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はじめに
越境ECが現在各国で成長していることは周知のことですが、いったいどれくらいすごいの?と気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は越境ECの中でも、圧倒的な成長を見せている中国の越境ECを中心に紹介していきます。
中国の越境ECは成長し続けている業界であり、経産省のデータによると、2022年の越境EC伸び率は約10%の成長を遂げています。

中国のECといえば、時価総額50兆円を超えるアリババ社が運営するTmallや、京東社が運営するJD.comは有名でしょう。最近ではあのTikTokの運営会社として知られているバイトダンス社もECに進出しています。
TikTokは聞いたことある方も多いと思いますが、「Douyin」というプラットフォームを、皆さんはご存じでしょうか。まだDouyinに対して馴染みのない方へ、Douyinがどのようなプラットフォームなのか、取り組んでいる越境EC事業を踏まえてご説明できたらと思います。
そもそもDouyinとは?
Douyin(抖音)はバイトダンス社(Bytedance社)が2016年9月に中国でリリースしたショートムービーアプリです。TiktokはDouyinの海外版であり、2017年5月にリリースされました。
2022年デイリーアクティブユーザー数は約8億人を突破し、現在中国で最もド成長しているアプリといわれています。
ショートムービーとして知られているDouyinですが、2020年に「Douyin EC(抖音電商)」を開始し、正式にEC市場に参入しました。そして2021年では越境EC「抖音全球购(Douyin Global EC)も開始しました。
Douyin ECの最も大きな特徴として、「興味EC」というビジネスモデルがあげられます。
興味ECとは、Douyinの高度なレコメンドシステムでユーザーの視聴履歴を分析し、好みに合わせたコンテンツを配信する技術をECに応用し、ショートムービーの視聴傾向からユーザーの潜在ニーズを分析しブランドや商品をお勧めできるという特徴があります。
従来のECプラットフォームは検索して欲しいものを探しますが、Douyin ECは商品に興味を持ちそうなユーザーを探してお勧めします。つまり、「人が商品を探す」従来型ECに対し、抖音電商(Douyin EC)は「商品が人を探す」のです。
バイトダンス社公式ウェブサイトより引用
さらに、この興味ECを活用したシステムをユーザーが利用すると、通常のECサイトが商品を購入して終わることに対して、Douyin上のコンテンツを視聴したり、その視聴したコンテンツを介して商品を購入したりすることによって、コンテンツがより多くのユーザーに拡散される仕組みになっています。その結果、店舗の認知をどんどん拡大していくことができるのです。

Douyin EC店舗に向いている人は?開店するには?
Douyin ECは、ただ店舗を開いただけで成功はしません。ライブコマースやインフルエンサー起用によるプロモーションを行うことで、興味を持っているターゲットにリーチし、店舗での商品購入に誘導する必要があります。Tmallなどの従来型ECにおいて一定の経験を蓄積した後、販路拡大という選択肢としてDouyin ECを選ぶことを弊社はおすすめします。
では、Douyinで越境ECを始めるには、何をしたら良いのでしょうか。
まずは、どういう形式の店舗を運営したいのかを決める必要があります。Douyinでの店舗運営は大きく分けて4種類あります。
出店形式

出店形式はブランド旗艦店・売場型旗艦店・専売店・専営店の4つに分かれています。この4つの形式から自社に合った出店形式を選ぶ必要があります。
出店プロセス
出店プロセスは大きく分けて4ステップがあります。
①出店申請提出(ここで店舗運営主体の資料を提出)
②店舗審査(提出した資料に基づいて審査を行う)
③アカウント認証(アカウントや口座の認証)
④保証金(デポジット)の入金

準備資料
出店申請の際に、いくつかの資料を準備する必要があります。商品のカテゴリーによって、準備資料の差はありますが、基本的に下記資料が必須になります。
大きく分けてDouyinに提出する店舗の証明書と、Douyin側が手配した販売協議書の2種類となります。
◯ブランド準備書類
- ブランド商標登録証明書(原本コピー+中国語翻訳版)
- 販売授権書
- 商品商標登録証
(中国以外の法人には中国語翻訳版書類が必要)
◯責任会社準備書類
- 履歴事項全部証明書(原本コピー+代表署名入り中国語版翻訳)
- 授権代表者身分証明書
- 銀行照合書(原本コピー+代表署名入り中国語版翻訳)
上記資料は「必ず用意しなければならない資料」となっております。商品によっては追加の申請資料を提出する必要がありますので、ご注意ください。
資料提出から開店までの審査期間は、最短2〜3ケ月見積もっておくと良いでしょう。
Douyin越境ECを開始する際の注意点
Douyin ECはまだリリースして間もない事業となっており、日々機能や審査条件もブラッシュアップされていますので、マニュアル通りに開店業務を進めても、思い通りに行かないという心持ちが必要です。
弊社がDouyin開店支援をさせていただいている中で、注意しておくと良い事項をいくつか記載いたしました。少しでも皆様のお役に立てればと思います。
十都県問題
まず最も代表的なものは食品カテゴリーのおける「十都県問題」です。
東京電力福島第1原発事故以来、中国は放射性物質の影響を懸念し、福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野の十都県からの輸入を全面的に停止しています。それ以外の地域でも、中国へ出荷するには放射性物質の検査証明書などの添付が必要な場合があります。
また、近年では福島の放水放出を懸念し、海産物の輸入も制限しております。

プラットフォームのルール変更
前述したように、Douyinはまだリリースしたばかりのサービスとなっており、体制やルールは随時アップデートしております。
そのため、提出資料の追加/変更、手続きの追加/変更、出店費用の追加/変更などの事象が予想されます。資料の準備やルール変更について柔軟に対応する必要があるでしょう。
おわりに
上記にてDouyin ECの概要から開店までの流れを簡単に説明しました。
2022年以降、これまで2強だった「Tmall」「JD.com」に続き、ライブコマースを中心とした新興SNSが大きく飛躍している一年となりました。さらに2023年はアフターコロナの時代が到来し、インバウンド需要に加え、オフラインにおける人やモノの移動も増える見込みです。ライブコマースはオンラインだけにとどまらず、オフラインのキャンペーンや施策と結合して、また新たな越境EC時代になるのではないかと予想しております。
unbotはDouyinを含む中国向けのEC支援サービスを行っていると共に、時代の流れに合わせ、新たなサービスを作り続けています。ブランドや商品に合わせてミニマムのプランから提供できますので、詳しい情報についてご興味をお持ちの方は是非下記までお問い合わせください。
お問い合わせ:https://unbot.co.jp/contact/
自社メディアチャイトピ:https://www.chaitopi.com/
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