
14億万人以上が住む中国。この大きな市場でビジネスをしたいと考えるEC事業者の方は多く、中国越境ECに注目が集まっています。ただし、中国のEC市場では中国独自のモールがシェアを占めている他、独自の規制や法律にも配慮が必要になるなど、中国越境ECならではの特徴があります。ここでは中国越境EC市場の状況や主要なECモールをご紹介します。
この記事の目次
中国EC市場・中国越境EC市場の規模
まずは2023年8月に経済産業省から発表された「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」から、中国のEC市場規模と、日本から中国への越境EC市場規模をみていきましょう。
中国のEC市場規模

2022年の中国における EC市場規模は2兆8,790億USドルであり、前年比で 9.1%増加したと推計されています。2位であるアメリカ(1兆328億USドル)と比べても2倍以上大きいです。今後、2026 年には3兆9,850億USドルまで拡大すると想定されています。
EC化率も45.3%と世界で最も高く、日本(12.9%)とは大きな開きがあります。

中国越境EC市場規模

中国越境EC市場規模を見てみると、日本向けの中国の越境BtoC-ECの総市場規模は2兆2,569億円で前年比5.6%増加しています。2022年の越境ECは、32年ぶりの歴史的な円安が追い風となって日本商品の需要が高まり、売上が増加した年となりました。
原料費や輸送費の高騰というマイナス要因もありましたが、それを上回る売上増加となっています。また、「腕時計」、「高級ブランドバッグ」、「トレーディングカード」などの高額商品の販売が好調で、客単価が大きく伸びた年でもありました。
日本事業者が出店できる中国のECモール
ここからは日本事業者が出店できる中国のECモールをご紹介します。アリババグループと京東集団が運営するECモールが多くのシェアを占めていますが、出店・出品にあたっての条件や費用などが厳しいため、断念してしまう企業も少なくありません。ここ数年で登場したPOIZONや百分百は比較的費用を抑えて出店・出品でき、物流も対応してくれるため、海外販売の手間がかからないということで注目されています。
1.天猫国際(Tmall Global)
天猫国際(Tmall Global)は、中国EC市場のトップシェアを誇るアリババグループが運営するECモールです。同じくアリババグループが運営する「淘宝網(タオバオ)」は個人も出店できるのに対し、天猫国際は企業から個人への販売に限定されているため取引の信頼が高いのが特徴です。
2.考拉海購(Kaola)
「考拉海購(Kaola)」は企業から正規の製品を直接仕入れる「直営モデル」を強みとする越境ECモールです。80ヶ国以上、10,000を超えるブランドが販売されており、利用者の約8割が女性で、約6割は30歳以下です。2019年に買収されアリババグループの傘下に入りました。日本の銀行に日本円で入金してくれるところが嬉しい点ではないでしょうか。
3.海囤全球(JD Worldwide)
海囤全球は、中国で2番目のシェアを占める京東集団が運営する越境ECモールです。中国国内事業者向けには「京東商城(JD.com)」を運営しています。2018年に「京東商城」から「海囤全球」へ名称変更を行いました。販促の面では、京東集団は「WeChat(微信)」を運営しているテンセントと業務提携をしており、WeChatを活用したリアルタイムな問合せ対応ができる点が強みです。また、京東商城・海囤全球はECだけでなく実店舗を構えていて、オンライン・オフライン双方から購入できるようになっているのも特徴です。
4.拼多多(Pinduoduo:ピンドゥドゥ)
拼多多は、共同購入ができるECサイトで、複数の人が集まって同じ商品を購入することで安く買えるようになる仕組みをとっています。日用品を中心に売れており、安価に購入できる特徴から二流、三流都市や一部内陸都市で人気を博しています。また利用者の多くは、SNSの利用率が高い若年層です。
5.唯品会(Vipshop)
唯品会は「フラッシュセール」を強みとするECモールです。フラッシュセールとは、短時間限定で大幅に値引きするなどの特典を付けて販売する方法のことをいいます。各業界の人気ブランドメーカーと提携し、直接商品を仕入れているため、偽物がないという信頼感が人気を高めています。フラッシュセールの対象企業は 唯品会からの招待制ですが、越境EC店舗の出店も可能です。
6.国美海外購日本館 (Gome)
国美海外購日本館は、家電小売販売企業である「国美電機」が運営する「国美在線」の中でも日本の商品を取り揃えている越境ECサイトです。2015年に開設し、同時にビックカメラが出店したことで知られています。国美電機は中国国内に1,800店舗を超える実店舗を有しており、これらの実店舗を活かした修理・交換サービスが強みで、中国人ユーザーからの信頼が厚いECモールとなっています。
7.POIZON(ポイズン)
POIZONはブランド品に特化したショッピングアプリです。初期費用・固定費が不要で利用できる他、日本国内の倉庫に納品するだけで、発送や通関、返品対応などのすべての業務を行ってくれるのが特徴です。
特にZ世代の利用者が多いPOIZONは、平均注文価格(AOV)が約4万円であることや、返品が発生しても売上を受け取れることから評判が良いです。ブランド品を扱っていることが条件にはありますが、これから中国越境ECを始めるにあたってぜひ検討したいECモールではないでしょうか。POIZONについてより詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
8.百分百(baifenbai:バイフンバイ)
百分百は、中国最大の検索サービス「百度」の日本法人であるバイドゥ株式会社が提供する中国向け越境ECプラットフォームです。保証料やシステム利用料などの費用が不要で、決済や物流、カスタマーサービスまですべて百分百が対応してくれるため、中国越境ECにおけるテストマーケティングにも適しています。
おわりに
中国EC市場と中国で販売できる越境ECモールをご紹介しました。中国は世界最大規模のEC市場であり、日本製品の人気も高いため、うまく出店・出品することで売上規模拡大が期待できます。一方で通関や中国独自の法や規制には注意が必要です。さまざまなECモールがありますが、それぞれの特徴を踏まえ、自社に合うものを選ぶようにしましょう。
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