Shopifyでサブスクを始めるにはまずは通常商品から Shopifyマーチャントが語るサブスクの現実

コマースピック読者の皆様、株式会社フロアスタンダード代表の高松です。前回の記事をご覧いただきました方には重ねての自己紹介となりますが、弊社は2016年創業当初からサブスクリプションECの集客支援を行っており、現在は自社D2Cブランド「YOU TOKYO(https://shop.youtokyo.jp/)」をShopifyで運営しています。2021年5月にはShopifyサブスクアプリ「Mikawaya Subscription」をリリースし、現在多くのShopifyユーザー様にお問い合わせ、ご導入をいただいております。

今回は、「Shopifyでサブスクを始めるにはまずは通常商品から」をテーマに前回の記事の内容を踏まえ、実例をもとに詳しくお話していきます。

ユーザーは定期便が嫌い?

第一回目の記事の「新規顧客の獲得の現状と課題」の中でもお話しましたように、近年、ユーザーはサブスクリプションへのアレルギー(抵抗)を持っています。その実例として下記弊社のヘアケアブランド「YOU TOKYO」のCPA(顧客獲得単価)をご覧ください。

■単品(ヘアオイル)
 販売価格:2,980円
 CPA:約4,000円

■定期便(シャンプー・トリートメントセット)
 販売価格:1,980円
 CPA:約7,000円

なぜ1,000円も高いヘアオイルの方がCPAが安いのでしょうか?

ヘアオイルの方が、広告がうまくハマったからなど理由は複数考えられますが、4月までヘアオイルと同額の「2,980円」で定期便(シャンプー・トリートメントセット)を販売していました。

その時のCPAがこちらです。

■定期便(シャンプー・トリートメントセット)
 販売価格:2,980円
 CPA:14,000円

定期便(シャンプー・トリートメント)のCPAは単品(ヘアオイル)のCPAの3倍以上です。こんなCPAで広告を打ち続けていけば事業は存続していけませんので「販売価格を下げる」ことにしました。値下げは最終手段だと思っているので色々なリスクを考えた苦渋の決断だったのですが、スタッフみんなと話し合いCRMを強化することを決めました。そして販売価格を1,980円に仕切り直したらCPAを14,000円→7,000円に下げることに成功しました。

しかし、なぜ2,980円定期便(シャンプー・トリートメント)と同じ価格である2,980円の単品(ヘアオイル)はこの低いCPAで獲得できているのでしょうか?仮説の一つとしてヘアオイルは単品販売であり・シャンプー・トリートメントが定期便という要因が考えられるではないでしょうか?

1度使って気に入って「リピートしたい」と思ったから定期便を申し込む

第一回目の記事の「サブスクリプションを始める企業様に向けて」でも「お付き合い」に例えてお話しましたが、そもそも定期便サービスとは商品をよく知った上で「定期的に使い続けたいと思える」ことが前提にあり、毎回注文する手間がない定期便に利便性を感じるものです。

しかし、事業者側がビジネスを成功の為に都合の良い定期便サービスを押し付けて販売していたりします。その結果が先程の単品と定期便のCPAの差に現れていると私は考えます。実際に単品のヘアオイルを購入したユーザーから「この商品は定期便ですか?もし定期便なら注文をキャンセルします」といった連絡を定期的にいただきます。

では「なんで貴社は定期便をやっているのですか?」と皆様は思うかも知れませんが、EC事業は理想だけでうまく行くほど簡単なものではないからです。定期便に関しては賛否両論あるかと思いますが、弊社ではある程度の批判を受け入れて定期便を行っています。

ただ、企業努力として定期便を「押し付け」にならないように私含めスタッフ一同で様々な施策を毎日試行錯誤しながらやっています。その詳細は別の回でお話できればと思っています。

少し前置きが長くなりましたが、これらのCPAの実数値やユーザーの購買心理や声を元に私が考える定期便開始の理想の流れは、「単品消費を広告で集客し、アップセルで定期便を案内する」ことです。これをすることによって、定期便を利用する前提である「商品をよく知った上で定期的に使い続けたい」と思ってもらうことができます。また、「押し付け」にならないような施策としては「中身を毎回カスタマイズできる定期便などの目新しいコンセプトを構築する」ことです。このような施策で押し付け感をワクワク感にすり替え顧客満足度をUPさせるのが一つの方法かと考えます。

単品消費を広告で集客し、アップセルで定期便を案内する

「ユーザーは定期便が嫌い」を前提にお話すると、ShopifyサブスクアプリはShopifyPayment(クレカ決済)のみの対応となっているので、「押し付け定期便」を広告によって集客しても必然的にチェックアウト(決済ページ)で離脱される可能性が高くなります。弊社の商品「YOU TOKYO」を例に挙げると決済割合はクレカ6割:後払い4割です。(YOU TOKYOは独自システムをフルスクラッチで構築しているので後払いも実装されています)つまり、自動決済とならない後払いを利用した4割のユーザーがチェックアウトで離脱する可能性があり、仮に初回はご購入いただけても2回目以降継続をしてくれる保証はないということです。広告費を使って集客したのに4割が離脱することは大きな損失です。

そこで私がおすすめするやり方として

比較的獲得のしやすい単品商品で広告集客を行い、サンクスページやメルマガで定期便サービスを紹介し、自ら申し込みたいと思ったユーザーだけに定期便を申し込んでもらう

という導線です。是非皆様に一度お試し頂きたいと思います。

(ちなみに弊社では、サンクスページのアップセルアプリは「Reconvert」を利用しており、ポップアップ機能をフル活用しています。)

単品消費を広告で集客し、アップセルで定期便を案内する

中身を毎回カスタマイズできる定期便などの目新しいコンセプトを構築する

これは商材によっては難しいかもしれませんが、コンセプトがキャッチーで画期的だとCPAも安くなる傾向があります。

私がおすすめするのは「毎回違う〇〇(商材)が届く頒布会」「2回目以降は好きな商品に変更・カスタマイズができる定期便」などはワクワク感を生めて注目されやすいのではと考えます。

中身を毎回カスタマイズできる定期便などの目新しいコンセプトを構築する

ここで大事なのは、定期便でなければならない理由を落とし込みストーリーを構築することです。

なぜ定期便であることが必要なのか?
なぜ毎回違う商品が届くことが必要のか?
なぜ商品カスタマイズできることが必要なのか?

消費者を納得・共感させるストーリーをどれだけ具現化できるか、どれだけわかりやすくサービスページでそれを表現できるかが非常に大事です。これがCPAにもそのまま直結すると思ってください。

最後に

今回「Shopifyでサブスクを始めるにはまずは通常商品から」という内容でお話しましたが、内容を踏まえサービス設計を作り込めれば是非、定期便にチャレンジしてみてください。その際には弊社の経験から生まれた「Mikawaya Subscription」がお役にたてるかと思います。今回紹介した様な「毎回違う商品をお届けするための機能」や、「注文されたサブスク商品の商品変更ができる機能」が備わっており、「Shopifyで定期便をやるためには何が必要なのか」を考えた結果実装された機能が満載です。アプリ導入のフォローはもちろんのことサブスクリプションEC体制の構築からグロース支援も行っておりますので、お困りごとやご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

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