
大人のための頭皮・毛髪専門ブランド「Me+(ミープラス)」では、白髪染めシャンプーや白髪染めトリートメントなどといった白髪にお悩みの方が定期的に使う商品を販売しています。2018年にブランドを立ち上げてから、定期販売を行いながら高い継続率で順調に売上を伸ばしてきた「ミープラス」は、過去さまざまな施策に取り組んできました。その引き出しの多さは、長く化粧品・通販業界に勤めてきたからとのこと。今回は、株式会社ミープラスの代表である龍野 真樹さんに継続率を高めるための商品の磨き方と、少人数運営で売上を伸ばすために有効な施策について伺います。
この記事の目次
こだわり抜いた商品設計と同梱物での丁寧な訴求でセルフケアを啓発
――まず、「ミープラス」がどのようなブランドなのか、商品のこだわりや対象としているお客様について教えてください。

龍野さん:ミープラスは、ミドルエイジ以降の方に向けた、白髪染めにフォーカスしているヘアケアブランドです。商品は、スカルプカラーシャンプーとクリームカラートリートメント、ヘアファンデーションを展開しています。
どの商品も開発には本当に時間をかけました。最初に開発したシャンプーはブランド立ち上げ前から2年くらい時間をかけ、試作品は70個以上作っています。配合の掛け合わせ、使用感、着色推移など、何回も実験を繰り返しました。
商品自体のこだわりに加えて、ミープラスはセルフケア商品なので、ケアの仕方が簡単で、かつその時間を楽しめるような啓発を心がけています。いくら商品が良くても、お客様のケア時間が充実していないと結果が出ません。
たとえば、シャンプーをするときにスカルプブラシでマッサージする方法やトリートメントの伸ばし方、トリートメントを15~20分程度置く間に湯船に浸かったり体を洗ったりしていただく、といったことを訴求しています。
――そういった訴求はどのような方法でされているのですか?
龍野さん:同梱しているリーフレットに写真付きでわかりやすく掲載したり、二次元バーコードをご案内し、動画でもご確認いただけるようにしています。当社商品のようなセルフケア品はお客様が施術者ですので、正しくお使いいただくことが、効果のご体感に大きく影響するからです。ECサイトにも簡単な案内は載っていますが、同梱物のほうがより細かいです。

龍野さん:おかげさまで売上はずっと右肩上がりです。コロナ禍で美容室の利用を不安に思う方がいらっしゃったため、ミープラスのようなセルフケア品をご利用になり、「自分でもしっかりと白髪を染められる」ことがわかった方がとても多くいたように思います。大きな反響をいただくことができました。
最大のブランディングは誠実なお客様対応と配送
――ミープラスは、現在、どういった体制で運営されているのでしょうか?
龍野さん:私と数名だけの小規模な運営です。コールセンターは毎日の情報共有は欠かさずやり取りしつつ、プロにお任せしておりますが、お客様からのメールでのお問い合わせ対応や配送は社内で対応しています。
ミープラスはオンラインのみでの注文受付となっておりますので、Web広告などから興味を持って来てくださる方が多いです。サイト内の情報だけでブランドをご理解いただくのが難しいと感じ、頭皮・毛髪などのお悩み相談やサービスについてのお問い合わせなどをいただいたときは、誠心誠意のご回答に努め、少しでもお客様と近い存在になれるように心がけています。深刻なお悩みの場合も、私が毛髪診断士としてお手伝いできる範囲で対応させていただいています。
また商品を梱包するときは、プレゼントを贈るように丁寧におまとめするようにしています。そういったひとつひとつの“おもてなし”を感じる行動こそ、最大のブランディング活動だと信じているからです。

龍野さん:ドラッグストアでも白髪対策の商品を買えるなかで、ミープラスという小さなブランドを発見して使おうと思ってくださった方というのは、お悩みが深く、いろいろな調査をされて知識もある方が多いのではないかと思います。そのような方が頼ってくださるのだから、しっかりとお話を伺って誠実に対応したい、ご納得いただいてお求めいただきたいと考えています。
認知獲得のために各種広告を活用、クラウドファンディングも効果的
――ゼロからのブランド立ち上げにおいて、お客様に認知されるためにどういった取り組みをされましたか?
龍野さん:ミープラスの自社サイトは2018年6月にテストオープン、7月から本格始動したのですが、なんとテストオープン初日に1件ご購入がありました。知り合いでもなく、まだ広告も出していないのに、どうやって見つけてくださったのか、驚きました。
しかし、Web上に何億とあるサイトから自社のサイトにたどり着いていただくのは本当に難しいこと。認知を広げるためにさまざまな広告に挑戦しています。
顧客数が増えるきっかけとなった媒体の一つが、雑誌の連合広告です。今では少なくなりましたが当時は雑誌の読者の方々が商品を購入し、たまにSNSに客観的な視点で投稿いただけたおかげで、認知を拡大できることもありました。
また、アフィリエイト広告も利用しています。美容に詳しい方々に商品の魅力を余すことなくお伝えできるよう、かなり細かく情報提供し、媒体様の記事を確認させていただく際は、文面は情報に誤りがないか、薬機法など法律を遵守しているかなど、細かく確認させていただいております。
また、既存のお客様にはメルマガや同梱物で定期への引上げも行っています。ミープラス初期から現在までご利用いただいている方の中には、ご購入回数が50~60回以上にもわたる方もいます。本当にお客様のおかげで今があると実感しています。
――広告の運用は基本的に社内で動いているのでしょうか。
龍野さん:Google広告など運用型の広告に関しては、クリエイティブは自社で制作して、それに対するアドバイスや、運用の方向性などはパートナー会社様に相談・依頼しています。既存の優良顧客の属性など、データを活用することで良い形で広告配信をできているかもしれません。
2023年はGoogle広告のP-MAXがかなり良い形で運用できました。CPAが高騰すると言われる中で圧倒的に安い価格で獲得を実現でき、パートナー会社様には本当に感謝しています。
――認知獲得や集客は、今はほぼWeb周りで動かれている感じですか?
龍野さん:そうですね。細々と動いているのですが、そのなかでも反響が大きかったのが、トリートメントの新商品発売に際して、認知獲得のためにクラウドファンディングサービス「Makuake」を利用したことです。
目標は堅実な金額で設定していましたが、初日9時オープンから驚くスピードで応援購入いただき、10時には達成、最終的には972%の大成功を収めることができました。自分でプロジェクトを行うまでは、恥ずかしながらあくまでもクラウドファンディングという投資サイトのイメージが強かったのですが、実際にはMakuakeサイト自体でお買い物を楽しむ習慣のあるユーザーがたくさんいることを学びました。加えて、クラウドファンディングは発売初日から新商品に売上が立つところが嬉しいです。また新商品を発売する際は利用を検討してみようと思います。
参考:1回で染めたい方に!毛髪診断士開発の多機能白髪染めトリートメント(Makuake)
――Makuakeで購入された方も定期購入へと移っていったのでしょうか?
龍野さん:商品配送後に商品の満足度や感想を伺うアンケートを送り、割引キャンペーンとともに継続利用を案内させていただきました。そこから一定数定期への引き上げがあり、とても有益な販促になったと実感しています。
2回目継続率は80%超、解約率を下げるための誠実な取り組み
――定期通販では特に継続が重要だと言われますが、そのためにどういった工夫をされていますか?
龍野さん:先ほどもお話しした通り、最大のブランディングは、お客様に誠実な姿勢を感じていただくことだと考えています。通信販売では対面で接客することが難しいため、お客様との接点、特に商品の配送と問い合わせ対応のタイミングを重要視しています。
配送時には、購入回数に応じで異なる同梱ツールをご案内しています。購入回数に応じてお客様の状況を想定し、同梱ツールで適切な情報をお届けすることで継続したい気持ちをはぐくみたいと思っています。たとえば、初回購入から2、3回目くらいまでは、まだサービスや商品の使い方について十分にご理解いただけていないこともあるため、商品そのものの情報や使い方などを充実させています。
その後、4回目以降は頭皮や毛髪との正しい向き合い方や知識などの情報をご提供しています。毛周期が肌などより圧倒的に長く、根本修復には時間がかかるためより商品を長くご継続いただきたいことを、お伝えしていきます。そして10回目くらいになると、ある程度の商品知識や効果のご体感はしていただけていると思いますし、長くご継続いただいた感謝の気持ちを込めたお手紙やプレゼントをお送りしています。
定期を継続していただくための施策としてはメルマガなどもありますが、私自身メールが来て嬉しかった経験があまりありませんので多くは活用しておりません。お客様にとってメリットのある限定的なお得情報や年末年始などの配送案内など、本当に必要な情報に限定して活用しています。
問い合わせ対応では、インフォメーションや問い合わせフォームからの連絡に対し、できるだけ早く、土日を除いて当日もしくは翌日までの対応を心掛けています。回答は丁寧に、相手の立場に立つことが重要です。自分がミープラスの会員だったらという意識を崩さないで運営をできるよう、その意識をスタッフ全員に浸透させるように努めています。
――平均何回ぐらい継続される方が多いのでしょうか。

龍野さん:2~4回は継続される方が多いです。2回目の継続率は80%以上と高く維持できています。一度思ったような成果が出なくても、やり方を変えてもうちょっと使ってみようと思ってくださる方が多いようです。また、4回目まで購入された方は、大体、10回20回と長期でご継続いただける傾向にありますね。
それほど広告を多く出しているわけではないなかで、ミープラスを見つけて購入を決めてくださる方は、ご自分でいろいろと考えて比較したうえで選んでくださることが多い印象で、それが解約率の低さにつながっているのではないかと考えています。
また、ミープラスは定期購入のお休みが半年先まで可能ですので、これも解約率が低い要因のひとつかもしれません。たまには浮気したくなるというか、他の商品を使ってみたくなることって誰でもあると思うんですよね。商品には自信があるので、当社の商品を評価してくださる方だったら、一度他社商品と比較することで、よりご納得いただいて戻ってきてくださるかなと思っています。
ヘアケアはスキンケアよりも時間軸が長いです。肌のターンオーバーは、若いころは28日、年齢を重ねても50日くらいですが、髪の生まれ変わりは男性で2~5年、女性で4~6年と言われ、年単位です。つまり今やっているヘアケアは何年か先に生えてくる毛髪の質に大きな影響を与えるということです。もちろんそんな先の毛髪のことだけでなく、頭皮についてはもっと早く違いを実感いただけると思います。頭皮の柔らかさ、健やか度、髪の扱いやすさなど、一度離れた方もその感覚を思い出して戻ってきてくださることもあるんじゃないかと感じています。
目標は町の化粧品店、相性の良いお客様が集まる良い循環
――悩みに応えられる商品力と、無理に購入を促さない姿勢も含めて、お客様と長く深くお付き合いされているんですね。
龍野さん:目標は、昔見かけることの多かった町の化粧品店のWeb版です。さすがに私もその世代ではありませんが、母が某化粧品店にたまに行くのによく付いて行っていました。そこにはかかりつけの美容部員がいて、商品や皮膚のことをなんでも訊けて、アドバイスがもらえる。世間話もする。同じように「頭皮のこと、髪のことならミープラス」というような、駆け込み寺のような存在になれれば嬉しいなと思っています。
私自身、ミープラスのお客様と同じ世代です。そう考えると、お客様のWebリテラシーはそんなに低くないはずです。当社はWebでしか発信していません。それでもつながっていただけるのは、お客様にWebでの情報収集の能力があるからだと思います。そういう方々に質問をされたときに、きちんと答えられる存在でありたいと考えています。
――他社の商品と比べると価格がやや上に感じるところもありますが、だからこそより良いお客様が集まりやすい土壌ができている感じがします。
龍野さん:大手企業のような知名度はないブランドで、価格も割高に感じるにも関わらず選んでくださるのは、それだけお客様の悩みの深度が深く、商品の成分に期待があるのだと思っています。
だからこそしっかり理解して使ってくださって、結果も出せる。とても良い循環が生まれているのだと思っています。私にとって商品は子どものようなもの。すごく愛情をもっておりますので、商品に共感し、かわいがってくださるお客様は本当に感謝しかありませんし、もっともっと増えると良いなと思っています。 これからもミープラスをよろしくお願いいたします。
Me+(ミープラス) - 公式サイト
https://www.me-plus.net/
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