広告出稿しているかといった調査を実施し、結果を公開しています[1]。一方、公式には業界別、商材別の成果について公開されていません。

そのため、既存の広告媒体のように「この業界ならこの程度のCPA」「この商材ならこの程度のROAS」といった成果基準をもとに、自社の広告成果を評価することが難しい状況です。

(2)どのような会話に表示されたのかを広告主が確認する方法が確立されていない

ChatGPT広告をはじめ、AIツール広告の大きな特徴は、ユーザーとAIとのやり取り(会話)に沿って広告を表示できる点にあります。

一方、肝心の「結局どのような会話に表示されたのか」については、今のところ広告主が確認する方法がありません。

SE Rankingは、米国20分野・50,006件の商用プロンプトを用いてChatGPT広告を調査し、25.94%で広告が表示され、そのうち14.35%はプロンプトとほぼ関連性のない広告だったと報告しています[2]。

日本でも同様の傾向が見られるのか、また分野ごとにどの程度差があるのかはわかりませんが、一定割合で関係のない会話にも広告が配信されているといわれています。

しかし、現状では広告主側でそれを確認したり、キーワードを除外したりする手だてがありません。

(3)利用可能なターゲティングが限られている

直近では、日本においても都道府県単位での地域ターゲティングが可能になりました。

一方、リスティング広告や他のディスプレイ広告で利用できる半径指定によるターゲティングは、日本の管理画面上では確認できません。さらに、年齢や性別、興味関心などを用いた広告配信もできない状況です。

ChatGPT広告では、ユーザーとの会話の文脈や意図、広告主が設定するコンテキストヒントなどが、広告配信において重要な役割を担っています。

ただし、今後もこのようなターゲティングのあり方が続くかどうかはわかりません。

例えば、今回の調査では、今後広告配信が可能になった場合に出稿を検討したいAIツールとして、Gemini(Google)が59.9%で最多となりました。

さらにGoogleは2026年8月、Geminiアプリの月間ユーザー数が10億人を突破したと公式に発表しています[3]。まだ広告が実装されていないGeminiでの広告配信に期待する広告主は多いでしょう。

仮にGeminiで広告配信が可能になれば、GoogleはOpenAIや他のAIツール提供企業とは異なり、すでに多くの広告主を抱えています。検索広告やディスプレイ広告、YouTube広告などを通じて、広告配信のノウハウも蓄積しています。

そのため、市場に与えるインパクトも大きいはずです。

そうしたGoogleが本格的にAI広告へ参入すれば、現在のようなターゲティングのあり方が一気に変わる可能性もあります。

(4)現段階では「新しい顧客接点」「検索行動の変化への対応」「先行者としての学習」に期待

現状、調査結果にもある通り、短期的な獲得効率の改善よりも、「新しい顧客接点」「検索行動の変化への対応」「先行者としての学習」を目的に、テスト予算を投じてAIツール広告を試しているケースが多いのではないでしょうか。

EC事業者にとって馴染みのある広告プラットフォームの1つであるCriteoも、2026年3月にOpenAIとパートナーシップ契約を結び、2026年半ば時点で、Criteo経由で2,000社の広告をChatGPT上で配信していました[4]。

2026年8月の決算でも「期待を上回っている」とOpenAIとのパートナーシップを高く評価する一方、「顧客はまだテスト段階にあり、まだやるべきことは多い」とも語っています[5]。

Criteo自身も、ChatGPT広告をすでに完成された広告チャネルとして見ているというより、近い将来の有力な成長ドライバーの1つとして位置づけていると考えたほうがよいでしょう。

EC事業者はChatGPT広告に何を期待すべきか

ここまでの情報をまとめると、EC事業者がChatGPT広告を配信する際には、以下のような役割を期待するのがよいのではないでしょうか。

  • これまで接点を持てなかったユーザーとの出会い
  • 指名検索に至る前の探索、比較段階のユーザーとの接触
  • 既存の検索広告やSNS広告の補完

実店舗を展開するEC事業者であれば、「ChatGPTにおすすめされた」と言って来店し、商品を手に取るユーザーを実際に見たことがある方もいるのではないでしょうか。

そうした光景を見て、「広告配信をせざるを得ない」と感じている広告主も少なくないはずです。

現状では、多くの広告主が回答したように「CPA・ROASの改善」を最初から求めるのではなく、まずは配信してみて、他の広告経由の流入やオーガニック流入と比べてどのような違いがあるのかを見ていくのがよいでしょう。

実際、Criteoは8月初旬の決算で、Criteo経由でChatGPT上に配信された広告からの流入について、「従来の外部サイト経由の流入と比べてCVRが約1.5〜2倍高い」「広告クリック経由で流入したユーザーの約80%が各ブランドにとって新規ユーザー」といったデータを公開しています[6]。

このような違いが実際に自社サイトでも見られるかどうかはわかりませんが、まずは少額から試してみるのは十分にありだと思います。

評価指標と見るべき数値

ここまで言及してきた通り、現状、ChatGPT広告は「CPA・ROASの改善」だけを目的に導入すべきものではありません。

まず、広告配信を始めたら、表示回数やクリック数などの指標を確認しつつ、検索広告や他のディスプレイ広告と比べて、1件あたりの流入にかかる費用がどの程度なのかを見ておきましょう。

また、固有のパラメータを付与し、流入したユーザーがサイト内をどのように回遊しているのかも把握しておきたいところです。

そのうえで最終的には、獲得数やROAS、CPAなどを見ながら、媒体としてのパフォーマンスを評価していく必要があります。

ただし、初期検証の段階ではあまり結論を急ぐ必要はありません。

既存の広告媒体と同じ物差しですぐに良し悪しを判断するのではなく、「どのようなユーザーが流入しているのか」「既存の広告経由のユーザーと何が違うのか」といったところまで含めて見ていくことが重要です。

最後に

調査結果からもわかる通り、ChatGPT広告には現在、高い期待が寄せられています。

その一方で、ChatGPT広告の現在地は「成果の確立」というより、まだ「役割の探索」にあると考えています。

高すぎる期待を持って臨むと、「思っていた結果と違う」と感じてしまうこともあるでしょう。そのため、AIツール広告の将来性への期待と、短期的な獲得効果への期待は分けて考える必要があります。

また、これは余談ですが、OpenAIは直近でもChatGPT広告のフィード機能に関するアップデートをたびたび実施しています。こうした動きを見ると、EC事業者を広告主として取り込みたい狙いもあるように見えます。

実際にトライしてみて、短期間で成果が出なかったとしても、それだけで見切る必要はありません。

新しい購買接点の1つとして、中長期的な視点で検証しながら判断していく。現時点では、それくらいの距離感で向き合うのがよいのではないでしょうか。

参照元

  1. ChatGPT Ad Stats in 2026 | Similarweb
  2. ChatGPT Shows Ads for 1 in 4 Commercial Prompts
  3. Google’s Gemini app hits 1 billion monthly active users
  4. Criteo_Q2_2026_Earnings_Presentation_FINAL
  5. Q2 2026 Criteo SA Earnings Call on August 05, 2026
  6. Criteo_Q2_2026_Earnings_Presentation_FINAL

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