
本記事では最近の海外ニュースをご紹介していきます。今回は、「今夏欧州でスタートするTikTok Shop」と「ドイツで3人に1人が利用するTemu」の2つのニュースに触れていきます。
この記事の目次
【欧州】今夏スタートするTikTok Shop

ニュースの概要
TikTok社は、近々欧州でECプラットフォーム事業「TikTok Shop」を開始する予定です。同社は既にドイツ、フランス、イタリア、スペインでベータテストを事業者に対して開始しており、他の地域でも順次展開される見込みです。西ヨーロッパでは今夏に導入される予定だと、英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が複数の匿名情報源を基に報じています。
TikTok社は、2022年初頭にアジアの一部地域でTikTok Shopを立ち上げ、続いて英国と米国でも展開を開始しました。英国での結果が期待外れだったため、欧州でのさらなる展開が遅れていたと報じられていましたが、ついに開始の時期が近づいているようです。
同社によれば、TikTok Shopの世界の販売事業者数は2023年12月に1,500万を超え、昨年後半だけで600万以上増加しています。世界総流通額(GMV)は約200億ドルに達する見込みとなっていました。2024年はGMV500億ドルを目標としています。また、最終的には英国で既に実施されているフルフィルメントサービスを、今後欧州でも導入する可能性があるそうです。
昨年の夏に、TikTok社はTikTok Storefrontのサービスを全世界で終了し、それに伴い、TikTokとShopifyなどのECプラットフォームの連携ができなくなりました。TikTok社としては、ユーザーを外部のECサイトにリダイレクトさせずに、TikTok上で直接買い物してもらいたいようです。
参照:‘TikTok Shop to go live in continental Europe this summer’
日本での導入は期待薄か
TikTokに限らず、日本のECサイトは特商法などサイト上に掲載が必須となる項目があります。そのため、Instagramをはじめ、各社のSNS上では決済ができないため、原則ECサイトへ遷移した後、そのサイト内で決済することが必要です。
仮に日本で導入される場合、ECプラットフォームとの連携により決済先をECサイトにする必要があるため、今後どのような展開になるのか期待が高まります。
一方、海外ではTikTok上での決済ができる国は増えているため、本ニュースの対象国に進出する事業者様においてはTikTok Shopを有効な販売チャネルとして検討いただいても良いかもしれません。
【ドイツ】3人に1人が利用するTemu

ニュースの概要
アジア発祥のマーケットプレイスは、この1年間でドイツにおいて大きな人気を博しています。経済調査機関であるECC KÖLNの報告書「Trend Check Handel」によると、ドイツの消費者の10人中9人がアジア発祥のマーケットプレイスを知っており、43%がそこから商品を購入しています。特にTemuの人気が高まっているとのことです。
ドイツにおけるアジア系マーケットプレイスのブランド認知度は、この1年間で78%から91%と13ポイント上昇したことも同報告書で発表されています。これらのマーケットプレイスの利用率は32%から43%に増加しているとのことです。若い消費者の間では、その割合はさらに高く、18歳から29歳のドイツ消費者の半数以上(51%)がアジア系マーケットプレイスで買い物をしていることが判明しました。回答者の大多数は、ソーシャルメディアを通じてこれらのマーケットプレイスを知ったと回答しています。Temuは特にSNSの広告でよく見られているようです。
ECC KÖLNの別の報告書によると、ドイツの消費者の32%がTemuで商品を購入しているそうです。昨年はわずか11%だったところから20ポイント以上伸びました。SHEINの人気も大幅に上昇し、昨年の10%から22%へと利用率が大幅に増加しています。これらのマーケットプレイスの人気は、価格設定、商品の品揃え、そしてドイツの買い物客に提供するエンターテイメント性によるものだと言います。
しかし、アジアのマーケットプレイスは前述されていない多くの点で低い評価を受けています。注目すべきは、アジアのマーケットプレイスの成長と採用にもかかわらず、ドイツの消費者の3人に2人が、主に品質、安全性、持続可能性への懸念から、将来的にそれらを使用する予定がないと答えていることです。
ドイツで定評のある主要なマーケットプレイスであるAmazon、Otto、Zalandoなどは、消費者の信頼において大きくリードしています。Temuを運営するPDD Holdings社はドイツだけでなく、世界中で大きな成長を遂げていますが、業界団体や消費者団体からも厳しく監視されています。
参照:Research: one in three Germans shops on Temu
世界中で利用が拡大する中華系マーケットプレイス
中華系マーケットプレイスは、日本ではトコジラミや権利侵害などのニュースにより一部で購入を控えている方がでている一方、一度でも利用したことがある方は数多くいらっしゃることでしょう。圧倒的な価格優位性を持つTemuやSHEINは世界中を席巻しています。円安の加速により、輸入よりも輸出が肝になる今、越境ECに取り組む際は、こういった中華系のマーケットプレイスに対して、どのような点で優位性を持つのかが重要になると思います。
しかし、価格のみに魅力があって流通が伸びているわけではありません。新商品を展開するスピードの速さや効果的なアプリプッシュ通知の配信、ゲーミフィケーションや都度変わるクーポンなどの割引施策など、見習うべきポイントは多々あるでしょう。まだ利用したことがない方は、なぜここまで人気出ているのかご自身の目で実感いただくことをおすすめします。
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