
本記事では最近の海外ニュースをご紹介していきます。今回は、「TikTok Shop、英国での販売手数料を引き上げ」「返品商品の44%が再販されない」「Amazonドイツのリテールメディア売上が20%増加」の3つのニュースに触れていきます。
この記事の目次
【英国】TikTok Shop、英国での販売手数料を引き上げ
ニュースの概要
2024年9月2日より、TikTok Shopは手数料を5%から9%に引き上げると発表しました。ただし、TikTok Liveやショッパブルビデオの目標数を達成すれば、手数料を減らすことが可能です。
TikTokが2022年に英国でオンラインマーケットプレイスを開始して以来、手数料を引き上げるのは今回が初めてです。当時、中国企業ByteDanceはグローバル子会社を欧州でさらに拡大する計画を発表していましたが、英国での結果が振るわず、その拡大は遅れています。現在は、今年10月にアイルランドとスペインへの展開を予定中です。
手数料が9%に増加
これまで、TikTok Shopの手数料は5%でした。多くの事業者に参入してもらうために、手数料は低めに設定されていましたが、今回9%に引き上げられる結果になっています。とはいえ、他のプラットフォームに比べると依然として低めの水準であることに変わりはありません。eBayは5%から14.9%の範囲で、Amazonでは7.14%から15.3%の範囲で手数料が設定されています。
電子機器やコレクターズアイテムの手数料は低めに設定
TikTok Shopで電子機器やコレクターズアイテムを販売する事業者は、一定の条件を満たすことで、引き続き5%の手数料で販売できます。その条件とは、0%の手数料期間が終了してから90日が経過していること、そして過去90日間の平均パフォーマンススコアが4.0以上であることです。
TikTok Shopが事業者にこれらの商品を低い手数料率で販売できるようにしている点は、AmazonやeBayの基準に合わせているからです。同ジャンルでは、eBayは6.9%の手数料を請求し、Amazonは7.14%を請求しています。
オーディエンス拡大のためのインセンティブ
TikTokは、新たに「Seller Missions」プログラムも開始します。事業者は、TikTok Liveやショッパブルビデオの目標を設定できます。このプログラムの狙いは、事業者が公開する動画を通じてオーディエンスを増やし、TikTokの「発見型コマース」という考え方に沿った成長を促すことです。
目標を達成するために、事業者はプラットフォーム上の他のクリエイターと協力することができます。そして目標を達成すれば、販売者は手数料を減らすことができるのです。
将来のマーケットプレイスへの投資
TikTok Shop UKのオペレーション責任者であるヤン・ウィルク氏は、「私たちは事業者と購入者に最高の体験を提供するために努力しています。この手数料の引き上げにより、私たちはマーケットプレイスにさらに投資し、事業者の成功を支援するための運営とサービスを改善することができます」と述べています。
新しい取り組みで売上を加速
「TikTok Shopで最も成功している事業者やブランドは、LIVEやショッパブルビデオを通じてコミュニティと積極的に関わっています。コンテンツ制作を促進するための新しい取り組みにより、売上がさらに加速すると確信しています」とも述べていました。
参照:TikTok Shop increases seller fees in the UK
【欧州】返品商品の44%が再販されない
ニュースの概要
小売業、特に衣料品のオンライン販売における環境への影響は一貫して軽視されています。返品された衣料品のうち、22%から44%は二次流通市場で販売されることなく、環境に大きな影響を与えているのです。
このデータはベングリオン大学による研究から得られたものです。その研究結果によると、多くの人がファッション業界の環境への影響を認識しているものの、返品に関連する温室効果ガス(GHG)排出に関する研究はまだ十分ではないとのこと。
返品は、EC事業者にとって一般的な問題です。別の研究結果では、DACH地域(ドイツ、オーストリア、スイス)の事業者が返品ごとに高いコストを負担していることが示されました。返品を抑制するために、多くの事業者が返品手数料を導入しています。
20%から30%の商品が返品される
しかし、多くの消費者は返品の負の影響を十分に理解していません。ファッション業界では、同じ商品を複数の色やサイズで注文する「過剰注文」が一般的であり、Amazonの「Prime Try Before You Buy(試してから購入)」プログラムのような制度によってそれが常態化しています。その結果、オンラインで注文された商品の平均20%から30%が返品されているのです。
研究者たちは、「多くの消費者は、返品の選択肢が購入決定の重要な要素と考えていますが、返品された商品が必ずしも再び店頭に並ぶわけではないことを知っている人はほとんどいません」と述べています。
返品商品の44%が再販されない
返品された商品は、事業者によって複雑な工程を経て分類、検査、清掃、修理、再梱包が行われます。このプロセスにかかるコストは、商品の小売価格を上回る場合が多いです。返品商品の多くは割引価格でしか販売できないため、使用されることなく廃棄されたり、破棄されたりします。
ヨーロッパで返品された63万点の衣料品のデータセットに基づくと、44%が再販されないというデータが示されています。そのうち半分はリサイクルされますが、4分の1は埋め立て地に、7分の1は焼却されているのです。
参照:44% of returned items never resold
【ドイツ】Amazonドイツのリテールメディア売上が20%増加
ニュースの概要
昨年、Amazonドイツはリテールメディアでの純売上を20%増加させました。広告事業の収益は2023年に29億ユーロに達しており、同社のドイツにおける総収益の約10%に相当します。オンラインマーケットプレイス全体の収益は、合計340億ユーロで、2022年と比較して12%の増加となりました。
リテールメディアはEC事業者の広告スペースを指し、比較的新しい取り組みと言えます。具体的には、オンラインストアのウェブサイトやショッピングアプリの検索結果や商品グループ、概要ページに表示される広告です。現在、ヨーロッパのインタラクティブ広告局(IAB)は、ヨーロッパにおけるリテールメディアの業界標準を策定中です。
Amazonの広告収益
Amazonは、以前からマーケットプレイスで広告スペースを販売しています。2023年第4四半期には、グローバルでリテールメディアから約135億ユーロ(150億ドル)の収益を上げました。
最新の財務報告書によれば、Amazon Advertisingの国際的な総売上は24%増加し、2023年には424億ユーロ(470億ドル)に達しました。この数字にはリテールメディアだけでなく、Amazon Freevee、Twitch、Prime Videoでの広告も含まれています。
オンラインマーケティング戦略
ブランドがAmazonドイツで広告を購入するのもわかります。同社はドイツで最もシェアを有するマーケットプレイスであり、2位のOttoと比べ、3倍の売上規模を誇るからです。
2023年の調査によると、Amazonのリテールメディアはドイツのオフライン小売業にも影響を与えています。多くのオンライン消費者が頻繁にAmazonで買い物をしており、事業者がマーケットプレイスの広告を購入することが有効なマーケティング戦略となっているからです。
参照:Amazon Germany’s retail media sales increased 20%
あわせて読みたい