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ポップアップストアとは?
ポップアップストアとは、路面の空きスペースやショップの一部を使って、期間限定で出店する形態を指します。
住居用の物件を借りる場合は2年契約が一般的になりますが、店舗用となると10年契約の物件もあったりします。加えて、物件にもよりますが保証金も賃料の10か月分かかります。初期費用をおさえられるECと違って、実店舗は資金的なハードルが非常に高いです。
しかし、ポップアップストアなら、常設店舗よりもはるかにコストをおさえることができます。出店期間や立地などの条件にもよりますが、2週間の出店で、場所代や機材、人件費などを入れて1日あたり10万円くらいの費用で実施可能です。
EC事業者にとって「ポップアップストア」は武器の一つになりうる
経済産業省によると、2019年のBtoCにおけるEC化率は6.76%だそうです。つまり、90%以上がオフラインからの購入ということになります。またEC市場規模も対前年比7.65%増と成長していますが、それ以上にEC事業者が増えてしまっています。ブルーオーシャンだったEC市場も今はレッドオーシャンになっているのです。
EC事業者が増えた理由としては、下記があげられます。
- メルカリなどCtoCサービスの浸透により、ネットでの売買が一般的になったから
- BASEやSTORESなどをはじめ、誰でも簡単にECサイトが作れるシステムが普及したから
- SNSなどが浸透したため、集客が比較的容易になったから
そのため、強みとして資本力や低い製造コスト、マーケティングに長けているなど、戦う武器がないと売上を伸ばしていくのは難しいでしょう。ポップアップストアは活用の仕方で、大きな武器になりえます。
ポップアップストアを活用するメリット
見込み客や新規顧客獲得に繋がる
通りがかりの人に知ってもらえるため、見込み客や新規顧客獲得に繋がります。ECと違って、実際に商品を手にとってもらえるため、サイズや素材など購入にあたっての不安を解消することができ、購入に繋がりやすいです。特に高価格の商品やファッション品のようなサイズ感を確かめたい商品、食品・飲料のような味を確かめたい商品に適しています。
※試食・試飲の際は保健所への届け出が必要になります。
既存顧客のロイヤリティを上げることができる
商品の背景やストーリーを説明したり、販売だけでなく体験を提供できたりするため、ファンになってもらいやすいです。また、顧客の生の声を聞くことができるので商品やサービスなどの改善に役立ちます。
店舗用の物件を借りる前にテストすることができる
常設店舗を出店するにあたってのテストで利用する企業も多いです。また、出店場所をどこにするかでABテストとしても活用できます。
ブランドの認知拡大
来店された顧客がSNSに投稿したくなる仕掛けづくりを行うことができれば、SNS投稿の拡散によるブランドの認知拡大にも期待できます。また、ポップアップストアの開催のニュースは、メディアなどで取り上げられやすいため、出店の際は事前にプレスリリースを配信するといいと思います。
ポップアップストアに出店するにあたっての注意点
常設店舗と比べるとポップアップストアはコストをおさえられますが、それでもある程度お金はかかります。目的と事前準備、そして当日臨機応変に対応できるように心がけましょう。
- 1回のポップアップストアで高い利益を生み出すのは難しいです。あくまでも見込み客の獲得や、LTVの向上だったり、ブランドの認知拡大だったりと、利益にとらわれないことが大事です。
- 見込み客獲得なのか、既存顧客のロイヤリティを上げるのかなど目的を明確にしましょう。そうしないと、PDCAを回すことができません。
- 商品の見せ方を工夫するなど、売り場作りをしっかりと行うことが大事です。当日の状況によって、臨機応変に売り場を変えることもポップアップ出店の成功に関わってきます。
ポップアップストアを活用した事業者の事例
コマースピックで独自に取材を行った事業者の事例をご紹介します。
神戸洋靴店の事例
神戸洋靴店はセミオーダーのパンプスを販売しています。Instagramで集客をし、ブランドの認知と興味を獲得。セミオーダーという商品の特性上、初回の購入は試着をしたい方が多いため、ポップアップストアへの参加は事前予約制を採用しています。
事前予約制を採ることで、来訪者の課題を事前にヒアリングし、接客の質を高めることが可能です。また、予約状況に合わせて売上の予測が立つため、開催当日に慌てることなく、開催前に予約状況を見ながら販促量をコントロールできます。詳細は下記記事をご覧ください。
HINEMOS(ヒネモス)の事例
HINEMOSは日本酒の企画から製造、販売まで一貫したバリューチェーンで商品を提供しているブランドです。アルコールの中でも愛飲する年齢層が比較的高いとされる日本酒ですが、ポップアップストアを開催することで認知を拡大しています。
目を引く商品デザインと若者受けする味により、人流の多い場所を狙って出店を重ねることでオンラインで日本酒と検索しない層の認知を獲得できています。詳細は下記記事をご覧ください。
バケーションの事例
バケーションは世界中のおしゃれでかわいいベビー&キッズアイテムを扱っているセレクトショップです。定期的にプレスリリースを配信することでバイヤーからの認知を高め、ポップアップストアに誘致されるきっかけを作っています。
ベビー&キッズが対象の商品を取り扱っていることもあり、お子様連れで来店するお客様が多くいる中で、来店したお子様の写真をSNSにアップするなど、参加型のSNS運用をすることで認知・集客力を高める効果を出しています。詳細は下記記事をご覧ください。
代表的なポップアップストア出店支援サービス
ポップアップストアを出店しようと思っても、どこに出店できるのか、どれくらいの費用がかかるのか調べるのに時間がかかってしまいます。そこで、「SHOPCOUNTER」(ショップカウンター)などのサービスを利用するといいです。
「SHOPCOUNTER」(ショップカウンター)は、短期貸し店舗やイベントスペースのオンラインシェアサービスで、株式会社COUNTERWORKS(カウンターワークス)が提供しています。
オンラインで簡単に店舗スペースを予約でき、スペース利用料が15万円以上と条件はありますが、コンシェルジュの無料サポートもあります。自社の希望に合ったスペースの紹介や、オーナーへの交渉、内覧予約の手配、空き日程の確保など手間の掛かる作業などを無料で代行してくれます。
まとめ
D2Cブランドが増えたことでオンライン以外に顧客と接点を持つため、まずはポップアップストアから始める事業者が増えています。対面で顔を合わせて顧客の声を聞くことは、オンライン上で得られるレビューとはまた違った声になるようです。
ポップアップストアを開くことで直接顧客からポジティブな声を聞くことができると、事業者がモチベーションを上げるきっかけにもなることでしょう。新規の顧客とつながることも、ファンの醸成化にも有効なポップアップストアを販促施策として検討してみてはいかがでしょうか。
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