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リターゲティング広告とは?
リターゲティング広告とは、自社サイトに1回以上訪れたことがあるユーザーに対し、広告を配信するという広告手法です。
多くのECサイトでは商品を閲覧したものの、その場では購入に至らず離脱してしまうユーザーが多くいることでしょう。これらのユーザーに閲覧した商品の情報を改めて提示し、購入意欲をくすぐることができれば、購入につながるケースが少なくありません。この商品の再提示に適した広告がリターゲティング広告です。
自社サイトや自社商品の情報に1度は触れており、一定の興味があるユーザーに対して配信されるため、広告によってはじめて自社サイトや自社商品を知ったユーザーよりも購入につながりやすい傾向にあります。
なお、リターゲティング広告はGoogle 広告とYahoo!広告の機能を利用するのが一般的で、リスティング広告をはじめとする他の広告と同様に、広告の管理画面から設定できます。
リターゲティング広告とリマーケティング広告との違い
リターゲティング広告と似た言葉で、「リマーケティング広告」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃることでしょう。
Google 広告は「リマーケティング」、Yahoo!広告では「サイトリターゲティング」、Facebook広告では「リターゲティング」という表現が使用されており少し違いがありますが、広告媒体によって名称が異なるものであり、本質的には同じ意味を持つ言葉です。
活用すべきターゲティングリストと注意が必要な商品ジャンル
先述の通り、リターゲティング広告は自社サイトに1回以上訪れたことがあるユーザーに対し、広告を配信するもので、新規のユーザーに比べ効果が出やすい傾向にあります。しかし自社サイトを閲覧したユーザーの中にも、より効果が出やすいユーザーとそうではないユーザーがいるはずです。また取り扱う商品ジャンルによっても、向き不向きがありますので、それぞれご紹介します。
リターゲティング広告に活用すべきターゲティングリスト
自社サイトのいずれかのページを閲覧したすべてのユーザーや、いずれかの商品ページを閲覧したすべてのユーザーにリターゲティング広告を配信することで、一定の効果が期待できますが、予算に限りがある場合や、より広告効果を高めたい場合には下記のターゲティングリストを試してみてはいかがでしょうか。
カゴ落ち・カート落ちしたユーザーリスト
購入画面で離脱した(カゴ落ち)、またはカートに商品を入れたにも関わらず購入に至らなかった(カート落ち)ユーザーは、購入の一歩手前まで来ていることから、商品を気に入っている可能性が高く、離脱後に再び商品を提示することで購入につながりやすいと考えられます。
過去に商品を購入したことがあるユーザー
過去に一度でも商品を購入したことがあるユーザーであれば、ECサイトへの信頼感を持ってもらえるようになり、すでに決済情報が登録されているため決済手続きの途中で離脱してしまう可能性が低く、購入につながりやすいと考えられます。
リターゲティング広告が効果を発揮しにくい商品ジャンル
どの商品ジャンルにおいてもリターゲティング広告は一定の効果を発揮しますが、中には効果を得にくい商品ジャンルもあります。
例えば飲料水や食品、日用品などの日常生活で利用される消耗品類は、大手ECモールで価格が安いショップを選んで購入したり、セールの際にまとめ買いするユーザーが多く、リターゲティング広告によるニーズ喚起がしにくい商品ジャンルであると考えられます。
また、中古の本やスマートフォン、ゲームなど品質に大きな差異がでにくい(もしくはECでは品質の差がわかりにくい)商品は、価格競争になりやすく、期待する効果を得にくい可能性があります。
これらの商品ジャンルをメイン商品としている場合には、自社ECサービスそのものの魅力を伝えるブランディング広告に注力するという手もあるでしょう。例えば注文から配送までの時間の短縮に成功しているヨドバシカメラのECサイトは、商品自体は差別化をしにくい家電や日用品をメイン商材としていますが、多くのユーザーが好んで利用しています。
リターゲティング広告のメリット
リターゲティング広告のメリットを確認しておきましょう。
コンバージョン率(CVR)が高い
リターゲティング広告は一度以上、商品やブランドに触れているユーザーに対して配信されるため、購入につながりやすくコンバージョン率が高くなる傾向にあります。
すでに商品やブランドを認知しているため、新規ユーザーや潜在層に向けて配信する広告よりも成果につながりやすいのです。
特定のユーザーだけ広告を配信できる
商品の検討を継続しているユーザーや中断したユーザーは、購入につながりやすいECサイトの見込み顧客といえるでしょう。リターゲティング広告では配信するリストの条件を広告主が指定できるため、より効果の高いリストに対して広告配信が可能です。
一般的なリスティング広告やディスプレイ広告では、年齢層やエリア、性別、興味関心などのターゲティング設定が可能ですが、リターゲティング広告ではこれに加え、広告主が指定した条件を加えたリストを配信対象とします。配信するユーザーを絞り込むことができるため、効果が出やすいのはもちろんのこと広告予算に合わせた出稿調整もしやすくなっています。
リターゲティング広告のデメリット
CVRやターゲットユーザーの絞り込みにおいてメリットが大きいリターゲティング広告ですが、デメリットもあります。
しつこいと思われるリスクがある
リターゲティング広告は何度も繰り返し同じECサイトや商品の情報が表示されるため、しつこいと感じたり、不快感を覚えてしまうユーザーもいます。特定のユーザーに対する配信頻度に制約をかけることもできるので、上手く活用しネガティブなイメージを与えないように配慮が必要です。
データが蓄積されるまで開始できない
リターゲティング広告に使用する配信リストは、Webサイトへの訪問者数が一定数蓄積されてはじめて利用できるようになります。広告出稿を開始したその日から利用できるとは限りませんので注意しましょう。
新規顧客の開拓には不向き
新規ユーザーを開拓するためには、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告を活用して、まだECサイトに訪れたことがないユーザーに対して広告を配信しなければなりません。最初からリターゲティング広告だけで、新規ユーザーにアプローチすることは難しいのです。
リターゲティング広告の仕組み
改めてリターゲティング広告の仕組みを確認しておきましょう。
Cookieを利用
リターゲティング広告はWebサイトへの訪問者データの取得にCookie(クッキー)を利用しています。CookieはWebサイトに訪問したユーザーの情報を保存する仕組みで、リターゲティング広告に使用するリストの作成に活用されています。リスト作成に必要な情報を保存するためには、あらかじめタグの埋め込みが必要になります。
今後、個人情報などの観点からCookieが規制されるため、訪問者データの取得にそれ以外の方法が使われることになるでしょう。各広告媒体の情報はチェックしておきましょう。
▶Cookie規制によって、今後必要となるデジタルマーケティングにおける知識や対策は?
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広告フォーマットと課金方式
広告フォーマットは次の3種類です。
- Webサイトに掲載されるバナー広告
- 動画サイトに掲載される動画広告
- リスティング広告
いずれかを選んで配信できますので、商品やブランドのイメージ、ユーザーの反応に合わせて使い分けると良いでしょう。
リターゲティング広告の配信費用は下記のいずれかが一般的です。
- クリック課金
- インプレッション課金
1日あたりの上限費用を設定することで、予算以上に配信を続けてしまうことなく、安心して出稿できます。
配信の流れとしては次の3ステップが一般的です。
- Webサイトに「タグ」を設置する
- ユーザーデータが蓄積されるのを待つ
- リスト化された情報を活用してリターゲティング広告を配信する
設置するタグは出稿する広告の設定画面から取得可能です。
おわりに
コンバーション率が高く、広告単価を抑えやすいリターゲティング広告についてご紹介しました。検討期間が長くなりやすい趣味のアイテムや比較検討を重ねるユーザーが多い高額商品などでは特に効果を発揮しやすい広告といえるでしょう。タグの設定をしてしまえば、新規ユーザー向けの広告と運用工数は変わりませんので、ぜひ積極的に活用してみてください。
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