
本記事では最近の海外ニュースをご紹介していきます。今回は、「2023年の欧州EC市場の売上に関する最新データ」「アジア発の急成長マーケットプレイスであるTemuとSheinの今後の成長予測」「Amazon UKで導入される新たな返品ポリシーの影響」の3つのニュースに触れていきます。
この記事の目次
【欧州】2023年のB2C売上は8,870億ユーロに到達
ニュースの概要
2023年の欧州のB2C-EC市場は前年比3%増の8,870億ユーロに達しました。Ecommerce EuropeとEuroCommerceの最新レポートによると、COVID-19による急成長からはやや鈍化したものの、依然として堅調な成長を見せており、今後も安定的な拡大が見込まれます。
地域間で異なる成長率
同レポートでは、地域別の成長差も明らかにされています。特に西欧のB2C市場は前年から1%減少し5,960億ユーロとなりましたが、南欧と東欧ではそれぞれ14%、15%の高成長を示しており、売上はそれぞれ1,660億ユーロと170億ユーロに達しました。また、中央ヨーロッパも8%増の790億ユーロを記録しましたが、北欧では5%の減少が見られ、最終的に560億ユーロに留まりました。このような地域間での成長率の違いは、経済状況やECに対する消費者意識の差異にも起因していると考えられます。
インフレの影響と2024年の成長予測
2023年のインフレ率は8.5%から6.1%へと低下しましたが、依然として消費者の購買意欲に影響を及ぼしています。Ecommerce Europeによると、2024年にはインフレ率がさらに2.7%に低下する見通しです。今後のB2C-EC市場は安定したインフレと消費意欲の向上により、前年比8%の成長が期待されています。
成長の鍵は持続可能性と技術革新
EuroCommerceの代表であるChristel Delberghe氏は「EC市場は依然として活気があり、技術革新や持続可能性に対する消費者のニーズが高まっている」と述べています。特に、サステナブルな取り組みを通じて消費者が購入意欲を維持し、企業がEU規制を順守することで、長期的な市場成長が期待されるとのことです。また、技術的な進化を通じた新しい購買体験の提供や、EU法規の公平な執行が、競争力のある市場での成功を支える鍵と見られています。
参照:European ecommerce turnover 887 billion euros in 2023
【欧州】TemuとShien、成長率の低下が予測される
ニュースの概要
米国の市場調査会社Forresterの報告によると、オンラインマーケットプレイスであるTemuとSheinの成長率が来年以降、大幅に低下する可能性が指摘されています。
Temu のフランスでの普及率は11.9%で、Sheinは 12.8%です。特にTemuは、2024年に入ってからフランス市場において、わずか4か月でSheinを超えるシェアを獲得しました。しかし、TemuもSheinも今後は市場成長に陰りが見えると予測されています。
環境団体・政府の規制の標的に
両社は急速にシェアを拡大してきた一方で、製品品質に関する不満、倫理的な製造プロセスの透明性、そして物流における優遇措置への批判が高まっています。特に欧州では、「不平等な物流コスト」や「ナショナリズムの高まり」に伴う規制の対象となっており、環境団体や消費者保護団体からの圧力も増加しているのです。欧州委員会は、欧州消費者に対する取引情報の詳細な開示をTemuやSheinに義務付け、各国の法規制と倫理的なビジネス慣行に対する対応を促しています。
顧客獲得コストやIPOの課題
Temuは急激な成長に伴い、非常に高い顧客獲得コストが課題となっており、マーケティング戦略の見直しを余儀なくされています。一方、Sheinは英国でのIPO(新規株式公開)に向けた動きを見せているものの、まだ成功に至っていません。Forresterは、このようなビジネス上の課題が複合的に影響し、両社の成長率が2025年以降鈍化すると予測しています。
参照:Shein and Temu growth rates expected to drop
【英国】Amazon UK、国際セラー向けの返品ポリシーを厳格化
ニュースの概要
Amazon UKは11月11日から新たな返品ポリシーを導入し、国際セラーに対して、英国国内の返品先住所の提供または返品ラベルの発行を義務化します。対応しない場合、顧客には返品を行わずに返金が行われる仕組みが導入されるため、セラー側に厳しい対応が求められることになるでしょう。
消費者利便性向上のための明確なガイドライン
英国の消費者が安心して購入・返品できる環境の整備を目指し、Amazon UKは返品プロセスの明確化を推進しています。返品オプションを提示するための期間は4日間とされ、期限内に対応がなければ自動的に返金処理が実施される仕組みです。さらに、Amazonは返送業者のリストを提供し、EvriやRoyal Mail、UPS、DHLなどが推奨業者として掲載されています。これにより、国際セラーが英国市場でよりスムーズに返品対応を行えるようサポートを強化する一方で、違反リスクの低減が図られています。
ホリデーシーズンの返品期間延長
Amazonは、ホリデーシーズンに向けて返品期間の延長も発表しました。11月1日から12月25日までに購入された商品は、翌年1月31日まで返品が可能です。この期間は英国のみならず、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州の各Amazon店舗にも適用されます。消費者の利便性を最大化することで、シーズン中の購入意欲を後押しする狙いも含まれています。
参照:Amazon UK tightens return policies for international sellers
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